電波も届かない秘境! 青森のランプの宿「青荷温泉」は冬に魅力が増す
秘境。そんな言葉は温泉と相性がいい。そしてそこにはランプがうっすらと、なんて言われたら、もう行かずにはいられないだろう。そんな魅力を秘めた温泉宿が、青森の山の谷間にあるランプの宿「青荷温泉」だ。
○降り積もる雪の中でランプが灯る
まずは東京駅から東北新幹線「はやぶさ」に乗って新青森駅まで約3時間。そこからJR奥羽本線に乗り換えて弘前駅まで特急で30分。さらにそこから車で50分行った先に青荷温泉が待っている。夏季は自家用車で乗り入れができるが、冬季はそれを阻む背を超える程の雪の壁に囲まれる秘境の地。
とは言え、「道の駅 虹の湖」から1日6本のシャトルバスが出ているのでご安心を。
青荷温泉には本館と離れの三棟があり、総客室数は32室。大広間もあるのでちょっとした団体旅行、大家族の受け入れも可能だ。ランプの宿と称されている通り、部屋はランプの明かりのみ。そして冬季は石油ストーブの赤い色が、部屋の中をうっすらと照らし出す。
その明るさはと言うと、家庭用天井灯の常夜灯より少し暗い程度を想像してもらうといいだろう。「意外に明るいな」と思うかもしれないが、日没後の客室は想像以上に暗く、ものの色の判別ができない。そのため、小説などを読むことはできないので、ここでは夜の静けさをたっぷり堪能していただきたい。
青荷温泉には4つのお風呂がある。そのひとつは混浴露天風呂だ。ただし、ちょっと気をつけておきたいこともあるので、次のページでは注意点も合わせて紹介したい。
●混浴露天風呂は夜注意! 夕食は見知らぬ旅人同士、囲炉裏を囲んで
○4つのお風呂は昼と夜で2度楽しむ
到着後、まずは湯めぐりを楽しんで! お風呂は全部で4カ所ある。湯船がひとつしかない混浴露天を除き、ほかは男女別になっている。泉質は単純泉で、疲労回復、神経痛や五十肩などへの効能があり、全て源泉かけ流しだ。
飽きることなく湯めぐりが楽しめるのでぜひいろいろまわってほしいが、部屋と同じくここもランプの照明しかない。夜になると、岩風呂などはごつごつした岩肌が全く見えず、思わぬけがをしてしまいかねない。
明るい時間に一度確認しておくことを強くオススメしたい。見渡す限りの銀世界で楽しむ湯は、昼には昼の、夜には夜の味わいがある。なお、アメニティーとして露天風呂を除く3つのお風呂にはボディーソープが置いてあるが、できれば持参していく方が賢明だろう。また、客室に戻るにはマイナスに達する極寒の屋外を通らないといけないお風呂もある。冬場の入浴はゆったりつかって芯から温まるようにしたい。
○地のものは地酒とともに
お待ちかねの夕食は、18時から大広間または囲炉裏(いろり)の間でとなる。こちらもランプのみの光源なので、実は料理がよく見えない。しかし、料理人がていねいに食事の説明をしてくれるので、しっかり聞いておきたいところ。
川魚や地のものを生かした一品一品は素朴な味わいで、これがまた地酒と合う。
見知らぬ旅人同士が囲炉裏を囲んで身の上話を楽しむ夜は楽しい。電波の届かない山の中で都会の喧騒を忘れ、ランプの灯りのもと、ゆったりとした時を過ごす。雪と静けさに包まれたひとときは、きっと感慨深い旅になることだろう。
※記事中の情報は2016年2月取材時のもの