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実質ゼロ円スマホが復活? 携帯料金の見直し問題とは何だったのか

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実質ゼロ円スマホが復活? 携帯料金の見直し問題とは何だったのか
●実質ゼロ円スマホが復活?
昨年9月に急浮上した携帯電話料金の見直し問題。総務省がスマートフォンの購入補助に関するガイドラインを4月1日に適用したことで、ひとつの節目を迎えた。この間に大手携帯電話各社は、実質ゼロ円以下での端末販売を自粛するなどの措置を講じたが、今ではゼロ円端末が復活したかのような動きもある。一連の動きをみていくと、携帯料金の見直しとは何だったのか、という疑問も浮かんでくる。

○携帯料金見直し問題は今

携帯電話料金の見直しは、家計における携帯電話料金の負担が大きいとして、昨年9月に安倍晋三首相が指摘し、急浮上した問題である。

有識者を交えた議論を経て、昨年12月に総務省は大手携帯電話各社に対策を要請した。データ通信量や通話時間が少ないライトユーザーの負担の軽減、スマホ購入時に割引を受けない利用者との公平性を図る対策などだ。

それを受けて、携帯電話各社は、ライトユーザー向けの料金プランをつくり、今年2月から実質ゼロ円以下での端末の販売を自粛。
同じく2月にスマホの購入補助に一歩踏み込んだガイドライン案ができ、それを微修正したガイドラインが4月1日に適用され、今に至っている。

○街中歩くと0円表記

しかし、街中に出ると、戸惑いを覚える表示に遭遇する。それは端末ゼロ円を謳う販売店があるからだ。

そもそも、大手携帯各社は、実質ゼロ円以下での端末販売をやめたのではなかったのか。実はこれ、ガイドラインへの抵触を避けながら、安くお得に見せたい苦肉の策。その実態は中古端末の下取り価格などを含んだものとなる。

ガイドラインにも、下取りについては、端末購入補助には当たらない(中古市場における一般的な買取り価格を著しく超える場合は除く)明確に記述されている。消費者の誤解を招きそうなところに課題は残るが、総務省では「価格の表示の問題であり、ガイドラインとは別の話」(総務省)という姿勢だ。


●ガイドラインの意義を問う学割キャンペーン
○iPhone SEでギリギリを攻めたドコモ

実質ゼロ円端末は、一部で復活していたとの報道もあるが、誰の目にも触れる形で表示されてしまった出来事もある。ドコモは3月25日にiPhone SEの販売価格を公表した。そのうち、FOMAからXiへの乗り換え対象者について、期間限定で実質負担額をゼロ円としたのだ。ドコモも実質ゼロ円以下の端末販売を2月からストップしたのではなかったのか。加藤薫社長が1月末の決算発表会でそう宣言したはず。それについてドコモ広報部は「実質ゼロ円を"下回る"価格での販売をとりやめると宣言していた」と説明する。ルールを逸脱しようという意図はなかったようだが、総務省からNGの指摘を受け、ドコモは即座に実質負担額の改定を行うこととなった。

なぜ、ドコモが実質ゼロ円での販売設定をしたのか。
その真意についてはよくわからない。ただし、ドコモは、ガイドラインの際(きわ)を攻めたように見えてしまうし、結果的にそれが、消費者を困惑させかねないものとなってしまった。

○学割キャンペーンの意図

もうひとつ挙げたいのは、今年1月に携帯各社が発表した学割キャンペーンについてだ。KDDIの場合、スマートフォンを購入し、指定の通信プランを契約した若者に対し、25歳になるまで毎月5GBをデータ通信量を付与するという内容だが、結果的に学割キャンペーンは、ガイドラインの意義に疑問を抱かせたように思われる。

1GBの追加チャージが1,000円とすれば、KDDIの場合、5GB付与することで、対象者に毎月5,000円の補助を行っていることになる。総務省も今回の学割キャンペーンを意識し、データ通信の増量分についても、端末購入補助に含むとする文章をガイドラインに盛り込み、釘をさした格好だ。

だが、ガイドラインで縛れたのは、スマホを購入するケースに限定される。今回の学割キャンペーンの対象年齢であっても、スマホを買わなければ特典は得られない。
スマホを買う買わないで、利用可能なデータ通信量には、大きな不公平感が生まれてしまう。

本件に関して、総務省は「今回のガイドラインはあくまで端末購入の補助の適正化を目指したもの」と説明する。まずは、スマホ購入時における利用者負担の不公平の解消が第一の目的であり、別の部分で不公平感が増すようなら、別途是正を求める考えのようだ。詰まるところ、押すべき箇所を押したら、別のところが出っ張ってしまったように見えてしまう。

●そもそも何が問題だったのか
○携帯料金の見直し問題は何だったのか

今回の携帯料金の見直し問題を巡っては、いくばくかの戸惑いを覚える。携帯電話の料金見直しが主テーマであったにもかかわらず、端末購入補助の適正化による"公平性の確保"に重点が置かれたように見える。端末購入の公平性を追求したら、サービスの公平性の問題が出てしまった。

こうしてみていくと、携帯料金の見直しとは何だったのか、そう問いかけたくなってしまう。
携帯ショップにおける0円表記やiPhone SEの実質ゼロ円の一時的復活も、消費者の戸惑いを生み出しかねない。

携帯料金は多くの人の関心事だ。ガイドラインの適用によって、ひとつの節目を迎えた本件だが、誰もが疑問を抱かず、しっくりくるそんな枠組みの運用が進むことを願うばかりだ。

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