2016年3月14日 13:13
航空機の技術とメカニズムの裏側 (9) 飛行機の操縦(2)動翼にまつわるあれこれ
前回は、飛行機が3次元の操縦操作を行うために使用する動翼、すなわち昇降舵(エレベーター)・補助翼(エルロン)・方向舵(ラダー)の基本的な動作について解説した。すべての飛行機がこれらの動翼を普通に備えていれば話は簡単だが、なにしろ例外の多い世界である。
○水平尾翼がない機体
普通、尾翼というと垂直尾翼と水平尾翼が別々にあるものだが、水平尾翼を止めてしまう形もある。
まずV尾翼。水平尾翼と垂直尾翼を別々に設ける代わりに、斜めに突き出た1つの尾翼で済ませてしまうもの。後縁部に動翼を設ける場合もあれば、尾翼がまるごと動く場合もある。それらを左右で逆方向に動かしたり、同一方向に動かしたりすることで、任意の方向の力を生み出して、ピッチやヨーの操作を行う。
ちなみに、下に写真を載せたYF-23Aは全遊動式V尾翼なので、この大きな尾翼がまるごと動く。
コンコルドがわかりやすい例だと思うが、水平尾翼を持たない機体もある。この場合、主翼の後縁に取り付けられた動翼がピッチ操作も受け持つ。左右で連動して同じ方向に動けば縦操縦操作になるし、左右で逆方向に動けば横操縦操作になる。同じ動翼が両方の機能を併せ持つ場合、エルロンとエレベーターの機能を兼ねているということで、これをエレボンと呼ぶ。