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男性ブランコ、“大挫折”味わいKOC優勝を目標に 準優勝までの道のりと今後

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男性ブランコ、“大挫折”味わいKOC優勝を目標に 準優勝までの道のりと今後

●演劇サークルで出会い“月1マクドで会う仲”に
『キングオブコント2021』で準優勝し、一気にその名を世に知らしめたお笑いコンビ・男性ブランコ(浦井のりひろ、平井まさあき)。2人は大学時代に演劇サークルで出会い、そろってNSC(吉本総合芸能学院)に入学し、2011年に正式にコンビを結成。結成11年目で実力を証明し、出演ライブにも多くのファンが駆け付ける人気コンビに。2人にインタビューし、出会いから、『キングオブコント』準優勝までにあった挫折、準優勝後の変化、そして今後について話を聞いた。

○■大学時代の貴重な友達「好みがめっちゃ似ていて」

――お二人の出会いは大学の演劇サークル。当時から惹かれ合う部分がありましたか?

浦井:大学は違いましたが演劇サークルを共同でやっていて、趣味や好きなものが似ていて話が合うなという感じでした。僕は大学生活に失敗したというか自分の大学の友達がほぼできなくて、演劇サークルの中でも最初は唯一ぐらいの友達でした。

――友達ができなかったというのは人見知りが原因ですか?

浦井:人見知りも原因ですし、演劇サークルに入って最初の公演で僕が主役にいきなり選ばれて毎日稽古に。
学部の友達を作るという大事な期間をまるまる演劇サークルで過ごしてしまったので、公演が終わった頃にはある程度グループできていてどこにも入れない状態でした。

平井:2時間半ぐらいの公演でしたが、(浦井は)出ずっぱりで。ずっと稽古していて、単位が4……。

浦井:前期とれた単位が4。これ落としたら留年確定というのも軒並み落として。1年の前期で留年がほぼ決まりました(笑)

――1年の前期で(笑)。でも主役にいきなり大抜てきされたのはすごいですね。

平井:そうです、1年生で。
役柄も、奥さんや子供たちに逃げられた哀愁漂うお父さん役(笑)

浦井:18歳のときに50歳くらいのお父さんの役をして。

――役に合うということで抜擢されたのでしょうか?

平井:それもあると思いますけど、演技もうまいので。

――平井さんは、浦井さんに対して当時どんな印象を抱いていましたか?

平井:本当に何でもできた。ツッコミももちろんできましたし。文化祭では一緒にコントをやりました。――お二人ともラーメンズさんが好きだという共通点も。

平井:そうなんです。演劇サークルの先輩に教えてもらって。
面白いし、興味深いし、ハッとさせられるし、こんな感情を揺り動かされるお笑いがあるのかと。ずっと関西にいたので、どストレートなお笑いしか知らなくて。

――ラーメンズさんの話でも盛り上がったんですね。

平井:好みがめっちゃ似ていて、『水曜どうでしょう』も当時2人ともハマっていて。あと、立川志の輔さんの落語を見に行って、「落語すごい!」と思って2人とも好きになって、浦井は今、落語を1人でやったりしていますからね。それきっかけでしょ!?

浦井:それきっかけです(笑)落語にハマったのはそれがきっかけです。

――憧れのラーメンズさんの影響を受けているなと感じていることはありますか?

平井:同じことをしても勝てないですし、ラーメンズさんらしいことを真似しても絶対に追いつけないので。ただ、ライブでちゃんと経済として成立させていて、全国ツアーやグッズ販売とか、そういうやり方は存分に真似たいなと思います。


浦井:ライブ見た時の『手厚いですね、充実してますね』という、見た後の満足度は見習いたいところです。

○■NSC入学の話もした思い出のマクドナルド

――大学卒業前にマクドナルドで会ったときに、平井さんが「NSC行こうと思っている」と話したら、浦井さんも「俺も行く」とおっしゃったというエピソードは本当ですか?

2人:ほんまです。

――平井さんが行くと聞いてノリで返したのではなく、浦井さんもすでに行こうと考えていたのでしょうか。

浦井:はい。僕も行こうと思っていました。

平井:大学が違って、しかも(浦井が)同志社大学のアカペラサークルに入って、ほぼ同志社に行って活動をしていたので、しっかり会う時間はあまりなかったんです。でもなぜか月1マクド行く仲で。近況報告するために月1回、滋賀の、忘れもしない、ベルロードのマクドに(笑)。
就活の時期に、僕は内定1個あったんですけど「NSC行くわ」って話したら、「俺もNSCの願書を見ていた」って。それだったら一緒に組んで入ろうかって。(浦井は)留年していたので、「1年待つで」って言ったんですけど、「俺、もう無理や」って(笑)

浦井:卒業するのに2年以上かかると思って、もう無理だと(笑)
――コンビ名の由来も教えてください。

浦井:いきなりネタ見せの授業があったので、コンビ組んでいるってなったら、ちゃんと作ってみようって。

平井:僕が住んでいたところの近くの公園でブランコに乗りながら。それやったらコンビ名も考えようって。

浦井:「ん」が1個入っているコンビはだいたい売れているとか法則を気にしつつ、漢字とカタカナっていいよなって。

平井:最初、「片栗コンクリート」って適当なこと言って、「あ、違うか、反省!」って言ったんです。
で、反省と、ブランコに乗りながら考えていたから、「反省ブランコ」。ゴロいいじゃんって思ったんですけど、ネガティブすぎて笑いづらい可能性があると思い、反省に近い語感のものを探して、僕ら男性だから「男性ブランコ」。あ、いいやん! ってなりました。

●KOC優勝を目標にシフトチェンジ
○■NSC時代に行き詰まり…漫才からコントに変更

――最初の授業ですでに男性ブランコとしてネタを披露されていたんですね。当時のネタから変わらずに大切にしていること、もしくは変わってきたことを教えてください。

浦井:NSCの前半はずっと漫才をしていたんです。ボケとツッコミをしっかりみたいなオーソドックスな漫才を。

――コント中心に切り替えたきっかけは?

浦井:2010年のM-1にNSC生で出て1回戦で落ちて、再エントリーしてもう1回落ちて、もう漫才はダメだって(笑)。
NSCの授業も漫才ずっとしていて、後半に講師の先生お気に入りの人だけ集めた選抜クラスが作られるんです。面白い人は何人もの先生の選抜に入っていましたが、僕ら誰の先生の選抜も入れず、そこで最初の行き詰まりを感じて。大学のときにコントをやっていたから、1回コントに戻ろうという感覚でコントをやり出しました。

――そもそも最初に漫才をやったのは憧れとかですか?

平井:ほんまはコントをやろうと思っていたんですけど、大阪でNSCだからまずは漫才だろうと思ったんです。漫才ももちろん大好きなので。

――コントに切り替えてから、やっぱりコントが好きだなって感じましたか?

平井:なりましたね。

浦井:コントのほうがウケていましたし。

――2010年は『キングオブコント』にも出場されていますが、そっちで手応えは?

浦井:そっちも手応えはなかったです(笑)
――でもM-1よりは?

平井:そうですね。
○■単独ライブで感じた絶望キングオブコント優勝を目標に

――コントをメインにしてから、どのように進化させてきているのでしょうか。

平井:スタンスとしては去年変わりました。それまでは、テレビに出て売れなかったとしてもライブでしっかり経済活動として成り立たせたいと。ラーメンズさんが劇場でグッズを販売するとか戦略を立ててやることで経済活動に持っていくことを成し遂げられたので、それに憧れていました。テレビでうまく立ち回る自信はなかったですが、たくさんネタを作ってライブをすることは努力すればできることだと思ったので。でも、一昨年から各月で単独ライブをやりましたが、ご時世柄もあったと思いますがお客さんが一切増えなくて絶望して。僕の力でネタだけでお客さんを引きつけることできないんだ、経済的に成り立たせるライブツアーをするクオリティのものは作れないんだと思って大挫折しました。

――そこからやり方を変えたと?

平井:はい。去年の単独ライブで絶望して、ここはもう『キングオブコント』でなんとか知ってもらえるくらいのネタを作ろうという風に変えました。1個のネタをすごくブラッシュアップして、めちゃくちゃ笑えるネタにしようと。

――1個のネタをブラッシュアップするやり方は、大会以降も続けていますか?

平井:続けています。今の目標も『キングオブコント』優勝なので、優勝に向けてのネタ作りをしています。

――『キングオブコント』準優勝で一気に名前が知れ渡りましたが、反響はすごいですか?

浦井:やっぱり賞レースってすごいんだなと。全然違いますね。

平井:すごいなと思いました。単独ライブを頻繁になるというのも話題になるのかなと思っていましたが、(賞レースは)知ってくれる人の数が断然違いました。

――仕事量も増え、テレビへの出演も増えましたが、どれくらい変わりましたか?

平井:それまでテレビはほぼゼロで、ネタ番組もゼロでしたから。

浦井:そこの嫌さがずっとありました。ネタでやりたいのに、こんなネタ番組あって1個も呼ばれない。相当オーディション行きましたが全然通らなくて。

平井:やっていることは変わらないんですけど。今思えば、出しやすいということなのかなって。「キングオブコントファイナリスト」って紹介できるということなんだと思います。――『キングオブコント』を意識してネタを磨き上げたという進化も。

平井:そうですね。ただ、優勝するにはもっとやらないといけないなというのも思いました。

――お休みはありますか?

平井:『キングオブコント』以降、完全1日休みはないかもしれないです。それまでは休みだらけでした。

――大変化ですね。

2人:大変化です!

●解散は一度も考えず! 今後の目標を語る
○■吉本芸人の励ましに感謝「周りみんないい男です!」

――先ほど「大挫折」「絶望」という言葉も出ましたが、解散危機はありましたか?

平井:解散を考えたことは僕は1回もないですね。「辞めよう」もない。もう続けるしかない。そこは腹くくっています。

浦井:僕も辞めようというのは一番遠いところに置いていました。

――いつかわかってもらえるという自信があったのでしょうか。

平井:折れそうになるときはもちろんあって、その都度周りの人が「このまま続けて」「面白いから」と言ってくれて。久々のテレビの収録があったときに、なんかの事情で「収録ここまでです」って僕らの前で終わって何も披露できなくて。こんなことあるんか……これがテレビかと。落ち込んだときに、その収録に参加していた先輩のアイロンヘッド・辻井(亮平)さんがツイッターで「男性ブランコっていうおもろいヤツがおるから、絶対見といてください」ってつぶやいてくれたときは涙が出るくらいうれしかったです。よし、頑張ろうって。

――落ち込んでいるだろうと思ってつぶやいてくれたということでしょうか。

平井:そうだと思います。その日の夜に。それはずっと今後も覚えてますね。めちゃくちゃいい男です。周りみんないい男です! 同期も。「絶対大丈夫やから」って。

――吉本芸人さんってそういう絆が素敵ですよね。

平井:ほんまに。「思ったことあったら教えて」ってネタについて言い合ったりするんですけど、これ言ったらおもろなるからやめとこうというのがマジでない。ライバルではありますが、全力で俺だったらこう思うけどなって言い合っています。

――男性ブランコのお二人の関係も素敵だなと感じますが、仕事の仲間になって変わってしまったということは?

平井:月1マクド行く仲っていうこの感じがずっと。これがちょうどいいのかもしれないです。月1回、「こんなん見たで」「あれ見た?」みたいな。今でも会話の内容は、好きなものの話ばかり。当時と距離感は変わっていないです。

――月1マクドみたいな友達としての時間がこれからも毎月あるといいですね。

平井:そうですね、まずはマクドナルドさんに行こうか(笑)。当時の友達感は今もあるかもしれないですね。
○■キングオブコント優勝に向けてマシンガン戦法でネタ作り

――『キングオブコント』優勝が目標とのことですが、昨年は準優勝。優勝するためには何が必要だなと感じましたか?

平井:何が足りてなかったかっていうのはわからなくて。ただ、浦井から又聞きで聞いたのが、ガクテンソクの奥田(修二)さんが、『THE MANZAI』でファイナリスト常連になっていたときに、「無名のときは周りと競う。でもファイナリストというのが乗っかると過去の自分と戦わなあかんから難しい」と話していたと聞いて、確かにそうだなと。きっと去年と比べられる。去年より劣っていたら点数が低くなると思います。

浦井:去年の印象を超えてなかったら、普通の減点より大きい。

平井:去年の2ネタを絶対超えるネタを作らないといけないという気持ちですが、どうやったらできるのかわからないので、マシンガン戦法でたくさん作って、その中にいいのがあればと。これいけるんじゃないかなというネタをブラッシュアップしていく作業をして、その中でこれだというのが出てきたら。

浦井:金の卵がポンって。それを見逃さないように。

――将来的にはどういう風になりたいと考えていますか?

平井:近い目標として、今年『キングオブコント』で優勝し、来年全国ツアーでどの都市に行ってもちゃんとチケットが完売するというのを目標にしています。そのほかでやりたいことは、水族館や博物館、動物園など、館系・園系でコントができたら。水槽の前でコントやるのか、博物館だったら剥製の前でコントやるとか、面白そうだなと。お笑いを普段見ていない方も見てくれるのかなと思うのでやりたいです。

――M-1も、2年前は出場されていませんが、挑戦を続けられています。漫才への思いも教えてください。

平井:漫才は人を好きになってもらえる余地があるんじゃないかなと。コントは、男性ブランコのコントを好きになる人が集まってくれる。漫才は、浦井・平井を好きになってくれる人が来てくれる。層が違う気がして、両方やったらお客さんがたくさん来てくれるのではないかという思いで、漫才も男性ブランコの表現として必要なものだと去年思いました。僕は両立するなんて無理だと思っていたんですけど、浦井が「『M-1』出ようか」って。確かに人柄を好きになってもらえたらめちゃくちゃありがたいので、漫才もやっていきたいです。

――コントと漫才で心境は全然違いますか?

浦井:コントと漫才で心持ちは全然違います。コントはきっちり流れが決まっていて空手の型みたいな。アドリブはあまりない。漫才は、組手のような感じで全く違うなと。ただ、お互いが作用するなと感じていて、漫才の時のフリー感、アドリブ感がコントの中でも出しやすくなっています。

平井:コントはセリフをきっちり決めて、漫才は台本がないのでその場でやっている感じで作っていて、それがコントにもいい作用になっているというか、コントも肩の力を抜けるように。きっちりやらないといけないという緊張が10割方占めていましたが、漫才をやることによってコントでも自分の言葉で言えるようになったら楽しくなってきました。

●互いをリスペクトネタ合わせも揉めず
○■平井は「優しさがある」浦井は「読解力・適応力がすごい」

――相方が平井さん、浦井さんでよかったなと感じていることも教えてください。

平井:僕たちはネタ合わせで大揉めすることがなくて、やってみて、あ~この感じで、というのが多い。(浦井は)めちゃくちゃ読解力、汲み取る力があって、それを演技としてアウトプットする力がめちゃくちゃすごいのだと思います。

浦井:それは平井の優しさですよ。「僕が書いたネタをなんでこんな感じにしかできないんだ」って、ネタを書いている人が強く言うコンビもあると思いますけど、それが全くない。優しさがあるなと思います。

平井:俺が書いているんだぞっていうのは言ったことないですね(笑)。でも、ほんまに瞬発力、適応力はすごい。僕はあわあわしちゃいますが、動じないのですごいなと思います。

――平井さんが変わった役をやることが多いですが、実は浦井さんの役も変わっているという、そういうネタの印象が強いです。ネタはどういう風に生み出しているのでしょうか?

平井:面白純度100%で行くのであれば、2人がかりでいかないと勝負できないなと。僕だけ変なキャラクターをやったとしても勝てないと思ったので、パッと見まともそうだけど実は変という(笑)。そのほうが爆発力があると思いますし、僕らができる一番面白いネタってそういうネタなのかなと思っています。

――平井さんのヤバさを掘り下げるライブ「YABA for all All for YABA~平井のヤバさが春を呼ぶ~」も開催されていますが、浦井さんも実はヤバいと言われていますよね(笑)

平井:ライブにもなっちゃっていますけど、僕はやばくないです(笑)

浦井:僕は、まともそうで変っていうのは地に近いです。人に言われて気づいたんですけど。だからネタでも見やすいのかなとは思います(笑)

――3月20日に東京・ヨシモト∞ホール、3月24日に大阪・ナレッジシアターにて、単独ライブ「男性ブランコのコントライブ『変身ウミウシ』」が開催されます。

浦井:初めて東阪2都市で単独をやらせていただきます。どちらも配信もありますので、ぜひ見ていただけたらと思います。

平井:よろしくお願いします!

■男性ブランコ
浦井のりひろ(1987年12月3日生まれ、京都府出身)、平井まさあき(1987年8月1日生まれ、兵庫県出身)によるお笑いコンビ。2011年結成。大学時代に演劇サークルで出会い、2010年、大学卒業後に2人そろってNSCに入学。『キングオブコント2021』で、ザ・マミィと同率で準優勝し、一気に注目を集める。

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