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「スーパーママもきっと悩んでる」 - GMOペパボのママ社員に働き方をきいた

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「スーパーママもきっと悩んでる」 - GMOペパボのママ社員に働き方をきいた
●「普通の人間」が両立するために
「働くママ」として世の中で紹介されるのは、仕事も育児もバリバリこなすスーパーママのような存在が多いけれど、誰もがみんなそうやって働けるわけじゃない。ママ社員のリアルな悩みや乗り越え方、会社にどういうことを望んだのかなど、様々なWEBサービスを手がけるGMOペパボの社員に話をきいた。

○「会社を辞めてもメリットはない」

――お二人共、入社されてからお子さんが誕生されているんですね。子供ができて会社を辞めたいと思ったりはしなかったんですか?

杉村:全然考えなかったですね。ちょうど同時期に妊娠した社員が2人いたのですがて、よくみんなで一緒に育休から復帰できるといいねと話していました。

――戻ってきて一番大変だったことはなんですか?

杉村:子供が思った以上に熱を出すことです(笑)。特に保育園入園後は、園で病気をもらってくることもあるので。あとは、10時~19時という勤務だと、保育園のお迎えに間に合わないんですよね。
GMOペパボで初めて子供を産んだのが私だったので、人事に相談して勤務時間を8時~17時にして、18時半のおむかえに間に合うような時差勤務制度を取り入れてもらいました。

――馬居さんはいかがでしょうか? 辞めたいと思ったことは

馬居:1人目のときは正直なにもわからなくて、辞めるという選択肢すらありませんでした。会社の先輩ママ達に「仕事をつづけたほうがいいよ」とアドバイスをもらっていました。金銭的にも精神的にも「辞めるメリットはない」って。

杉村:たとえば働いている人だったら、「育児休業給付金」などの雇用保険制度があるので、辞めるとこうした給付も無くなるよ、と(笑)。精神的にも、ずっと家に1人で子育てをするのは大変です。

馬居:会社に先輩ママがいると、いろいろ教えてもらえるし、愚痴も言い合えたり、相談もできるのでとてもよかったです。

――馬居さんが大変だったことは

馬居:私は産後4カ月で復帰したのですが、そのときの役職はマネージャーでした。
周りも支えると言ってくれてたし、自分も問題ないんじゃないかと思っていたのですが、産前と全く同じ仕事の仕方をしていたら、私自身が40度を超す熱を何度も出したり体調を崩すようになってしまって。そんなことは初めてで、それまで自分は無理ができる人間だと思っていましたが、普通の人間だと気がつきました。

杉村:馬居さんのときは、ちょうどGMOインターネットグループが提供する託児所「キッズルーム GMO Bears」ができていましたよね。

馬居:会社に託児所があるのはすごく心強かったです。復帰したのが、まだ授乳期中だったので、仕事の合間に託児所にいき、子供にもちょくちょく会えるし、不安なことも託児所で相談できたので。本当に助かりました。でも、授乳をしながら働いたことが、体調を崩してしまった一つの理由だったのかもしれません。特に私が担当していたのは、新規事業だったこともあり、マネージャーである自分がこんな状態ではいけないと思い、信頼できるメンバーに託して、マネージャーは辞めさせてもらいました。
それからは、いちディレクターとして働いています。

○ものごとが思い通りにならない前提で動くように

――お子さんがいると、「話が通じるだけいい」と、会社の人に怒らなくなるといった話をきいたことがありますが、社内のコミュニケーションに変化はうまれましたか?

杉村:たしかに、子供を産む前より寛容になった気がします。「5歳児よりは話が通じる!」って思うし(笑)。

馬居:若い後輩たちがみんなかわいく思えてきます。ちょっと失礼な話ではあるのですが、年上の男性たちも、「皆赤ちゃんだったんだな」と思うとかわいく見えることもあります(笑)。

――人の育て方がわかったんでしょうか?

馬居:子供を産むまでは、自分の人生を良くも悪くも思った通りに動かそうとしていたのですが、子供は全く私の思い通りにはならないので「今、目の前にあることをいかに円滑にすすめるか」と考えるようになりました。相手が若くても年上でも、仕事ができてもできなくても、みんなでいい方に向かうにはどうしたらいいかと考えて動くようになりましたね。

――実はお母さんはマネージャー向きなんでしょうか?

馬居:子育てを経験したことがある人はマネジメントに向いているかもしれません。
ただ現実問題、マネージャーは自分の時間を犠牲にしないといけない事もあるので、難しいことが多いとは思います。子供を育てていると、確かにいろいろなことに寛容にはなるのですが、何かが進まない時に、倍追いつめられるというか。ひとつ歯車が狂うと、全部が狂ってきてしまうんです。でも誰にも迷惑をかけたくなくて、更に追い詰められる。なので今は、日々自分を追い詰めてしまわられないようにバランスを取りながら考えて動いています。

杉村:復帰した当初は、締め切りのある仕事は1人でもたないように、当時の上司が配慮してくれました。上司は子育ての先輩でもあったので、子供に急な発熱が起きることなどに理解があり、万が一その日仕事ができなくなっても、大丈夫なようにと。

馬居:子供は本当に急に熱を出しますからね。
でもたぶんそれも2歳くらいまでなんですよね。1歳半くらいから急に風邪をひかなくなるので、そこまでガマンすれば……。それがわかるだけでずいぶん気持ちが楽になります。わからないと、「どこまで続くの!?」と不安になってしまうので。

●世の中は絶対良くなっているはず
○お父さんも子育てが楽しくなれば

――世の中の働くスーパーママを見て、思うところはありますか? 「無理だよ」といったような気持ちは

馬居:子育てって、その人がどんなに優秀だろうが、そうでなかろうが、仕事をしていようがしていまいが、フラットだと思っています。スーパーウーマンに見えるママでも、結局はそれぞれ子供に喜怒哀楽を抱く、いちママであることは同じでしかないと思うんです。かっこよくてキラキラしているママを取り上げた雑誌なんかを見ても、もうその通りには見えません。悩んでないママなんか、絶対に世の中にいないと思う。


杉村:みんな絶対子供に振り回されてる。

馬居:スーパーウーマンががんばるのは素晴らしいことだと思うけど、その周りの人たちが、ちゃんと支えてあげてほしいなと思います。

――そんなにママが悩んでいる時、お父さんはどうなんでしょうか?

馬居:私達が思っているよりは、お父さんも悩んでいるみたいです(笑)。自分が子供のころの"お父さん"世代とは、「父親」って違う生き物になっていますね。保育園にお迎えに行って、週末も子供とすごすのは当たり前だし、奥さんの仕事も忙しい……。

杉村:「自分のお父さんは土日も家にいなかったし、かまってもらった思い出もないのに、どうして自分はこんなにがんばらなきゃいけないんだろう?」という気持ちはあるみたいですね(笑)。

馬居:男の人の方が、私たちよりもっとお手本がいないですもんね。お父さんたちは、昔の世代と環境が全く違うし。
「イクメン」とかも、理想像があやふやというか。ちゃんとしていないじゃないですか。

杉村:よく言われるイクメン像をやろうと思ったらもたないですよね。

馬居:難しいですよね。何かが壊れますよね。本人なのか、家族なのか。

――例えばネット上で、「僕は子育てを手伝ってます」と言った人が、「手伝うとはなんだ!」と怒られたりしているのをよく見ますが……

馬居:うちの夫はエンジニアで、WEBをすごく見ているので、何をいったら妻が怒るかという地雷は把握しています(笑)。

杉村:うちの夫もWEBエンジニアなので、なんだかんだネットの情報は見ていて「こんなことでみんな怒るんだね」と言っています(笑)。

――情報は大事ですね。今は男性も仕事と育児が両方できなければいけない、ある意味オールマイティにならなければいけないことへの戸惑いは

馬居:夫を見ていると、「仕事も子育てもやらなければいけない」という使命感があるというより、子供と関わっていたら子育てが楽しくなってきちゃったから、頑張ってる感じだと思うんですよね。私たちは妊娠している時からママになっていってるんですが、お父さんたちは子育てをしながら少しずつお父さんになっていっている気がします。

杉村:子供は3歳を超こえてから急に人間らしくなるので、さらにかわいくなったと言っています(笑)。息子が自分の趣味を理解してくれて一緒に遊べるようになったのがうれしくなったらしくて。新しい友達ができたみたいな感じなのかもしれないですね。

馬居:子分みたいな存在なのかもしれません(笑)。

○「産んだのは自己責任」と思ってしまうことも

――もっと会社が、あるいは社会がこうなってほしい、と思うことはありますか?

馬居:ママたちって、働いていても働いていなくても、実は全員みんな追い詰められてしまうことがあると思うんですよね。今は色々な価値観があって、どんなライフプランを選択するかは自分やパートナーで考える潮流があると思います。どれもいいよね、となっているから、なおさら「子供を産んだのは自己責任」と、自分に帰ってきてしまう。

――「好きで産んだんだろう」みたいな……

馬居:誰に言われたわけでもないのに、自分で自分に言ってしまうんです。仕事があっても「産もう」と選択をしたから、「自分でやらなきゃ」って追い詰められてしまうので、誰かに助けてほしかったという思いはあります。私はもちろん周りのみなさんに助けてもらったんですが、もっと世の中が「みんなで子育てをする環境」になってくれたらいいなと思います。

――実際、今は会社には色々な要望を反映してもらっているのでしょうか

杉村:そうですね、うちは人事にも働くママが2人いますし、かなり働くママの実情を把握して、要望が通る方だと思います。最近だと、"小1の壁"に直面するスタッフが実際にいたので、そこはなんとかならないかと相談し、対応してもらいました。具体的に言うと、子供が小学校に就学すると時短勤務や時差出勤制度が利用できなくなり、制度上、通常勤務時間での勤務スタイルに戻らなくてはならない状況でした。小学校は、保育園よりも早く下校時間を迎えるのに、一方で私達の勤務時間は長くなってしまうんです。こうした背景から、小学校3年生まで時短・時差勤務ができるようにしてもらいました。でも理想を言えば、子供を育てている人たちだけじゃなくて、みんなが勤務時間を自由に選べるといいのかなとは思います。その人にあった生活のリズムがあったりするので。ただ、完全に自由にしちゃうと、みんなが揃う時間が少なくなるのでミーティングを開催しにくいといった問題も出てくるとは思いますが。

馬居:あとは会社の利益が下がって悪循環になるのは困るので、子供がいても、利益に寄与できる働き方をしたいとは思っています。

――会社に望むだけではなく

馬居:そうですね。私たちは会社が制度を導入してくれて、働きやすい環境で仕事できているから、会社の利益のことも考え全力をつくしていますが、「子供がいることで、みんなと同じ働き方ができないなら、言われたことだけやっていればいい」と言われてしまうような環境だったら、会社への愛着もなくなってしまいますよね。ママになると違う人間になるんじゃなくて、たまたまそういう期間なんだよ、という認識が広がってくれたら嬉しいですね。

――この数年でいろいろな変化を感じますか?

馬居:振り返ってみると、1人目の時より2人目の時の方が予防接種の助成金が増えていたりとか、一生懸命子育てがしやすい社会になるよう進めてくれている誰かがいるんだなと思います。確実に、働きながら子供を育てやすい世の中になる希望はありますね。ただ、実際のGMOペパボのママ達たちは、みんな3年後、5年後の展望に向かっているというよりは、目の前のことに一生懸命なんじゃないかな、と思います(笑)。よく、子育てと仕事の両立は短距離走だね、と言っているのですが、あと何カ月走ろう、次は1歳半まで、その次は3歳になるまで、と「目の前のここまで頑張ろう」ということしか考えられないんです。それ以上考えると不安になるので、目の前のことだけ見るようにしています。

――キャリアプランを立てる、などは

馬居:キャリアプランを立てるのは難しいですね(笑)。でも子供を産んで後悔することはまったくないし、絶対皆が世の中を良くしてくれているから、そこは信じて産もう! とは言いたいです。

杉村:会社に、「このままだと働けなくなりますよ」とSOSを出したときに「それじゃ困るから変えよう」と言ってもらえるのは嬉しいですよね。

馬居:そう言ってもらえるように私達も頑張らないといけないですね。

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