4月からキャリアの電力サービスがスタート - プランや値引きはどう違う? それぞれの特徴をチェック
2016年4月からスタートする電力自由化により、従来の大手電力会社だけでなく地域の電力会社や新規参入の電力事業者から電気の契約先を選択できるようになる。新規参入の電力会社としてガス会社や石油会社など様々あるが、注目は通信会社によるサービスだ。
ポイント付与やモバイル・固定回線の通話料金とのセット割などにより、費用面における割引が期待できる通信会社の電力サービス。ソフトバンクの「ソフトバンクでんき」とKDDIの「auでんき」、ドコモの動向についてまとめて紹介する。
○豊富なプランが魅力の「ソフトバンクでんき」
ソフトバンクが提供する「ソフトバンクでんき」は4月1日時点では東京電力エリア、中部電力エリア、関西電力エリアのみの提供になるが、順次全国に拡大していく。プランは大きく分けて3種類。「スタンダードプラン」、「バリュープラン」、「プレミアムプラン」だ。
スタンダードS/L/X
単身・夫婦共働き向け。
「スタンダードプラン」は「S」「L」「X」の3つに分かれ、「スタンダードS」はアンペアブレーカ契約で60Aまでのプランで、「スタンダードL」は利用者取り付けのブレーカでの契約で6kVA以上のユーザー向けプラン。また、「スタンダードX」はスマートメーターを使って計測した使用状況で基本料金が決定される。
バリュープラン
3~4人家族を対象としたプラン。東京電力との提携による共同プランで、毎月の使用電力が300kWhまで定額だ。300kWhに満たなかった場合は、使わなかった分の電力量に応じてTポイントまたはソフトバンクの携帯電話で利用可能なデータ量として還元される。
プレミアムプラン
大家族向けのプラン。電力量料金が400kWhまで定額で、超えると割安になる単価設定の従量制になっている。
ポイント付与については、東京電力との提携を通して提供するプランにおいて、1,000円で5ポイント、Tポイントが貯まるようになっている。
また、通信料金とのセット割については「おうち割 でんきセット」を用意。ソフトバンクの携帯電話または「SoftBank 光」などの固定通信サービスと合わせて契約することで、携帯電話また固定通信サービスの利用料金から最大毎月300円を割引かれる。供給エリア: 東京電力・中部電力・関西電力エリア(順次拡大予定)
セット割: 「おうち割 でんきセット」
セット割の割引額: 最大300円割引
ポイント付与対象: Tポイント
●auでんき
○auのケータイ・スマホユーザーならお得な「auでんき」
KDDIが提供する「auでんき」はauの商品を契約しているユーザーが対象で、料金プランがシンプルなのが特徴。「でんきMプラン」と「でんきLプラン」の2種類あるものの、「でんきLプラン」は法人向けなので単身者や一般家庭のユーザーの選択肢は自然と「でんきMプラン」のみになる。
電気料金は従来の従量電灯プランと同等の料金だが、注目はauの携帯やスマホとのセット割である「auでんきセット割」を適用することでキャッシュバックされる仕組みだ。「au でんきセット割」では「auでんき」の利用料金に応じてキャッシュバック率が変動し、最大5%相当のWALLETポイントが「au WALLET プリペイドカード」に入金される。
供給エリアは沖縄と離島を除く全国。ただし、「auでんき」を利用する上での注意点としては、利用期間が定められていること。
利用開始日から1年未満で解約する場合、2,000円が解約違約金として必要となる。
供給エリア: 全国(沖縄と一部離島を除く)
セット割: 「auでんきセット割」
セット割の割引額: 「auでんき」利用料金の最大5%
ポイント付与対象: 「au WALLET プリペイドカード」(要・セット割の適用)
●ドコモはどうする?
○NTTドコモの電力サービスは今後に期待?
2016年2月の時点において、キャリアで電力サービスを開始するのはソフトバンクとKDDIの2社。NTTドコモでは発表されていない。
NTTドコモの加藤薫社長は、2015年度の第3四半期決算発表会で、「単なるセット割引きではなく、エネルギー各社と連携することで新たな付加価値を提供できるサービスとは何かを、一生懸命考えている」と発言している。また中部電力に続き、関西電力、東京ガスなどとの連携も行っていると明かした。ただし、dポイントを使った連携を考えているとのことで、すぐに電力サービスがスタートするというわけではなさそうだが、今後を期待させる要素のひとつだろう。
加えてNTTグループでは、NTTファシリティーズが2000年に東京ガスや大阪ガスと共にエネットを設立。天然ガス発電などを行なっており、新電力として全国9エリアで電力小売りサービスを展開しトップシェアを誇っている。
もしかしたらNTTグルーブ内の連携も可能性としてありえるかもしれない。
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さて、電力サービスが発表されていないドコモはともかく、ソフトバンクとauのサービスを並べてみるとプラン設定が大きく異なっているのが分かる。様々なプランから家族構成で選択できるソフトバンクに対して、auユーザーを対象に個人・家族ユーザーは実質1プランのKDDI。
また、キャリアの電力サービスでおトクさを追求したい場合、電力サービスだけでなく、やはりセット割も視野に入れトータルの月額料金で値引きを期待したいところだ。特にauの場合は電力料金が従量電灯プランと同等ということで、セットで利用することが割引の前提になっている。
電力自由化で電力料金の低下やサービスの充実が期待される反面、様々な企業が参入しているだけにどこを選べばいいのか迷うが、ソフトバンクやauで携帯・スマホを契約している場合、ここで紹介したサービスを候補に入れてみてはいかがだろうか。