ワイヤレスゲート、LTE通信が使い放題となる格安SIM発表 - FONのWi-Fiも利用可能
ワイヤレスゲートは16日、ヨドバシカメラ マルチメディアAkibaで記者説明会を開催。LTE通信が使い放題となる格安SIMサービスを発表した。全国のヨドバシカメラ、通販サイト「ヨドバシ・ドット・コム」で同日より発売する。本稿では同記者説明会の模様をレポートする。
○4つのポイントを実現する新SIM
ワイヤレスゲートの格安SIMサービスは、全プランが「使い放題プラン」(直近の使用量によって制限がかかる場合がある)で、「業界最安値水準」、世界200カ国以上にある「FONが保有するWi-Fiスポット1,900万カ所以上」が利用でき、かつ「解約金0円」を実現したもの。なおLTE通信による速度は上り/下りとも最大3Mbps。
登壇したワイヤレスゲートの代表取締役CEOである池田武弘氏は、同社のネットワーク設計を「Wi-Fiが主で、LTEが(エリア補完的な)従の関係」と説明。ユーザーがFONのWi-Fiネットワークをメイン回線として使うことを想定している。
モバイル通信網はNTTドコモのネットワークを利用する。
同じく登壇した取締役CAOである原田実氏は「いま他社さんでも様々なサービスを提供している。何を選んだら良いのかわからない、というのがお客様の正直な気持ちではないか。そこでワイヤレスゲートでは追加料金のかからない、安心の使い放題プランを提供する。料金も業界最安値水準で、ご加入いただきやすい」とアピールした。
ヨドバシカメラの専務取締役販売本部長である日野文彦氏は「携帯電話料金の見直し議論があり、また格安SIMサービスの注目度が増していることで、お客様からの問い合わせも増加している」と説明。ヨドバシカメラでは昨年4月から”なんでも相談カウンター”の設置を進めており、近いうちに全23店舗で利用できるようになるという。「消費者にとっても良い方向に進んでいる。
ヨドバシカメラでは社員の教育もしっかりしていく。今後とも、サービスをお客様にわかりやすく説明していきたい」と意気込んだ。
説明会後には囲み取材を実施。前出の2名に加えヨドバシカメラの事業部長である松月俊雄氏も対応した。ヨドバシカメラ マルチメディアAkibaでは最近、売り場の配置を変えた。これについて、同氏は「昨年12月頃に格安SIMサービスをご利用のお客様が増えた。今年の2月に大手キャリアの販売方法が変わったことで、さらに増えた。そこで、今までは奥に設置されていたコーナーを入り口付近に移動して、売り場面積も広くした。
従来の倍以上のお客様に対応できるようになった」と説明。同店では現在、13キャリアのSIMカードに対応。音声通話対応SIMに関しては10キャリアのSIMを店頭で開通できるという。
●ワイヤレスゲートが狙う層
○どういった層に便利か
ワイヤレスゲートの「Wi-Fiを主、LTEを従」としたネットワーク運営方針はユニークだ。同社の説明では、ターゲット層にはライトユーザーを想定しているという。そこで、さらに具体的に、どのようなライトユーザーに響きそうかを考えてみたい。まず頭に浮かぶのがシニア層、ジュニア層、ヘビーユーザーの2台目需要といったところだが、ほかにも例えば生活費をできる限り節約したい新社会人が、自宅に固定回線を引く代わりにワイヤレスゲートの”使い放題プラン”のみで済ませることも可能だろう。
国内における利用者拡大の成否は、当然のことながらWi-Fi環境の整備をいかに素早く進められるかにかかっている。
そこで気になるのが、FONのルーターの評判。かつて大手キャリアが無料で配布し、「つながらない」などのトラブルを起こしたことがあった。まずはこれを払拭したいところだ。ワイヤレスゲートではフォン・ジャパンと協力して、国内における整備を進めていく方針だという。直近の動きとしてはニセコリゾートをFON Wi-Fi化し、浅草地域にもWi-Fiスポットを増やしていくとしている。
海外でも現在、FONによるスポットが拡大している。したがって海外に頻繁に出かける人にとっては利便性が高いと言える。海外渡航者向けのモバイルルーターをレンタルする必要がなく、まして地元で対応するSIMカードを購入する必要もない。
普段使いのスマホで、向こうでもWi-Fiが使えるわけだ。逆に、年に数回も海外に行かない人にとっては、こうしたメリットも感じられないだろう。
国内においては、在日外国人の需要が高まりそうだ。滞在期間が短い在日外国人にとって、契約期間に年単位の”しばり”があり、解約時には”解約金”がかかってしまう大手キャリアは契約しづらい。そこで格安SIMサービスが検討の候補に挙がるが、外国人にとってなじみのあるFONのWi-Fiスポットが利用できるワイヤレスゲートの新プランなら、解約金も0円であることもあり導入へのハードルは低いはずだ。先の囲み取材で、ヨドバシカメラの松月氏は「今後も格安SIMサービスの取り扱いを増やしていく」と明言した。売り場で取り扱う量は現在、大手3キャリアを10とすると、格安SIMサービス全体で2~3程度だが、これを1年間かけて4~5くらいまで伸ばしていく方針だという。MVNO事業者にとっては、生き残りをかけた勝負が続く。
群雄割拠の格安SIM市場、今後はサービスの差別化がますます重要なポイントとなりそうだ。