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ソニー「α7S II」、その高感度性能は"夜降る雪"をも止める

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ソニー「α7S II」、その高感度性能は"夜降る雪"をも止める
●風景写真で試す暗所撮影と広ダイナミックレンジ
特徴的なラインナップで存在感を高めつつあるソニーαシリーズの中でも、高感度に強いモデルとして非常に評価の高かった「α7S」が早くも第二世代に突入した。その最新モデル「α7S II」も、高画素化が著しい昨今のデジタルカメラ市場にあって、あえて画素数を抑え高感度やトーン描写に重きをおく。

α7S IIの強化点としては、5軸手ブレ補正やAFの測距枠増加と高速化、4K動画撮影機能などが挙げられるが、今一度、高感度撮影性能に優れるという有効1,220万画素の35mmフルサイズ Exmor CMOSセンサーの実力を試してみたい。高画素機が好まれる傾向にある「風景」をあえて題材として選び、北海道・美瑛から実写レビューをお届けしよう。

○早速、暗所撮影を試す

α7S IIをレビューするならば当然高感度は外せない。スペック上は、常用でISO100~102400、拡張でISO50~409600まで対応する。噂の高感度性能はどれほどのものなのか、筆者も非常に興味深かった。

結果はご覧の通りである。
肉眼ではほぼ真っ暗な状況での撮影だったが、星だけではなく地上のディテールまでも写し込んでくれたのには驚いた。地上に届く僅かな光を、しっかりとセンサーはキャッチしていたのだ。そして気になるノイズもほとんど感じられない。このカメラは、写真家から時間という概念を取り払ってくれそうだ。さらに驚いたのはこの暗闇でもAFがしっかりと利いてくれたこと。先代α7Sでは多少迷うシーンもあったが、かなりブラッシュアップされた印象だ。

暗所撮影に強いα7S IIは、ISO感度をシャッタースピード速くするための調整役としても使える。ノイズを気にしなくて良い分、ためらいなく感度を上げることができるからだ。
そこで、同じシチュエーションで感度を変えた作例を2枚ご覧いただこう(1枚目がISO800、2枚目がISO51200)。降りしきる雪の表現が驚くほど大きく変わる。写真表現の常識を覆しそうだ。

●高画素機とは一味違う「表現の深み」
○高画素機とは一味違う「表現の深み」

α7S IIの画質は、精細な表現が求められる風景でもまったく問題のないレベルと言えるだろう。雪の積もった林の枝の細やかな部分まで、驚くほど繊細に描けている。緻密な描写には高画素機が必要と思われがちだが、このカメラに関してはそんな定説は関係ないようだ。むしろ、画素ピッチが広がったことで1つの画素が受け止める光の量が多くなり、表現に深みが出ているように感じる。

太陽を入れ込んだ厳しい条件でも、シャドーは潰れることなくしっかりと粘り、ハイライトのトーンも残る。
これほど厳しい条件で、ここまでしっかりとトーンが描けるのは特筆もの。このカメラが持つ類い稀なダイナミックレンジの広さが伺えるシーンだ。また、5軸手ブレ補正が搭載されたため、積極的に手持ちで攻めることもできた。刻一刻と太陽が動いていくこのようなシーンでは非常に有利だ。

朝焼けの優しいグラデーションをこれほどまで豊かなトーンで描いてくれれば申し分ない。この深みは、中判デジタルカメラで撮影した時に感じる深みに似ているような気がする。1点の画素が受け止める光の量が豊富、という点では確かに両者は共通しており、あながち外れていない感想かもしれない。

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α7S IIは、初代α7Sに比べてボタンの配置などにも工夫が凝らされており、操作性が向上していたことにも好感が持てた。
カスタマイズの自由度があり、自分好みのカメラに仕上げてゆく楽しみもあるだろう。なにより、システム全体が非常に軽量コンパクトであることは最大の武器。刻一刻と変化する風景を追いかけるには、実はこのようなカメラが最適なのかもしれない。

高感度性能にばかり目が行きがちなα7S IIだが、精細感やトーン再現も見事なもの。"高画素こそ全て"、という風潮に一石を投じるα7S II、まちがいなくお勧めできる一台である。

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