CES 2016 - レノボの2016年版「X1」やCerevoのIoT自転車、開幕直前Unveiledレポート
近年のCESでは、一時期は主役の座を独占していたPCやAV機器関連の出展が勢いを失っているように見えるが、積極的な製品投入でUnveiled会場を沸かせていたのがLenovoだ。ThinkPadのフラグシップクラスを示す「X1」の名を冠したモバイルノートが、"複数"モデル登場していた。
これまでのX1では、一世代に薄型クラムシェルの「X1 Carbon」のみが存在するモデル展開だったが、今年は2016年版「X1 Carbon」だけでなく、着脱式2in1の「X1 Tablet」や、ディスプレイ360度回転の変形型2in1「X1 Yoga」が加わっている。スペック詳細は上記リンク先の関連記事を参照いただきたいが、X1 Carbonはさらなる薄型軽量化の追及やIntel Coreの第6世代移行、X1 Tabletはキックスタンド装備のMS Surfaceライクなボディに豊富な拡張モジュール機構、X1 Yogaは2in1でありながらX1 Carbon同等の薄型軽量の実現やWQHD有機ELディスプレイの採用など、それぞれ強い個性を持つ。
ところでCES Unveiledは年々、スタートアップ企業が製品・技術を世界中にアピールする格好の場としての傾向が強くなっている。
思い起こせば、過去にはドローンやウェアラブル機器のスタートアップがUnveiledへと積極的に出展し、市場をひろげるきっかけのひとつとなっていた。今年のUnveiled会場で目立っていたのは、とにかく「IoT」だ。白物家電はことごとくオンラインになり、レシピアプリと連携しミックスジュースを"スマート"にブレンドしてくれるジューサーすらあった。スマートキーは当然のように出展があるし、センサが仕込まれた"スマート"ベッドで寝るとスマートフォンが今後の最適な睡眠方法をサジェストしてくれる。
そんな今年のUnveiledで、日本のスタートアップであるCerevoが公開していたのが、IoTロードバイク「ORBITREC」とプロジェクタロボット「Tipron」。ORBITRECは、自転車のフレームにセンサやGPS、通信モジュールを仕込み、走行中のログを取得・分析できる。他のORBITRECから取得したビッグデータを解析し、例えば地図上では平坦な道のはずなのに、速度低下のデータが頻発しているなどのデータをもとに、異常が存在することをアラートしてくれたりする。3Dプリンタ製造のチタニウムジョイントとカーボンチューブを組み合わせ、短納期・低価格なフレームオーダーメイド(最短1カ月、7,000ドル以下)が可能な点もORBITRECの特長だ。
ほか、ORBITRECのIoT機能を既存自転車に装着できる外付けアダプタ「RIDE-1」も用意する。ともに今年の春の製品化を目指しているそうだ。
プロジェクタロボ Tipronの方は、プロジェクタがロボット掃除機のように部屋中を自走し、しかもアニメのロボットのように変形までするという、相当に異色なもの。変形することで頭部の位置にあるプロジェクタ照射部の高さや仰角が変わり、首を左右に振ることができ、壁や天井など任意の場所に映像を投影できる。自走機能もセンサで衝突防止が働くなどこだわっている。プロジェクタが動き回ったら新しい使い方が産まれるかもという動機にて、年内製品化を目指し開発中。
余談になるが、CES取材に集まったプレスに向けて、米業界団体のConsumer Technology Association(CTA)が世界中の製品トレンドや市場動向のリサーチ結果を発表しているのだが、その内容は、CE市場の既存の主要製品はどれも大きく伸びるわけではなく、直近のけん引役だったスマートフォンは単価が下がり台数も逓減、地域別の消費動向も中国が明らかに鈍化し、新興国は経済の中国依存の影響もあり厳しく、北米はドル高が懸念で、西欧は正念場、日本は消費税の再増税で先行き不透明と、2016年のはじまりから世界中で消費減速の懸念ばかりだった。
今年のCESは、これまでに主役に続く、思わず欲しくなるような、生活がもっと豊かになるような魅力のある次の何かを、世界中が探している真っただ中での開催だ。
Unveiledだけでなく、昨年からCESの本会場でもスタートアップ企業を対象とした出展スペースが一気に拡充されている。既存の大手も生き残りに必死だ。CES 2016は、これまでない体験をさせてくれる何かが登場しやすい状況にあると、楽観しながら開幕を待ちたい。マイナビニュースでは、閉幕の1月9日まで現地レポートなど随時更新していくので、ご期待いただきたい。