中川淳一郎に聞く、節約の極意「いかに自分がそのままで幸せかを知れ」
本書では、スーパーで売っている食材の相場などは掲載されているものの、買い物の仕方や貯金の仕方といった技術についてはほとんど触れられていない。終始語られるのは、なぜ節約ができないのか、なぜお金が貯まらないのか、について。中川氏に、その極意を教えていただいた。
○見栄が節約の邪魔をしている
中川淳一郎氏(以下、中川): 今日、私は白いボタンダウンのシャツとジャケットと、黒のGパンを着ていますが、基本的に私の格好は3種類しかないんです。
――では、今日のコーディネートはその3種類のうちのひとつ……?
中川: そうです。
ほかには、Tシャツ+短パンの組み合わせか、白いボタンダウンのシャツ+黒のGパン、これしかありません。タイ・バンコクのスーパーで300円くらいで、同じGパンやシャツを何枚か買っておいて、どの格好にするかを気温で決めるだけ。
これは知り合いからもらったサンリオのキャラクターのペンケース、小銭入れは3歳くらいから同じものを、財布は破れたところをガムテープで補強して使っています。革製の素敵な財布をスッと出したからって、別にモテるわけでもないんですよ。皆さんそういうところに無駄ガネを使いすぎているんです。
――高級品=ちゃんとした人に見える、といったイメージがあるからか、ある程度の年齢になったら高い財布やバッグを買わなければならない気がしてしまいます。
中川: それは騙されています。カネを使っていくら着飾っても、他人はさほど興味を持ってチェックなんてしていないですよ。
「財布と靴をチェックすればイイ男かどうかがわかる」なんていまだに時代錯誤の言説を唱える人がいますが、こうやってお金を使え使えと煽ってくるのは、メディア側の都合なんです。
――高い商品を誌面に載せて買わせて、広告を入れるために、でしょうか?
中川: そう、私たち一般の消費者にとっては、余計な価値観を押し付けられているだけです。女性誌でしょっちゅう1カ月コーデ特集をやっていますが、あれ、1日2、3万円くらいの商品を紹介していますよね。全部買ったら800万くらいかかるんじゃないの!? と思うわけです。なんで女性誌読んでいるOLが800万円分も着まわせるんだ、と。
――全部買うことは不可能とはいえ、同世代の子に遅れをとらないように、お金を貯めて一着だけ無理して買う、とかはよくありそうです。
中川: その見栄や、よく見られたいと思う欲求が、節約の邪魔をしているのです。同世代の男を見ていても、SNSでタワーマンションの高層階から見える花火の写真を撮って「家からこんなに花火が見えて、このマンション買ってよかった」とか言いながら投稿していますが、これも見栄のためにカネを使っているいい例です。
コメント欄に「キャー! 今度お邪魔させてください!」とか書かれて、「248いいね!」とかつくわけでしょう。
――「248いいね!」のために高級マンションを買う。
中川: そう。いい場所から花火を見たいなら、もっと別の方法があるわけですよ。花火大会の主催者のツテをたどったり、高層階に住んでいる知り合いのところに遊びに行ったり。でも、そういうことじゃなくて、単純に虚栄心を満たしたいだけなんですよね。花火そのものが見たいわけではなく。
――「248いいね!」がもらえれば花火じゃなくてもいいんですね。
中川: お金を稼ぐのはいいことですが、それをわざわざ人に見せる必要はありません。カッコつけたいためだけにあえて左ハンドルの車に乗るとかね。駐車券が取りづらいのに。
○見栄のためにお金を使うのは自分に自信がないから
――見栄のためにお金を使わないようにするには、どうすればいいのでしょうか?
中川: ありのままの自分に自信がないから、お金で着飾っているということなので、実績を作るのが一番です。それは、年収を上げる、とかじゃなくても、何かひとつだけでも成し遂げればいい。私の場合は、一冊本が売れたのが自信になりました。サラリーマンだと、社内のMVPを取るとかでしょうか。
――中川さんは、そういった無駄ガネ遣いをしない価値観をどうやって養ったのでしょう?
中川: 昔は無駄遣いもしていたんです。
新卒で広告代理店に入ったとき、それなりに給料をもらえるからって、毎週眼鏡を買っていましたし。毎日違う眼鏡をかけることで、オシャレな代理店社員っぽさを演出していたんです。
ですがその後、貧乏でもモテると知ってしまった。代理店を辞めて無職だったとき、一番モテたんですよ。男がカネを使うのはモテるためなのに、カネを使わなくても、無職で時間があるという理由でしょっちゅう呼び出しがかかった。それ以来、モテるためにカネを使う価値観がバカバカしくなったんですね。
フォアグラを食べるのが趣味ならいんです。ミシュランの三ツ星を食べ歩くのが趣味なら、どうぞお食べなさい。
そうではなく、本当は大して好きでもないのに、イケてるやつはこういうところで食べるものだから、と思ってお金を使っているとしたら今すぐやめたほうがいいですよ。
――こうして考えると、自分が本当に好きで使っているお金がどれだけあるのか、怪しいものな気がしてきました。
中川: そうなんですよ。人ってそもそもそんなにカネを使う必要のない生き物なんです。好きでもないゴルフにカネをかけるのは幸せなのか? 見栄のためだけに本当は欲しくもないブランドバッグを買い続けるのか? お金はたくさん使うほうが偉い、という考えが世の中に横行してしまっているだけ。『節約する人に貧しい人はいない。』では一貫して、それに対して、「いや違うだろう!」とストップをかけていっています。
「いかに自分がそのままで幸せかを知れ」と中川氏は言う。
自分の趣味趣向を知り、ありのままの自分を認めることが、節約につながるのだ。
『節約する人に貧しい人はいない。』(中川淳一郎 著/幻冬舎/1,100円+税)
見栄を捨て、自分だけの幸せを手に入れる。
他人と比べない。競争しない。妬まない。「自分のため」の金銭感覚の身につけ方。
本来、誰かと競争なぞせず、超個人的に尺度を持っておけばよいものが「金銭感覚」であり、「経済状態」なのだ。本書は、「衣・食・住」から「人間関係」「お金の管理」「恋愛・結婚」まで、見栄のために消費することの無意味さ、無駄のないお金との付き合い方を自らの体験と具体例をふんだんに出しながら伝授。自分だけの金銭感覚が身に付き、劣等感にまみれた感情からも自由になれる一冊(紹介文より)
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