小島よしお、復活のきっかけはライブで聞いた子どもの「帰りたい」-「映画ドラえもん」最新作にもゲスト出演
2007年にギャグ「そんなの関係ねぇ!」が『ユーキャン新語・流行語大賞』トップ10に入賞するなど大ブレイクを果たしたお笑い芸人の小島よしお。ブレイク後すぐに姿を見なくなってしまう「一発屋芸人」にくくられてしまうこともある小島だが、そんな彼が今、子どもたちに大人気なのを御存じだろうか。
最近では、全国各地で行われる小島のイベントには多くの親子連れが訪れ、いずれも大盛況。「映画ドラえもん」シリーズ第36作『映画ドラえもん ―新・のび太の日本誕生』(3月5日公開)ではスペシャル応援団として、プロレスラーの棚橋弘至選手、真壁刀義選手、キッズモデルのエヴァちゃんとともに「ウンタカ!ドラドラ団」を結成し、CDデビューを果たしている。彼が再ブレイクを果たした裏には、反省から生まれた「一発屋」ならではの自己プロデュース術があった。
――映画完成披露イベントも大盛り上がりでしたね。小島さんが今のように子どもをターゲットにした芸風にシフトするきっかけはあったのでしょうか?
5年前の単独ライブですね。それまでは子どもを意識したネタではなかったんです。
そのライブには子どもが何人か見に来てくれていたのですが、始まってすぐにある女の子が「帰りたいよ~」って泣き出したらしいんですね。それを聞いて「このままじゃいけないな」と思い、ガラリと作り方を変えました。
普通のライブって、子どもの泣き声とか話しかけてきたりするのはNGとされているんです。でも、逆にそこを前提に子どもがいかに声を出せるか、参加できるかということでライブ作りをしています。僕が一輪車に乗って、輪投げしてもらうとか。あとは僕が力がなくなっちゃったから「バナナを探してくれ!」ってみんなに呼びかけたりとか。イスの下に東京ばな奈とかニガウリとか隠していて、「これじゃないよ!」みたいなやりとりが発生するんです。で、結局海パンの後ろに入っていて、みんなが「よしお後ろ!」と声をかけてくれたりと、子どもが参加できる作り方なんですね。
その取り組みの中で「ごぼうのうた」というのをやっているのですが、ライブにお手製のゴボウの帽子をわざわざ作ってかぶってきてくれた子がいた時には、そういうネタ作りが響いたのかなと思ってすごくうれしかったですね。――そういった流れがあって、今回「映画ドラえもん」への参加なのですね。
夢かと思いました。国民的なアニメに携われるというのがすごくうれしかった。子ども向けのトップみたいなものですもんね。前作を見たのは僕が9歳の時で、劇場で初めて『ドラえもん』の映画を見たのがこの作品だったんです。ディテールの変化含めてすごく新しくなっているなと思いました。子どもの時はアクションの方に目がいって泣かなかったんですけど、大人になって見ると泣きましたね。
家出から帰るとママが優しくなっているところとか、ペガたちとの別れのシーンで目頭が熱くなりました。
――作品では「家出」が物語の発端になるのですが、小島さんは家出の経験は?
1回だけ小学生の時に、母方のおじいちゃんからヤギが送られてきたことがあるんです。沖縄ではめでたいことがあった時にはヤギを食べるんですね。でもそれが臭くって家を飛び出したことがあります。2時間くらいで戻っちゃいましたけど。
――『ドラえもん』といえば、やはりドラえもんの出す便利な道具たちが見どころですが、劇中に登場した道具で気になったものはありましたか。
圧倒的にエアコンスーツ(エアコン効果で薄着でも温かいスーツ)ですね。この時期の外での営業は体の芯から冷えますし、先日「さっぽろ雪まつり」に出演させていただいた時には本当にほしかったですね。
裸芸人はみんなほしいんじゃないですか? あとは意外と足の裏が盲点なので、足の裏まで温めてくれる道具がほしいですね。
●「一発屋」の本当の危機は4・5年目
――のび太たちは自分たちだけの世界を求めてタイムマシンで7万年前に旅立ちますが、小島さんは行ってみたい時代はありますか?
9年前ですね。2007年に僕のギャグが流行ったんですが、いろんな番組に出させていただいたもののスベり続けましたから。今なら少しはいろんな経験をして、前よりは周りも見えるようになってきたので……あくまで戻れるならなのですが。7万年前にいけるのであれば、ギャグを作って7万年後の現在まで流行らせたいですね。現代で流行の入れ替わりが激しいのは人口が多いからだと思うんです。今回の映画だと7万年前には5人から始まります。そこで全員に浸透させれば支持率100%なので、ギャグで攻めていきたいですね。
――入れ替わりが激しい……。そんな浮き沈みを経験された「一発屋芸人」のみなさんとはたびたび「一発屋会」を開かれているとか。先日集まった時には、「『一発屋』が一発当ててから4・5年目に訪れる苦悩」というのがテーマになりました。1年目はバーっと仕事があって、2・3年目まではなんとなくそのまま仕事があるんです。でも4・5年目になるとそれが切れてきて、いよいよ新しいことにチャレンジしないといけない年になってくるんですよね。ちょうどAMEMIYAさんがその時期にあたるので、そんな話になったんです。
解決策として出てきたのは、「ポジティブでいること」。「一発屋」はブームを過ぎると後ろ向きになりがちなんですね。
それで勝手に世間を敵だと思い込んで、「どうせおれなんか仕事ねーよ」とふてくされてしまうんです。でも、逆に仕事がないということは自分の時間を有効利用できるので、そこで自分の趣味とか興味を広げていくことが仕事につながっていくこともあるんですよ。
――自転車、ジムでのトレーニングと、ブログでは趣味のお話も多いですよね。そういえば、最近は裸でコーヒー豆をひいている写真を拝見しました。
もともと喫茶店が好きだったんですが、ふとしたきっかけで試しにひいてみようと思い立ったんです。そうしたら思いのほかひく時のゴリゴリの感覚がすごく気持ちよくって。それで、朝いつもトランクス一丁で体重を測るので、その時にこの姿でひいてみたら「あっ、これいいかも!」と思って写真に撮るようになったんです。自分の体の成長過程もわかるし、コーヒー好きなんだというのも伝わるし、いつもやっているTwitterより反響もありました。
今ではこれを楽しみにしているという人もいてくれているようで、ひかなかった時に「ひけよ!」というご意見も。なので、しばらくはひいていこうと思います。
――「一発」を乗り越えた小島さんのこれからの目標は何でしょうか?
70・80歳になっても海パンでそんなの「そんなの関係ねぇ!」って言い続けたいですね。今は、僕がブレイクした当時の小・中学生たちが若いママとかになって親子で見に来てくれたりしているんです。それを3世代にして孫と一緒に見にきてもらえるよう、健康管理にいっそう気をつけたいですね!