一般家庭向けの電力自由化まであとわずか - 第2回 電力自由化EXPOから
○一般家庭向け自由化開始目前の展示会。新電力会社とそれを支えるサービス
一般家庭において、電気をPPS(新電力会社)から購入できるようになるのは来月(2016年4月)で、いわば最終ラウンドのゴングが鳴る直前。今回、出展者数はそれほど多くなかったが、内容は熱かった。
まず、Looopは4月から始まる「Looopでんき」のおうちプラン、ビジネスプランを中心に展示。おうちプランの場合、提供エリアとなる東京と関西、および中部電力エリアのすべてで、基本料金「0」、1kWhあたり26円(税別、燃料費調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金)というシンプルな料金体系を訴える。
基本料金「0」となるのは、2016年5月31日までに申し込んだ場合のみだが、状況に応じて申し込み期間の延長も検討するという。
ブースでは、抽選で「一年間分の電気代(10万円)」のプレゼントを行っていた。
近畿電力/愛知電力は、地域密着型をアピール。「既存の電力会社を都市銀行とすれば、我々は地銀や信用金庫的のような小回りの利いたサービスを提供する」ということだった。
その小回りを支えるのが、アウトソーシングサービス。富士通コミュニケーションサービスは事業者のコールセンター等を引き受け、事例としてLooopの業務委託を受託しているという。また、関電システムソリューションズは電力小売事業者向けのコンサルティングと顧客情報管理システムを提供するという。
○既存の電力会社は攻めの体制、次に来る発送電分離を見越した展示も
一方、既存の電力会社はどうだろうか? 東京電力は、エリアを超えた営業活動と電力にとどまらない行動を示す。ガス会社との連携(現段階ではプロパンガス事業者)に加え、豊富なエネルギー輸入を生かしたLPG販売ビジネス、そして他の電力会社エリアへの進出と、攻めに出ている状況が見受けられる。
○(おまけ)電力自由化にまつわる技術など
電力自由化の最終段階は、発電と配電を別会社とする発送電分離で、2020年から実施される。配電会社にとっては、配電ビジネスで利益を確保する必要性とともに、地域を超えた送電ビジネスが生まれるだろう。
日立製作所と東芝は、高圧直流送電システム(HVDC)を前面に出していた。日立製作所の説明員によると、交流送電は数百km以上の長距離、および50km超のケーブル送電などには向かないそうだ。また、周波数変換が必要となる東日本(50Hz)と西日本(60Hz)の融通を考えると、これからは直流送電の技術も必要になるとのことだった。
「コストを考えると民間投資に向きにくいのでは?」と、意地の悪い質問を投げてみたところ、「送電中継手数料ビジネスという手法を使うことで、国内だけでなく国際送電ビジネスの可能性が生まれる」と、ワールドワイドでの展開も見据えてるようだった。