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樋口真嗣監督「永遠に撮っていたいぐらい楽しい撮影だった」 - 『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』Blu-ray/DVDが2月17日発売

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樋口真嗣監督「永遠に撮っていたいぐらい楽しい撮影だった」 - 『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』Blu-ray/DVDが2月17日発売
●「進撃の巨人」との出会い
2015年8月1日より公開された劇場作品『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』が、Blu-ray/DVDとなって2016年2月17日にリリースされた。

2009年に「別冊少年マガジン」(講談社刊)にて連載が開始して以来、そのオリジナリティー溢れる構成力でたちまち全世代を虜にした、諫山創氏が描くコミックス『進撃の巨人』を原作とする本作。2015年9月19日には後篇となる『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』も公開され、2部作の合計興行収入が50億円に迫る大ヒットを記録した。

映画化にあたり、監督を務めたのは、『ローレライ』(05)、『日本沈没』(06)、『巨神兵東京に現わる』(12)、『のぼうの城』(12/共同監督)などを手掛けた樋口真嗣氏。スタッフとともに常に新たな特撮の可能性に挑んできた樋口監督だが、本作では特撮とCGの融合を追求した映像<ハイブリッドVFX>を活かし、"CG だけでは得られない生のリアルさ"と"特撮では得られない飛躍"をスクリーン狭しと展開し、実写ならではの魅力を追求した作品に仕上がっている。

そこで今回は、Blu-ray/DVDの発売にあたり、あらためて樋口監督に作品を振り返ってもらった。

○樋口真嗣監督が語る『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』

――昨年夏に公開された『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』がBlu-ray/DVDとなってリリースされますが、監督ご自身としては一段落といった感じでしょうか?

樋口真嗣監督「それが全然……ゴジラの撮影をずっとやっていたので(笑)。公開された映画はちゃんと劇場で観ることにしているんですけど、なかなか行く余裕がなくて、お客さんの反応などが見れていない。
なので、ちょっとモヤモヤしているのに、もうDVDが出ちゃうんですよね」

――『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』の監督を引き受けることになった経緯を教えていただけますか?

樋口監督「まだ原作が2巻か3巻ぐらいまでしか出てない頃に、表紙に惹かれて読んでみたらメチャクチャ面白かったので、東宝のプロデューサーに漫画を渡して、こういうのをやりましょうって話をしたんですけど、もうすでに他のチームがやることが決まっていたんですよ。でも、それが途中で止まったようで、繰り上げ当選みたいな感じで監督をすることになりました。手を上げておいてよかったです(笑)」

――かなりハードルの高い作品だと思うのですが、原作を読んだときから実写化のビジョンはできていたのでしょうか?

樋口監督「上手くいくかどうかはわからないけれど、やりたいかやりたくないかで言えばやりたかった。そのうえで、どうやって実現するかは決まったらみんなで考えようみたいな感じでした。ただ、こうすれば上手くいくかもしれないというものがあっても、今まで誰もやったことがないことなので、結局いろいろなやり方をひとつひとつ検証していかなければならない。ダメならCGでやればいいと思いながらも、できるだけCGを使いたくなかった。使わないほうがストレスが少ないので」

――CGを使うとストレスになるのですか?

樋口監督「CGの場合、最後までやらないとどのようになるかがわからないんですよ。だから、ずっとどこかで心配しながら作らないといけないのがすごいストレスになる。
本当にこれでできるのか、途中の段階ですごく不安になります。特に今回のように、今までにやったことのないものをやるとなると、さらに不安になりますね」

――今回の特撮で大変だったのはどのあたりでしょうか? 特にワイヤーアクションの部分はかなり大変だったのではないかと思うのですが?

樋口監督「全部大変でしたが、逆にワイヤーアクションの部分は、もっと苦労すると覚悟していたんですけど、田淵さん率いるアクションチームが頑張ってくれたおかげで意外と最初のテストの段階でかなり良い手応えがあったので、あとは細かく詰めていけばいけるなって。ただ、役者さんがものすごい体力を使うので、何度もはできないんですよ。だから、どうやったら一回で上手くできるかを考えていました。苦労するのは自分よりもやっている人たちなので」

――本作では、巨人役のオーディションなども話題になりました

樋口監督「誰でもいい訳ではないので、選ぶのはけっこう大変でした。オーディションには300人ぐらいいたんですけど、そこから20人くらいに絞り込んで……ビックリ人間大会みたいな感じでした(笑)」

――オーディションで選んだ基準はどういったところだったのですか?

樋口監督「個性的な人ですね。キャラクターとして確立しているかどうか、見た目のインパクトが一番で、あとは表現力。まあ、何よりも外見ですね。
撮影中はずっと裸で付き合っていたので、服を着ている状態で会うと、どなたでしたっけ? みたいな(笑)。裸のときの社会性のない感じがすごくて。とにかく存在感がすばらしいんですよ。ボディメイクをしているので、お尻の小さい面積でしか座れない。だから、みんなで輪になって、ちょこんと座っているんですけど、それが可愛くて(笑)」

●永遠に撮っていたかったぐらい楽しかった
――今回の撮影で軍艦島をロケ地に選んだのは監督の意向ですか?

樋口監督「そうですね。以前、別の仕事で何度か行ったことがあって、ここでロケができたらいいなって思っていたんですよ。原作通りにするのであれば、その近所にあるオランダ村やハウステンボスなんですけど、日本人が出演する以上、ヨーロッパである必要もないし、ちょうど連載しているときに、付録で巨人のゴム人形みたいなものがついてくる回があって、それを使った写真コンテストがあったんですよ。そのときに原作の諫山さんが選んだものに、現代の横浜に巨人が現れるみたいな合成写真があって、『本当は現代に登場させたかった』みたいなコメントをしていたので、それなら映画は現代を舞台にしようという話もあったのですが、原作に沿った物語の受け皿として。
日本のなれのはてのような世界を舞台にすることになった。それなら軍艦島がピッタリじゃないですか。なので、軍艦島をビジュアル的な背景の柱にして、作品を組み立てていくことになりました」

――軍艦島での撮影も大変だったのではないでしょうか?

樋口監督「たぶんもう許可は下りないでしょうね。世界遺産の絡みもあって、我々が撮影した場所はもう入れないと思います。本当に危険なところで、ヘルメット率が異常に高かったです」

――映画監督というより現場監督ですね(笑)

樋口監督「本当にそう。職業が変わっちゃうんじゃないかって(笑)」

――キャスティングも基本的に監督の指名ですか?

樋口監督「若い人はいくらかオーディションもやりましたが、メインどころは指名してオファーしている感じです」

――主人公のエレン役に三浦春馬さんを起用した理由は?

樋口監督「何年か前に、劇団 新感線の舞台をみたとき、すごく良かったんですよ。ドラマだとセンシティブな芝居をする印象があったので、あそこまで振り切れて動けるとは思っていなかった。身体のキレがとにかくすばらしくて、これを誰も使わないのはもったいないと思って、芝居のあとの打ち上げに忍び込んで、一緒にやろうよって口説きまして(笑)。
そのときは、『進撃の巨人』の話ではなかったんですが、『進撃の巨人』をやることになったとき、もう三浦君しかいないだろうって思いました。巨人になったエレンのイメージにうまく繋がったのも理由のひとつですね」

――クランクアップのときの感想はいかがでしたか?

樋口監督「最後はグリーンバックで、立体機動のシーンを一人ずつ撮影して終わったんですけど、みんな花束をもらって去っていくのを見ていると、だんだん腹が立ってきて……。とにかく撮影が楽しかったので、何で終わるのにうれしそうな顔をしているんだよって。俺は寂しいんだ、もっと撮っていたいんだって思っているのに、みんなが『もう嫌だ』っていうのが顔に出ていて(笑)。本当にきつかったと思うんですけど、僕自身はそちらのほうがかなりこたえました。本当に永遠に撮っていたかったぐらい楽しい撮影でした、僕自身は」

――巨人同士の戦いのシーンなどはかなり力が入っていたのではないでしょうか?

樋口監督「巨人化してからの戦いを撮っているのは(特撮監督)の尾上(克郎)さんなんですよ。ほかの部分はコンテを出してイメージを統一したんですけど、巨人の戦いは具体的に決めちゃうよりも、アクション監督と尾上さんに任せて、現場で生まれるエネルギーをきちんと撮ってもらうほうがいいんじゃないかと思って。もちろん自分でも撮りたいという気持ちはありましたが、もうすべてお任せしました。
ただひとつだけ、"飛び蹴り"は必ずいれてくれってお願いして(笑)。今回撮影して思ったのは、原作が完結していないものを映画化するのはこんなに大変なのかってことですね」

――映画として、何らかの結末が必要になりますからね

樋口監督「そこが本当に大変で。映画を作っている間にも原作は進んでいくじゃないですか。そうしたら、ああ、こうなっちゃったか……みたいなことが何度もあって」

――そこをいかに割り切るかが難しいのではないでしょうか?

樋口監督「そこは段々と割り切れるようになっていきました。逆に、すり合わせているのか、意外とこちらのネタが原作に反映されることもあったりして。結果として映画が原作どおりになるので問題はないんですけど(笑)」
――ひとつ監督お伺いしたかったのは、当初、キャラクターデザインとして貞本(義行)さんのお名前が挙がっていたと思うのですが

樋口監督「そういう風に出ちゃったんですけど、実際は映画に出てくる車のデザインをお願いしています。貞本さんが車やバイクが大好きなので」

――そんな『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』がパッケージ化されますが、あらためての感想はいかがですか?

樋口監督「劇場公開のときは、映画館まで足を運んでくださいって言っておきながら、舌の根も乾かぬうちに、パッケージを買ってくださいというのもあれなんですけど(笑)、繰り返し観られるのがいいところだと思います」

――Blu-ray/DVDであらためて観るときに注目してほしいポイントはありますか?

樋口監督「キャラクターひとりひとりを追いかけて観てもらえると、また違った発見があると思いますし、遠くのほうにいる巨人の動きなども、じっくり観てみると面白いんじゃないかと思います」

――それでは最後に発売を待つファンの方へのメッセージをお願いします

樋口監督「すばらしい原作をどうやって映像化するかということを考えながら、丸々2年掛けて頑張りました。これ以上のものは簡単にはできないだろうという、ある種の到達点までやり込んだつもりです。
買う価値のある作品になっていると思いますので、ぜひお買い求めください。よろしくお願いします」

――ありがとうございました

『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』のBlu-ray/DVDは2016年2月17日の発売。Blu-ray/DVDともに豪華版と通常版がラインナップされており、豪華版には「オリジナルメイキング」映像やイベント映像集を収録した特典ディスクが同梱されるほか、イメージボードや画コンテなどを収録した100ページ超のスペシャルブックレットやキャラクタービジュアルカード(7枚組)などが封入される。なお、後篇『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』のBlu-ray/DVDは2016年3月23日の発売予定となっている。

(C)2015 映画「進撃の巨人」製作委員会(C)諫山創/講談社

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