2015年12月25日 10:17
理研と東京医科歯科大、歯胚の分割操作で歯の数を増やす技術を開発
理化学研究所(理研)と東京医科歯科大学は12月24日、歯のもととなる原基「歯胚」の分割操作を行うことで歯の数を増やす技術を開発したと発表した。
同成果は、理化学研究所 多細胞システム形成研究センター 器官誘導研究チーム 辻孝 チームリーダー、東京医科歯科大学 医歯学総合研究科 顎顔面矯正学分野 森山啓司 教授、大学院生の山本直 氏らの研究グループによるもので、12月17日付の英科学誌「Scientific Reports」に掲載された。
今回、同研究グループは、胎齢14.5日のマウスの臼歯歯胚をナイロン糸で結紮することでひとつの歯胚を2つに分割し、この分割した歯胚が口腔内で正常な歯に発生するかどうか、また、再生した歯が天然の歯と同等の生理的機能を持つかどうかを検証した。
この結果、6日後には上皮組織に囲まれ、完全に分断された2つの歯胚が発生。また、分割された歯胚が口腔内で正常な歯に発生するかを確認するため、結紮歯胚をマウス腎皮膜下に移植したところ、30日後にはエナメル質、象牙質、歯槽骨を持ち、歯根膜や歯槽骨に囲まれた正常な組織構造を持つ独立した2つの歯が形成されたという。
歯の再生では、分割歯胚が天然歯胚と同等の組織構造を持つだけでなく、口腔内に移植したときに、移植を受ける個体の顎骨と正常に生着し、さらに周囲組織と連携し機能することが重要となっている。