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4K HDRとDolby Visionはどう違うのか?

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4K HDRとDolby Visionはどう違うのか?
●CES 2016で見たホームエンターテインメントの進化

映画技術、テレビ技術を革新し続ける米国のDolby Laboratories。CES 2016で同社が行っていたデモを体験してきたので、その新技術についてレポートしたい。

「Dolby Vision (ドルビービジョン)」は映像の最大輝度を高めて、より大きな明暗差や滑らかな階調、豊かな色域を表現できる新しい技術。Dolby独自のHDR(ハイダイナミックレンジ)技術とも言える。

撮影レベルからDolby Vision対応の機材を使う必要があるが、Dolbyは数年前からハリウッドにDolby Visionをアピールし、現在では多くのメジャータイトルがDolby Vision対応ビデオカメラで撮影されているという。

このDolby Visionは、映画館ではすでに対応したものが存在したのだが、今回のCESでは、家庭向けのDolby Vision対応テレビを体験することができた。ちなみに映画館向けと家庭向けでは最大輝度のレベルが異なっており、言うまでもなく家庭向けのもののほうが低い。

デモに使用されていたのは、北米でのみ販売されているVIZIO社のテレビ。
それに、Dolby Atmos対応のサウンドシステムを組み合わせていた (天井に音を反射させるタイプのものだ)。視聴したコンテンツは、『ベイマックス』と『マッドマックス 怒りのデス・ロード』だ。

Dolby Visionによるダイナミックレンジの広い映像は、確かに従来の環境と比較すると、極めてリアリズムが高い。これに、前後左右の水平360度だけでなく、上方向からの音響効果が加わることで、凄い迫力を生み出している。

現在、北米では「VUDU」というサービスに、ソニーやワーナーなどの4大サプライヤーが映像コンテンツを提供しており、北米のユーザーは機材をそろえれば、Dolby VisionとDolby Atmosによる最先端環境を楽しめる。まったく悔しい限りだ。なお、このDolbyVisionとDolby Atmosを組み合わせた映画館向けのシステムは「Dolbyシアター」と呼ばれ、すでにいくつかの映画館が対応している。

○Dolby VisionとHDR10

さて、CES 2016では4KとHDRに対応する製品に対して付与される「ULTRA HD プレミアム」ロゴが発表された。
このロゴを提唱した業界団体「UHD Alliance」にはDolbyも参加している。HDRとは映像のダイナミックレンジを広げる技術のことであり、HDRコンテンツの規格として一般的なものに「HDR10」がある。映像機器の分野でHDRといえば、通常はこちらの規格を指し、Ultra HD Blu-rayもHDR10に対応している。

Dolby VisionもHDRの一種なのは間違いない。そして、現在のテレビ製品の中でDolby Vision対応テレビは最高レベルの輝度表示能力を持っている。HDR対応のテレビの中では、Dolby Visionはトップレベルであり、HDR10はより一般向けの製品だと考えればいいだろう。

2年ほど前に僕が初めてみたDolby Vision対応テレビの試作品は背面にファンがいくつも付き、テレビ1台で普通の家庭全体に匹敵する電力を消費してしまうという非現実的な代物だった。まずは映画のDolbyVisionが存在し、それから消費電力やコストなどを実用レベルのものにバランスして家庭用テレビに向けたDolby Vision規格が生まれたのだ。


北米では、Netflixが数カ月以内にDolby Vision対応コンテンツの配信をスタートさせる。今回のCESで発表されたLGのテレビ「LG SIGNATURE」などで、NetflixからDolby Vision対応の映画などを見られるようになる。

●VRヘッドマウントとDolby Atmos
○VRヘッドマウントとDolby Atmos

VRシステムとDolby Atomosの組み合わせも体験してきた。まずは、GearVRのデモだが音が全方位から聞こえることと、VRで映像を見回せることのインパクトは大きく、奇妙な体験という感じだ。GearVRとAtmos Mobileのシステムは比較的簡単に手に入る。その分、クオリティ的に劣るわけだが、今後、スマホが高速化して、本格的なタイトルが登場してくればかなり期待できる。

Oculus Riftは、より映像が精細かつスムーズだ。体験したタイトルはオリジナルで、VRのために作りこまれたSF作品とホラー作品、ライブ映像だった。
SF作品では、周囲の人々が自分をじろじろ見ているところを自分が見まわして見る、と文章化するとややこしい内容なのだが、今までにない体験でまさに没入するという感じだ。よりリアリズムを感じて怖かったのはホラー作品「BLACK MOUSE」。VRで周囲を見回せて、リアルな音がして、自分がその作品のなかにいるように感じると、その恐怖も半端ないものだった。ライブ映像は通常、ユーザーがいることのできない位置からライブを見ることができるのが面白いし、視点を変えてライブを体験できるのが楽しかった。いずれも普通の映画作品を見るものとかなり違う。

Dolby Visionの映像体験も確かに素晴らしいが、やはり、VR+Atomosのインパクトは凄い。Dolby Vision対応テレビが発売されていない日本では、GearVRの普及がより現実的なのかもしれない。

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