エルフ、ギャルネタ引っさげ東京進出「ノリで行くのもアリかなと」 目標は『THE W』優勝
●荒川、スベりすぎて10キロ減の過去ギャル語きっかけに躍進
ギャルネタで話題を集めるお笑いコンビ・エルフ(荒川、はる)が、今春より東京に進出する。新たなチャレンジを間近に控えた2人が、現在の心境や展望について明かしてくれた。
――2016年4月にコンビ結成してから約6年。荒川さんのギャルキャラのネタがよく知られていますが、結成当初から方向性は変わっていないのでしょうか。
はる:荒川はギャルの見た目は変わっていないですけど、最初の2、3年は「イエ―イ!」とか「アゲ~!」とかギャル語は出していなかったです。
――ギャル語を封印していたのはあえて?
荒川:ギャルが大好きなのでギャル路線で行きたいけど、お笑いはそういうのダメなのかなと思って、メイクも薄めにしたりして「もっと芸人らしいことしなきゃ」って思い過ぎていました。でも3年目くらいまでしんどかったです。「スベりダイエット」って呼んでるんですけど、ネタがスベりすぎて10キロ痩せました。
――苦難の時期があったと。
荒川:でも芸人として「頑張りたい」という思いは変わらず強かったです。そうしてある日、演者のことを全く知らないお客さんばかりのライブがあったんです。その頃、この見た目で「ちょっと何言ってんすかー!?」って言うのが、俯瞰で見て変だなと思ったんです。だから試してみようと思って、ピンで参加して「え~無理ぃ!」とかギャルっぽくやったら平場のトークがウケたんです。そこで「なるほどな! (芸人の固定観念などに)縛られていたな!」と。それ以来ギャル語をがっつり出すようになりました。
はる:それまで、ギャルなのに蝶ネクタイとかつけて違和感はあったかもしれません。
荒川からそのライブの話を説明してもらって「たしかに!」と思いました。今のほうが自然だし、めっちゃ楽しいです。
――今のスタイルのほうが楽しくてウケる。
荒川:余裕でそうですね。「芸事のためにキャラ作ったやろ?」みたいなことを言われるんですけど、芸事のためだけにずっとこれを貫くのは無理ぃ!
――4月から東京に進出します。上京の理由は?
はる:私自身は「東京に絶対行くぞ!」という思いを強く持っていたわけではありません。むしろなかったです。だけど2人で話して意見交換したときに「たしかに東京もいいかもな~」と考えるようになりました。
今まで大阪でずっと活動させてもらっていて、東京の方とご一緒する機会が、私はほとんどなかったです。東京はいろんな人がいると思うので、正直不安もあるけど楽しみです。
荒川:一生大阪から出るつもりはなかったんですけど、気がついたら「あぁ、東京行ってみたいな」と思いました。大好きな蛙亭のイワクラさんが東京に行ったのもきっかけの一つになりました。あとは『おもしろ荘』(日本テレビ系)に出させてもらって東京の方と触れ合うようになって「これもいいなぁ」と感じて、ギャルだしノリで行ってみるのもアリかなと。大阪の皆には「嫌になったら帰ってきま~す」と言って上京することにしました。自分たちにできることを一つずつ一生懸命やりたいです。
●東京では「ゼロからの出発」大阪芸人への感謝語る
――大阪が大好きだけど、東京へ。
はる:2人とも大阪出身というのが一番デカいと思いますけど、芸人として大阪で戦ってきて、そして吉本漫才劇場さんに所属させてもらって3、4年、いろんな芸人さんとライブやらせてもらったり、コロナ禍前は飲みに行かせてもらったりして、大阪の芸人の皆さんの人柄がめっちゃ大好きなんです。劇場でもMCやりたくて企画ライブやらせてもらったり、思い出がいっぱい詰まっています。
荒川:私も大阪の芸人さん大好きですね。劇場に上がるまでめちゃくちゃつらいとき、イワクラさんに「自分のことを信じてたら大丈夫」と言ってもらえて今の自分があると思います。バトルライブで7年ずっと一緒に切磋琢磨していた芸人さんや憧れの先輩芸人さん、皆さんへのリスペクトがあります。
はる:大好きな大阪の芸人さんを挙げたらきりがないんですけど、コンビで大好きなのは紅しょうがさん(熊元プロレス、稲田美紀)です。
荒川:それな! 紅しょうがしか勝たん!
はる:ほんまにお世話になりすぎて……。
荒川:はるは稲田さんにかわいがってもらって、私は熊元さんにかわいがってもらっていました。
はる:女性コンビ同士、一緒にユニットを組ませてもらったこともあります。荒川は熊元さんになつきすぎて、頬ずりしてましたから。普段あんな姿見たことないですね。
荒川:吉本に入って性格を変えてもらいました。吉本に入って皆さんとか関わってこなかったら、今の私はないと思います。
――大阪の皆さんは大恩人ですね。はる:そうですね~!
荒川:すごく感謝しています。
――思い出が詰まった大阪を後にして、東京で心機一転新しい日々が始まります。
東京でやりたいことや夢は?
はる:私は、東京に行かしてもらう機会がほとんどなかったので、東京の方とほとんど絡みがないので、仕事を通じて色んな人と出会いたいです。
――出演したい番組などは?
はる:荒川が何度か出演させてもらっている『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)、あとは『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)に出たいです!
荒川:自分たちは賞とかとらずに、武器なしで「イエ~イ!」という感じで東京に行くので、どこまでがんばれるのか、どこまで行けるのか分かりません。「行ってきま~す!」という感じでむちゃくちゃなことをしていると思います(笑)。私は東京で高円寺とか歩きたいですね!
はる:高円寺……!?
荒川:他にも今まで聞いたことのある街の駅とかいろいろ行ってみたいです。人間としてゼロからの出発という気がして楽しみです。
●賞レースで目指すは『THE W』優勝仕事は「何でもやります!」
――荒川さんはみちょぱさんに憧れているとのことですが、影響を受けて自身のギャルキャラに取り入れていることはありますか?
荒川:ギャルのなかでも正反対のタイプで、取り入れていることは全くないです。私、1年間ぐらい『ジロジロ有吉』(TBS系)という番組に出させてもらっていて、そこでやっている「みちょぱ化計画」という企画が今、4段目ぐらいです。ほんまに痩せました! ダイエット一つ一つのスパンが短すぎて大変でした。
たまたま別の局で『ジロジロ有吉』のプロデューサーさんに会ったとき、私、お弁当を2個持っていて「こら~!!」って怒られました(笑)。
――大変ですね(笑)。
荒川:7回くらい出演しているんですけど、私とみちょぱさんの2ショットを有吉さんに撮ってもらうという状況が、意味わからんくらいうれしくて「どんな世界線!?」って驚きました。みちょぱさんって、ボケ待ちの間とかトークの掛け合いとか上手い。やっぱり芸能界の最前線で活躍している人は違いますね。
――はるさんは現在、荒川さんへのツッコミの役割が目立ちますが、心がけていることは?
はる:「抑えてるの? 控え目なの?」って言われるんですけど、私自身、そんなつもりは全然ないです。荒川がギャルやっている横で、邪魔せんような顔だけは意識します(笑)。
――荒川さんから見たはるさんの魅力は?
荒川:圧倒的に奇人なところ(笑)。私がネタを考えているんですけど、いろんな抑揚で相槌をしてくれるんです。いろんなハーモニーで相槌を打ってくれるから、一緒にネタ考えてくれている気になります(笑)。あとは、たまに垣間見える想像を超えるキモさが面白いです。好きなように生きてほしいです。
――今後エルフとしてどうなっていきたいですか?
はる:賞レースで言うと(女性芸人No.1を決める)『THE W』は獲りたいです。世間的に私はまだ「ギャルの横にいるやつ」という感じだと思うので、いろんな方に私を知って頂いて「エルフはこうです」と示したいです。
荒川:私はWでもピンでも、漫才もコントも頑張りたいです。ギャルとお笑いが交わる……シャネルの真ん中の部分を絶対見つけたいです。両方がやんわり雑魚なコンビってなかなかいないと思います。いい意味で言えば親しみやすい、悪い意味で言えば雑魚2人(笑)。全てさらけだして「泥臭く何でもやります!」というスタンスで活動していきたいです。
――何でも、と言うと無人島企画に駆り出されたりするかもしれませんが。
荒川:はるはそういうのめっちゃ得意です。
はる:ほんまに全力でやらせていただきたいです。
荒川:私もはるも大阪時代からけっこう過酷な仕事やっているほうだと思います。芸人として大変な仕事も、ギャルとしてかわいい仕事も両方やりたいです。
●「ハートおムービング」は初々しさが魅力「元気に一生懸命」
――東京での仕事が本格化しようとしている今、吉本の芸人ソングを集めた『Laugh&Peace Music BEST2022』が3月16日に発売されました。同アルバムにはエルフの「ハートおムービング」も収録されています。同曲の魅力を教えて下さい。
はる:明るい曲っていうのはもちろんなんですけど、主に小倉海さんというアーティストさんがサビを歌ってくれていて、そこで一緒に歌わせてもらっていました。
荒川:3、4年前に制作した曲です。吉本内で弾き語りバトルと芸人のネタバトルがあって、1位になった同士がコラボするという企画でできた曲です。レコーディングも何もかも初めてでした。元気に一生懸命やらせてもらっていて、初々しいエルフだと思います。――この曲を引っさげて、19日開催の「Laugh&Peace Music YURAKUCHO FES」にも出演されます。
はる:ほんまに、この歌自体歌うのが2回目とかになるんです(笑)。大阪で音楽ライブで歌わせてもらって以来で、音楽フェスに出させてもらうのが久しぶりなのでめちゃくちゃ楽しみは楽しみです。
――2回目のライブということですが、緊張は感じないですか?
荒川:ありますよ~!
はる:私は歌というより、ツッコミのセリフとかも入れてもらったりしています。そこのタイミングとかも自分でちょっともう1回予習復習とかしとこうかなってのはあります(笑)。
荒川:ほとんどお会いしたことがない東京の芸人さんばっかりで、他の方がどんな曲を披露するか知らないので楽しみです。
■エルフ
荒川(1996年8月30日生まれ、大阪府出身)、はる(1996年6月16日生まれ、大阪府出身)によるお笑いコンビ。NSC大阪校38期生。2016年4月に結成。荒川のギャルキャラを生かしたネタが持ち味。『女芸人No.1決定戦 THE W』では、2020年と2021年の2年連続で準決勝に進出した。