2016年1月20日 08:00
ノーマリーオフコンピューティングはIoT時代の必須技術となるのか? (4) ヘルスケアシステムの低消費電力化技術
○ロームの研究開発成果報告
ロームはウェアラブルで常時計測を行うヘルスケアシステムを対象とした研究開発を行った。例えば血圧は1日のうちの時間やどのようなことをしているかによっても変動するので、常時計測が望ましい。そして、生活習慣を分析するためには最低2週間のデータをログする必要があるという。
このような機器は、長時間身に着けるのであるから、着けていることが気にならないパッチ(絆創膏)型にしたい。パッチの下に入れられる10mAHの小型電池で2週間の連続動作を行えるようにするには、システムの消費電流を30μA以下にする必要がある。
このためには、生体情報センサLSIの性能/電力を現状の10倍に引き上げる必要がある。
この性能/電力10倍を達成するためにロームが選んだのは、ノーマリーオフを用いた低電力化と、FeRAMと不揮発性ロジックの組み合わせである。心電図、心拍、血圧などの生体データのロギングは1Kサンプル/秒以下、運動、睡眠などの生活習慣データの処理間隔は1秒以上であり、ほとんどの時間は待機状態であるので、ノーマリーオフで積極的に電源を切る。
通信はNFCでパッシブ通信を行い、また、チップ上でデータを処理して、通信するデータ量を減らす。