下野紘と福原香織が語る『カード・バトルZERO』の魅力 - 日本のアニメにインスパイアされた独特な世界観に注目
アニメ専門チャンネルとして国内外のアニメ作品を24時間放送する「カトゥーン ネットワーク」にて、日本のアニメにインスパイアされた世界観とキャラクターに注目が集まる『カード・バトルZERO』が昨年10月より放送されている。
舞台はアメリカ。クラスでイケてない男子扱いをされている少年、ジョンとマックスがハマっているのはカード・ゲーム「バトル・デイ・ゼロ」。ひょんなことから、日々戦闘が繰り広げられている「バトル・デイ・ゼロ」の世界と、現実の世界を行き来できるポータルが開いてしまい、"カルータのプリンス"ヒロが学校にやってきた……!
カード・ゲームの世界と現実、二次元と三次元が融合する世界を描く本作。カード・ゲームの世界と現実世界のキャラクターは、それぞれイラストのテイストが異なるなど、今までになり道徳の世界観が繰り広げられている。
そこで今回は、本作の主人公・ヒロ役を演じる下野紘と、ルシンダ役を演じるとともに、ボーカルアンドダンスユニット「FUNCTION6ch」の一員として主題歌も担当する福原香織の2人に作品の魅力を語ってもらった。
○下野紘と福原香織が語る『カード・バトルZERO』の世界
――ご自身が演じるキャラクターについて教えてください
下野紘「ヒロは、カルータという世界のプリンスで、カードゲーム『バトル・デイ・ゼロ』の中から飛び出してきた二次元のキャラクターなんですけど、とにかくものすごくヒーロー然とした感じで、強くて何でもできる。でも、あまりにも力が強すぎて、現実世界ではいろんなものを破壊したりするし、あくまでも二次元の世界で生きてきたプリンスなので常識にも疎く、とにかく破天荒すぎるキャラで、イケメン何だけどどこか残念……みたいなキャラクターです」
福原香織「ルシンダという女の子を演じているのですが、ルシンダはヒロと違って実際の三次元の人間で、ジョンの憧れの子として出てきます。
最初のアフレコのときは可愛く演じてくださいみたいな感じだったので、そういう印象だったんですけど、話が進むにつれて、イケてるモノとか流行りモノが好きな、よくいる普通の女の子なんだけど、服装をみると何か独特な世界観を持っているような気がします。ただ今のところ、彼女のすごくパーソナルな部分はまだ出てきていないので、これからどうなるのかなと楽しみにしております」
――最初にキャラクターの絵を見たときの印象はいかがでしたか?
下野「二次元だからというのはわかりますが、こんなに違います? って(笑)。もう何から何まで違うので、何と言っていいかわからないぐらいですね。しかも、どことなく日本で見たことがあるような……」
福原「インスパイアです!」
下野「本当に日本のアニメにいそうなキャラクターだなって。ジョンたちとは明らかに違いすぎるので、これでいいのかっていう戸惑いはありました。テンションもどこかジョンたちとは違いますし、常に何か叫んでいるイメージがあります」
福原「最初、二次元と三次元が分かれているという世界観を知らずに見たんですけど、"ハッピー・ピーチ・フラワー"のインパクトが強すぎて(笑)。これは女子目線なんだと思うんですけど、何かこういう感じのものを見て育ったなって思いました。でも外国の方からすると、逆にこちらのほうが馴染みがなくて不思議な感じに映るんじゃないかなって思います」
下野「我々にしたら、ヒロたち、『バトル・デイ・ゼロ』側のキャラクターのほうが馴染みがありますが、作り手の方のイマジネーションがすごいなって思ったのは、明らかにこちらの世界ではしないような動きをしたり、表情をみせたりする。
その崩れ方が面白いですよね」
福原「スタッフの方に伺った話では、日本のアニメをすごくリスペクトしているということで、本当にその気持ちが伝わってくるなって思いました。いろいろ調べてくれたりしたんだろうなって」
下野「作中の単語や表現を見ていると、いろいろオマージュのような部分があったり、日本のアニメならたしかにあるよねっていう部分があったりするので、本当に日本のアニメが好きなんだって気持ちが、ものすごく伝わってきます」
●演じるときの苦労
――実際に演じるときに気をつけているところはありますか?
下野「ヒロに関していえば、外国の方があてた声とかけ離れていなければいいかなって思っています。ただ、自分なりにこういう風にしたいなと思ってやりすぎてしまって、"すいません、もう少し抑えてください"と言われることもチョクチョクありますが(笑)、基本的には、自分がやりたいことをすごく自由にやらせてもらっているという感じですね」
――日本のアニメにアフレコするのとは違うなって思う部分はありますか?
下野「セリフのニュアンスなどは、言葉遊びじゃないですけど、向こうの感性なんだなって思います。突然に怒鳴りだしたりしますから(笑)。さっきまですごく和やかに笑っていたのに、急に『お前が悪い!』みたいに怒鳴りはじめる感性は、自分でもビックリします」
福原「急にMAXで怒りますから(笑)」
下野「怒っているわけじゃないのに急に大きな声を出すこともありますね。たとえば、ジョンのお姉さんのチャリティは怖いです。人気者ですごく美人なんだけど、そのお姉さんが目を見開きながら突然怒りだす。それが本当に怖いんです(笑)。
原音を聞きながら家で練習したりするんですけど、聞いている途中で、"ちょっと嫌だな、このシーン"みたいなところがあったりもします」
福原「チャリティさんは沸点が低いですよね」
下野「沸点低いね」
――基本的にはみんなそういったテンションなのですか?
下野「基本的に変わらないのはマックスですね。あとルシンダもあまり変わるイメージがない。自分からガツガツ出てくるキャラクターはみんな沸点が低いです。急に来ますね。ハッピー・ピーチ・フラワーもけっこうありますし」
福原「ルシンダは普通の人間で、あまり沸点も低くなく、現状ではまだあまり巻き込まれてもいないので、そんなにオーバーに演技するところはなく、本当に耳から聞こえてくる外国の方の声にあわせているという感じですね。本当に自分のやりたいようにやらせてもらっています」
――外国の方の演技にあわせる際に難しいと思うところはありますか?
福原「私は、難しいというより不慣れといった感じです。吹き替え的な作業をするのが、普通のアニメよりも少ないので、かなり意識を集中しながら演じているところはあります」
――基本的には、元の演技をベースに声をあてているという感じでしょうか?
下野「そうですね。ただ、キャラクターの口の開き方が英語なので、それにあわせるのが大変で。
スペシャル版のときにものすごく苦労したのは、『生物学!』って叫ぶセリフですね。元々は『Biology!』なので、最後は開き口になるんですけど、『生物学!』だと閉じなきゃいけない。母音が"い"と"う"で違っているので、そこはかなり試行錯誤しました。基本的には僕らの仕事は、絵のキャラクターの口の動きにあわせることなので、それをどこまであわせられるか、スタッフの方と一緒になって作り上げている感じです」
福原「ルシンダの場合、今のところ、そこまで苦労はしていないのですが、リアクションがやはり外国なので、ちょっと大変ですね。日本ならそこまでテンションを落とさないところでも、急にため息が入ってきたり。やはり感覚が違うので、そこをしっかりと読み取りながら演じています」
下野「どこかで自分の普段やっているアニメとは違うニュアンスなんだということをしっかり意識していないと、追いついていかない感じです」
――外画の吹き替えとはまた違うのでしょうか?
下野「外画とも違うと思います。外画と日本のアニメのちょうど中間なんじゃないかなって思っています」
――ちなみにアドリブを入れたりする場面はあるのでしょうか?
下野「アドリブはあまり入れないようにしてますが、どうしても癖で、表情変化があったり、口を開いたりすると、ついやりたくなってしまいます(笑)。特に慌しいシーン、特に戦闘シーンなどでは、原音よりも自分のやりたいようにやってしまっているところがあります」
●主題歌は福原も属する「FUNCTION6ch」が担当
――福原さんは今回、主題歌を担当なさっています
福原「私が所属する"FUNCTION6ch"というユニットでTVアニメの主題歌を担当するのは初めてだったので、すごくうれしかったです。
ボーカルアンドダンスユニットなので、今までの曲はけっこうダンサブルなものが多かったんですけど、今回は『カード・バトルZERO』の世界観にあわせて、ちょっとミステリアスだったり、不思議な感じや大人の感じがあったりして、今までにはないチャレンジができたので、音作りもすごく楽しかったです」
――気に入っているフレーズなどはありますか?
福原「サビの疾走感が好きなんですけど、できあがったオープニング映像を観ると、その部分で校長先生が飛んでいるんですよ。普通、日本だったらヒロじゃないですか。ヒロが決めているシーンが来ると思っていたら、校長先生が宇宙を飛んでいるという衝撃的な映像になっていたので、逆にそこが好きになり過ぎちゃって(笑)」
下野「校長も結構いいキャラクターなんですよ」
福原「校長いいですよね。私も大好きです(笑)」
下野「おもにジョンとマックスとヒロの3人で行動していて、それが主人公チームみたいになっているのですが、その3人がちょっと擦れるんですよ。校長がちょっと本気を出すと、濃くなりすぎて主人公たちが擦れる。『一方、その頃校長は?』みたいなシーンがあったりもして(笑)」
福原「学校経営もちょっとブラックですよね」
下野「ブラックだし、適当だし。寄付金が大好きで、栄誉よりも金だって言うね(笑)」
――オープニング映像を観た感想はいかがですか?
下野「曲ひとつでこんなにも変わるんだなって思いました。カッコよくなっていますし、歌と映像を合わさるとこんなに面白くなるんだって(笑)。
あらためてコミカルなシーンが多い作品だと思いました。日本のアニメは、けっこうダメ出しの嵐になってしまうので、あまり自分が出ている作品は観ないんですけど、こういう形にしてもらえるとすごく観やすいですよね」
福原「最初は、ヒロたちが戦っているシーンを90秒にまとめてくると思っていたんですよ。そうしたら、意外とコミカルなシーンも散らばっていて。でもそのコミカルなところは『カード・バトルZERO』の良さでもあるので、すごく予想外ではありましたが、このバランス感がはちゃめちゃな『カード・バトルZERO』の世界観なんだと思いました。サビの校長は本当に笑っちゃったんですけど、でもこれがらしさだと思います」
下野「あと、オープニングに女子が少ないなって。ジョン、マックス、ヒロはまだしも、あとはデンミールと校長ですから」
福原「基本、本編も男性陣で進んでいく感じですよね」
下野「男性陣と、あとはゲストの『バトル・デイ・ゼロ』からやってくる人たち。すごく気になりますね。この人たち、カードの中ではどういう効果を持っているんだろうって。
どういうアイテムで、どういうモンスターなのかがまったくわからないんですよ」
――それでは最後にファンの方へのメッセージをお願いします
下野「この作品は、海外アニメの中でもかなり異色なタイプだと思います。本当に日本をすごくリスペクトしつつ、そこに海外の方の感性が入っている、とにかく日本と海外の融合みたいな部分がすごくたくさん詰まっています。その中でいろいろなキャラクター、本当に個性豊か過ぎる、濃すぎるキャラクターたちが、いろいろな表情でコメディだったりバトルだったりを展開していますので、どなたが観ても絶対に面白いと思っていただける作品になっていると思います。年齢を気にせず、本当にたくさんの方に観ていただきたいですね」
福原「日本のアニメとは色味やキャラクターデザインの感じが違っていたりはしますが、やはり日本をものすごくリスペクトしてくれていて、いろいろなタイプのキャラクターが出てきます。情報量がとにかく多い作品で、一生懸命観ていないとついていけないぐらいドタバタしていますので、大人の方が観ても楽しめる作品だと思います。主題歌も"FUNCTION6ch"として参加させていただき、すごい絵もつけていただいて(笑)、すごく素敵なオープニングになっておりますので、そちらもぜひ注目してください。歌詞も出ますので、一緒に歌っていただけたらうれしいです。よろしくお願いします」
下野「あと付け加えると、このキャラクターはあのキャラクターのオマージュかなっていうのを探してみるのも面白いと思いますので、自分なりに見つけてみてください(笑)」
――ありがとうございました
『カード・バトルZERO』は、海外アニメ!カートゥーン ネットワークにて毎週日曜19:30~20:00に放送中。
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