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工藤阿須加、俳優兼農家の今 農業での“本質に触れる感覚”が芝居にもプラスに

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工藤阿須加、俳優兼農家の今 農業での“本質に触れる感覚”が芝居にもプラスに

●5人兄弟の長男として培われた“人の話に耳を傾ける力”
腕に自信のあるアマチュアベイカーが集い、スイーツやパン作りを競い合うAmazon Originalクッキング・リアリティ番組『ベイクオフ・ジャパン』シーズン1で、番組ホストに抜てきされた工藤阿須加。誠実さあふれるホストぶりでベイカーたちに寄り添い、彼らを激励しながら番組を盛り上げている。俳優としてはもちろん、今は農業にも取り組んでいる工藤。自分の本職について「俳優兼農家」と話す彼が、新たなチャレンジにかける思いを明かした。

イギリスで社会現象を巻き起こした人気番組『ブリティッシュ・ベイクオフ』の日本版となる本作。総勢10人のベイカーが1話ごとに3つの課題に挑戦。制限時間以内に課題のスイーツやパンを作り、スター・ベイカー(優勝者)を決めるクッキングコンテストだ。

女優の坂井真紀と一緒にホストを務めることになった工藤は、「番組の主役となるのは、アマチュアベイカーのみなさん。
ホストをやるにあたってはまず、『アマチュアベイカーの方々のコンテストにかける思いや人となりがどのようにしたら伝わるのか』ということを考えました。できるだけたくさんの魅力が伝わるようにしたい、僕はその手助けをするんだということを心に留めていました」とサポート役に徹して、番組に臨んだという。

「タイプのまったく違う方々が集まっています」というように、集まった10人のベイカーは年齢や性別、性格も異なるカラフルなメンバーたち。同じテーマに沿いながらも、それぞれの個性を注ぎ込むことで異なるスイーツやパンが完成する点が大きな見どころで、工藤も「僕自身も、どのようなスイーツやパンが出来上がるのかとても楽しみでした」とにっこり。「回が進むごとに、ライバルではありながらも、ベイカーのみなさんの間に勝負の垣根を超えた絆が生まれて、仲間意識が強くなっていく。毎回1人が番組を去ることになりますが、僕もどんどんみなさんに情がわいてきて、せつなくなったり、グッとくる瞬間も多かったですね」と振り返る。

番組では、柔らかな笑顔でベイカーたちの緊張をほぐしている工藤。温かみと誠実さの伝わる人柄も魅力的だが、人と接するときに心がけていることはどんなことだろうか?

工藤は「“相手がどういう言葉を言われたら嫌なのか”、“どういうことをされたら嫌なのか”ということを考えるようにしています」と相手視点に立つことを大切にしているそうで、「ベイカーのみなさんの中で考えても、『頑張れ』という言葉をかけて頑張れる人もいれば、その言葉が重みに感じてしまう人もいるはず。
それを見極めるためには、まずは自分が聞き役に徹して、相手の人となりを話してもらうことが大事だと思っています」と語る。

“人の話に耳を傾ける力”を培った原点は、「小さな頃から、大人がいる環境に触れることが多かったからかもしれません。また5人兄弟の長男で育ったことも、影響しているかもしれませんね。5人それぞれ性格も違うし、集まったときには言うこと、やることも違いますから(笑)。僕の家族は、助け合う家族だと思います。妹や弟に助けてもらうことも多いですし、本当にいい妹、弟たちです!」と家庭環境も影響している様子。

続けて「僕は『すべての物事は表裏一体なんだ』と思っているところがあって。誰かから見たらいいことでも、誰かから見たら悪いことに感じることだってある。
誰かにとっての正義が、誰かにとっての悪になることだってありますよね。人によって視点が変われば、物事の捉え方もすべて変わってくる。いつの間にかこうやって世界を見るようになっていて、それはもう僕のクセになっています」とモットーを告白。「自分視点だけで生きていると、世界が狭くなりますから」とさまざまな側面から物事を見つめているという。

●俳優と農家の両立「1日24時間では足りない(苦笑)」

番組を通して、工藤は「刺激を受けることも多かったです」としみじみ。「年齢に関係なく、ベイカーのみなさんが思い切ったチャレンジをしていました。もちろん何かに挑む上では恐怖も付き物ですが、『それを乗り越えたら新しい世界が見えるんだ』と改めて感じることができました」と話す彼自身も、2021年からは農業という新たな分野へのチャレンジをスタートさせた。

農家を始めたきっかけは、「コロナ禍の影響も大きい」という。
「コロナ禍でいろいろなことがストップして、自分のことを見つめ直す時間がありました。そこで自分のやりたいこと、伝えたいこと、やらなければいけないことなど、いろいろと区分してみたところ、自分のやりたいこととして明確に浮かび上がってきたのが農業です。幼い頃に体が弱かった僕が、食を通して体が強くなったという経験があったために、もともと食に対しての興味や関心を強く持っていて。だからこそ農大に通ったりもして、僕の人生の分岐点にはいつも農業があるように感じています」と打ち明ける。

さらに「時間ができたら、落ち着いたら……。そんなことを言っていたら、何も手に入らないないし、何も見つけられないなとも思いました。僕は今30歳になりましたが、20代で始められていたら、もっといろいろなことができたかもしれない。そういった後悔もありますが、『チャレンジしてみよう』『やるべきことがある』と思ったら、リスクがあったとしても、どんなタイミングであれ、始めてみることが大事かなと。
むしろリスクを負わないことが、後々リスクになるんじゃないかなと思いました。コロナ禍において、これまで以上に現実と未来について考えるようになったんだと思います」と熱を込める。

農業に本腰を入れたことで、「僕たちは自然に生かされて、そこに住まわせてもらっているんだなと、改めて自然の力を感じている」そうで、「土に触れることでメンタルのバランスを良好に保つことができているなとも感じています。自然って素直で、嘘がないんです。注いだことがダイレクトに返ってくる。土を触って感じたことが、僕自身の実となり、血となり、肉となっている。本質に触れているような感覚もあって、それは芝居にも生かされる気がしています」と俳優業にもいい効果をもたらしているという。

俳優と農家の両立については、「今でも試行錯誤しています」と苦笑い。
「役者業を通して伝えたいこともあれば、農業を通して伝えたいこともある。その両方を組み合わせることでできることもあるはずです。ひとつずつ夢をかなえている実感もありますが、常に壁にぶち当たっている感じもあって。やりたいことが多すぎて、1日が24時間では足りないくらいです(苦笑)。ただやりたいことが見えているので、10年後、20年後のことも考えながら、30代はよりアグレッシブに突き進んでいきたいです。やっぱり何事においても情熱が大事なんだなと、改めて感じています」と明るい笑顔で未来を見つめていた。

『ベイクオフ・ジャパン』シーズン1は、4月22日よりPrime Videoで独占配信。

■工藤阿須加
1991年8月1日生まれ。
埼玉県出身。2012年、日本テレビ系ドラマ『理想の息子』で俳優デビュー。NHK大河ドラマ『八重の桜』や、TBS日曜劇場『ルーズヴェルト・ゲーム』で存在感を発揮。2018年10月から2021年3月まで日本テレビ系情報番組『ZIP!』の水曜パーソナリティーも務めた。近年は『教場』『教場II』(フジテレビ系)、『緊急取調室』(テレビ朝日系)、Amazon Originalドラマ『星から来たあなた 』などに出演。現在、日本テレビ「有吉ゼミ」にて有機農業を学んでいる様子が放送中。待機作に映画『ハケンアニメ!』(5月20日公開)などがある。

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