子どもと見る映像配信サービス、どれがベスト? - コヤマタカヒロのパパ家電
第二の黒船と呼ばれたNetFlixが参入した昨秋ごろから、日本市場にも多くのサービスが林立するようになった映像配信サービス。子どものいる家庭で契約するとしたら、どのサービスがいいのだろうか?
NetFlixをはじめ、HuluにdTV、Amazonプライム・ビデオなど、各サービスそれぞれ、オリジナルコンテンツを用意したり、有名海外ドラマの最新シーズンがいち早く見られることをアピールしている。
しかし、パパ目線で考えたときに大切なのは、子どもが見たがるコンテンツが多いかどうかということ。ちなみに筆者の家は6歳を筆頭に4歳、2歳の女の子ばかり。なので、「プリキュア」シリーズなどの少女向けアニメや、「しましまとらのしまじろう」など幼児向けアニメには詳しいが、男児向けのアニメや戦隊モノには疎いことをあらかじめご了承いただきたい。
○「Netflix」はキッズ向けも海外作が多い
Netflixのログインメニューには「KiDs」アイコンが用意されており、それを選ぶとキッズ向けコンテンツだけを表示できる。プロフィールの編集画面で視聴可能なコンテンツを「未就学児対象のみ」と「未就学児~小学生対象」を切り替えることが可能だ。また、「キッズ」という名称を子どもの名前などに変更できるのも面白い。
人気作品には、「妖怪ウォッチ」や「ちびまる子ちゃん」が並ぶほか、「しまじろうとくじらのうた」、Eテレ制作の「いないいないばぁっ!」などもある。しかし、それ以上に目立つのが海外制作のコンテンツ。Eテレでも放送している「おさるのジョージ」をはじめ、「レゴニンジャゴー」などをラインナップ。女の子向けのコンテンツとしては「セーラームーンR」があり、男の子向けとしては戦隊ものが10作品ほど。全体としては海外モノが中心で、未就学児、特に小さい子向けという印象を受ける。
○日テレ系列の「Hulu」は国内コンテンツがそろう
いち早く日本市場に参入し、日本テレビ系列となった「Hulu」。ログイン後、画面上部のメニューの「その他」から「Huluキッズ」と進むと、コンテンツは非常に充実している印象。
日本テレビ系列ということで、「アンパンマン」専用チャンネルがあり、通常版はもちろん映画版までしっかりそろっている。
筆者宅の3人娘は皆、アンパンマンが好きなので、これは非常にうれしい。ほか、キッズアニメとしては「ポケットモンスター」「妖怪ウォッチ」「たまごっち!」「アイカツ!」「ケロロ軍曹」などの有名どころが並んでいる。
ちょっと面白かったのが、男の子向けの特撮ヒーロー。「侍戦隊シンケンジャー」や「海賊戦隊ゴーガイジャー」そして、仮面ライダーシリーズや様々なウルトラマンが勢ぞろい。さらには、ウルトラQや初代ウルトラマン、仮面ライダー1号、2号まで網羅している。これらはむしろパパが喜んでしまうコンテンツかも。Netflixと比べると国内コンテンツが多めといった印象だ。
○コンテンツ数は圧倒的だが探しにくい「dTV」
当初、NTTドコモの契約者向けサービスとしてスタートしたのが「dTV」。
ただし、現在はクレジットカード登録を行うことで、ドコモユーザー以外も利用できる。dTVではメインメニューが「映画・テレビ・BeeTV・音楽」の4つに分かれており、このうち「音楽」以外にそれぞれ「キッズ」メニューが用意されている。横串でキッズコンテンツを表示できないのが、ちょっと不便に感じるところだ。
ただし、キッズコンテンツの数は圧倒的。「TV・キッズ」だけでも134シリーズを用意。他のサービスにはないディズニ-の「ミッキーマウス!」や「スティッチ!」なども楽しめる。さらにTVアニメでは「クレヨンしんちゃん」「ドラえもん」「名探偵コナン」「きかんしゃトーマス」などをそろえている。
「テレビ・アニメ」メニューに移動すると、さらに多くのアニメが。
「ワンピース」や「NINJAハットリくん」などがあり、小学生ぐらいの子どもなら、キッズメニューよりこちらの作品の方が気になるだろう。
ちょっと面白いと思ったのが、キッズメニューに「のりもの」や「どうぶつ」が用意されていること。新幹線や重機などの乗り物や、水族館、動物園の映像を楽しめる。こちらは未就学児に見せてあげると喜びそう。
マイナス点は、充実したコンテンツを探しにくいことだろうか。たとえば、「テレビ・キッズ」メニュー上では、特撮ヒーロー物は「琉神マブヤー」シリーズ7作しか表示されない。しかし、「国内ドラマ」に移動すると、「仮面ライダー」シリーズや戦隊シリーズがそろっている。これらがまとまっているとより使いやすくなりそうだ。
○「Amazonプライム・ビデオ」はプライム会員なら無料
「Amazon プライム・ビデオ」は、プライム会員になると見られる一種の定額サービス。メニューから「キッズ・ファミリー」を選択することで、子ども向け作品だけが表示される。
ただし、キッズコンテンツの数は決して多くなく、キッズアニメ、映画、特撮ものなどをすべて合わせても100以下 (2016年2月22日現在)。人気の「妖怪ウォッチ」はあるが、そのほかの新しい国内作品は「ふうせんいぬティニー」や「怪盗ジョーカー」ぐらい。あとは、2000年代の特撮ヒーローものや、2000年以前のアニメ作品などが多い印象だ。
他のサービスで視聴できる「Eテレ」の幼児向けコンテンツも残念ながらない。未就学児なら親がコンテンツを探し出せばなんとかなるが、小学生以上にはちょっと厳しいかもしれない。なお、Amazonのプライム会員には、即日配達やタイムセールに早く参加できるなどの利点がある。
●視聴方法もいろいろある
○選んだ動画配信サービスをどうやって見る?
ここからは、視聴方法をチェックしてみよう。Netflixは、最新の液晶テレビの多くに視聴機能が搭載されており、リモコンを使って操作できるのが便利。同じようにNetflixボタンを搭載したメディアプレイヤーなども登場しているので、テレビを買い替えずにNetflixをリモコンで操作したいならこれを使う手もある。
所有している液晶テレビなどで、これらのサービスを見たいなら、スティックタイプの動画プレイヤーが低コスト。たとえば、Amazonの「Fire TV Stick」は4,980円(税込)で購入できる。これをテレビのHDMI端子に差し込めばOKだ(別途電源接続は必要)。しかも、このFire TV StickはAmazon プライム・ビデオだけでなく、NetflixやHuluなどのサービスも見られるのが便利だ(残念ながらdTVは未対応)。
dTVをテレビでみたい場合、おすすめなのがGoogleの「ChromeCast」。
スマートフォンアプリやPCブラウザのChromeとの連携が必要なので、Fire TV Stickのように単体では使えないが、その分、親がコントロールしやすいという利点がある。もちろんChromeCastでも、NetflixやHuluを見ることができる。Windowsが動作するスティックPCを使う手もある。USBメモリーを一回り大きくした程度のスティックにCPUやメモリなどが詰め込まれた超小型PCだ。これをテレビのHDMI端子に装着して、ワイヤレスキーボードやマウスを用意すれば、リビングテレビをPCとして使うことができる。
○最終的にどのサービスを見るか
子どもに見せるという前提で、主要サービスの特徴と視聴方法について簡単に整理してきた。では、どのサービスと視聴方法を選ぶのがベストだろうか。
既存のテレビで手軽に視聴するには、Amazonの「Fire TV Stick」が便利。ただし、「Amazon プライム・ビデオ」だけではコンテンツが不足しているので、これに「Hulu」をプラスするのが多くの方におすすめできるプランだ。アンパンマンシリーズが見られるので、うちの子どもたちも喜びそう。
一方、子どもにチャンネル権を与えたくないが、家事の間はテレビに任せたいという場合は、「ChromeCast」と「dTV」の組み合わせが最適。番組を手持ちのスマートフォンで選ぶスタイルなので、子どもが勝手に別の番組に変えないようにできる。
定額動画サービスを選ぶ際は、最終的には親が見たい作品があるかどうかも重要になる。ただし、オリジナル作品以外のラインナップは比較的似ているので、違いが大きなキッズコンテンツは選択の決定打になりやすい。これら定額動画サービスを利用すれば、子どもたちが喜ぶのはもちろんのこと、子どもが夢中になっている間に、家事がはかどったり、親のちょっとした息抜き時間も作れるだろう。