ドコモが「dヘルスケアパック」を開始 - 歩けばdポイントが貯まる「歩いておトク」とは?
NTTドコモは3月31日、健康をサポートするサービス「dヘルスケアパック」を発表した。今春新たに開始する「歩いておトク」を含む、健康に関する4つのサービス全12種類のアプリが月額500円(税別、以下同)で利用できる。提供開始は4月19日を予定している。そこで本稿では、同日開催された記者説明会の模様を振り返りつつ、新サービス歩いておトクが訴求したいポイントについても考えてみたい。
○「dヘルスケアパック」について
説明会にはNTTドコモ ライフサポートビジネス推進部長の村上享司氏が登壇した。かねてから健康増進に向けたサービスの提供に意欲を見せている同社。ここ数年はNTTドコモとオムロンヘルスケアによる合弁会社「ドコモ・ヘルスケア」を通じて、サービスの展開を加速させている。村上氏によれば、歩数や睡眠などの生活データを管理できる「からだの時計 WM」、女性ならではの体調変化を管理できる「カラダのキモチ」、ランニングなどのトレーニングをサポートする「Runtastic for docomo」の現行3サービスにおける契約者数は、2016年3月時点で200万件を超えたという。
同日発表された「dヘルスケアパック」では、上記3サービスに加えて今春新たに開始する「歩いておトク」が利用可能。これら4サービスを別々に契約すれば月額1,250円になるところだが、ワンパックにして月額500円で提供する。歩いておトクはドコモ・ヘルスケアがDeNAライフサイエンスと共同で開発したサービスで、”歩くだけでdポイントを貯められる”のが特徴だ(詳細は後述を参照)。
健康に対する意識や身体の状態は人それぞれ。そこでドコモでは、カラダのキモチ、からだの時計を健康に関心のある層に、Runtastic for docomoをさらに運動したい上級者に向けて提供し、歩いておトクは健康に興味を持ち始めたばかりの入門者をターゲットに位置付けている。村上氏は、歩いておトクを提供する意義について「ハードルが高いものは始めにくい。そこで取っ付きやすいサービスが有効になると判断した」と解説している。
●「歩いておトク」とは
○歩くだけでdポイントが貯まる「歩いておトク」
続いて登壇したドコモ・ヘルスケア 代表取締役社長の和泉正幸氏は、歩いておトクについて解説した。
同サービスは日常生活における歩数をスマートフォンで計測、それに応じたdポイントが付与されるというもの。歩数から距離を換算し、世界中の観光地を巡った気分が味わえる”バーチャルツアー”も用意。名所の写真や観光スポット情報も適宜閲覧できる仕掛けで、楽しみながらウォーキングが継続できる。会場ではデモが行われた。
歩けばdポイントが貯まる、という発想はとてもユニークだが、実際はどの程度歩けばどのくらい貯まるのだろうか。和泉氏によれば、1日7,000歩以上歩くと1カ月で500ポイント前後が貯まる設計だという。歩いておトクは単体で月額300円、dヘルスケアパックを契約しても月額500円なので、日常的によく歩く人なら元が取れる計算になる。さらに、ドコモ・ヘルスケアが3月25日に発売を開始したばかりの「ムーヴバンド3」と連携すればポイントの増額も期待できるとのことだった。
●将来はキャリアフリーに
○将来はキャリアフリーにしたい
記者説明会の最後に、質疑応答の時間がもうけられ村上氏、和泉氏が記者団の質問に回答した。ターゲット層について、和泉氏は「難しいところ。シニアの方は健康意識が高い。そこで若い世代の方々、若いからまだ身体に無理がきくと思っている30~40代の方がターゲットになり得る。楽しいですよ、おトクですよ、とアピールしながら展開していきたい」と説明した。
マルチキャリア化について、和泉氏は「いまのところドコモユーザー向けだが、ゆくゆくはキャリアフリーに持っていきたい」との見解。歩いておトクなどで取得したデータの利用範囲について聞かれると、村上氏は「将来的には活動量のデータを一元管理するプラットフォームをつくり、それを何らかの形に加工して別のサービスで利用することも考えている」と回答した。
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程度に差はあれど、ある一定の年齢を超えれば誰しも健康への関心は高くなる。
ただ健康のための取り組みを継続することは、簡単なようでなかなか難しい。特に働き盛りの30~40代は、運動のための時間を確保すること自体が困難だ。そこで歩いておトクでは発想を転換して日常生活で繰り返される運動、例えば自宅と会社の往復でさえ運動と捉えた。”これまで運動したかったけれどできなかった”という層に響けば、隠れた需要を掘り起こすことができそうだ。継続を促す施策としてバーチャルツアーを用意し、歩いただけ金額(dポイント)に換算される仕様にした点もユニークと言える。些細なことながら個人的に気になった点などをいくつか。まずスマートフォンをバックの中に入れたまま歩いたとき、どのくらい正確に歩数がカウントされるのだろうか。歩いたのに歩数がカウントされないのは悲しい。
お金(ポイント)が絡むだけに、ややこしい感情も生まれそうだ。もっとも、かといってスマホを手に持って歩けば、ドコモが禁止を呼びかける”歩きスマホ”を誘発しかねない。また、ドコモ利用者なら導入の敷居は極めて低いと言えるが、それでも月額300円を支払う前に一度試したいという人もいるだろう。つまり期間中いつでも、そして何度でも止められるお試し期間が欲しい。このほか、運動を継続させるために人と競争できる仕組み、あるいは連帯感が感じられる交流サイトなどがあったら良いのではないか。一人では続かないことも、一緒に頑張る人がいれば続くものだ。
健康には関心があるが、何から始めたら良いか分からない、きっかけが欲しい、実際はそんな人が多いのかも知れない。新年度は、何か新しいことを始めるには良い季節。
生活環境を改善したい、自分を変えたいという人にとっては、これが良い機会になるだろう。