360°動画コンテンツ「VR THEATER」を体験してみた! - 全国の複合カフェで配信
今春から、全国の複合カフェでバーチャルリアリティ(以下、VR)の世界が体験できるようになる。「Galaxy S6/ S6 edge」(Samsung製)を利用したゴーグル型ヘッドマウントディスプレイ「Gear VR」向けにコンテンツを提供するejeは5日、スペースクリエイト自遊空間 BIGBOX 高田馬場店にてVRシアターサービス「VR THEATER」の記者説明会を実施した。説明会では記者向けに体験会も行われ、筆者も試してみたのでその模様も合わせてお伝えする。
○娯楽産業と好相性なVR THEATER
VR THEATERは、ejeを含む3社が共同で開発した”店舗常設型VRシアターサービス”。関東の1都6県31店舗で4月7日より運営を開始、年内には全国1,000店舗での提供を目指す。第1弾コンテンツとして「進撃の巨人展 360°体感シアター”哮”」(5分)を視聴料金600円/ 回で提供。続く第2弾には「攻殻機動隊 Virtual Reality Diver」完成版(15分)を予定している。第2弾の視聴料金などは、現時点では未定。
記者説明会に登壇した一般社団法人 日本複合カフェ協会の日高大輔氏は「VR THEATERはejeさま、インターピアさま、複合カフェ協会が一体となって実現した、娯楽産業と相性が良いコンテンツ。VR THEATERを通じて、社会全体が盛り上がることを期待している」と挨拶した。続いて登壇したのは、店舗事業者向けソリューションを提供するインターピアの楠岡仁志氏。同社ではVR THEATERのコンテンツ課金・店頭決済システムを開発した。楠岡氏は「日本にはカラオケ、カプセルホテル、会員制の複合カフェなど独自の文化が発達している。そうした施設にVR THEATERを導入できれば。将来的には日本のコンテンツメーカーが投資をし、ジャパンカルチャーとして世界に持って行って欲しい」と話し、今後の展開に期待を寄せた。
VRの普及・発展を目指すejeでは、機器メーカーと利用者の接点をつくるとともに、コンテンツ制作者やコンテンツホルダーへ収益を還元していきたい考え。
同社の三代千晶氏は「VRコンテンツの制作には大きな費用がかかる。そのため収益を上げるのが難しい。複合カフェで一般のお客様にも気軽にVRコンテンツを見ていただけるようになれば、そうした状況を打開できる」と説明した。
●気になる点もちらほら
○北海道から沖縄まで店舗を拡大したい
説明会の最後に質疑応答の時間がもうけられた。TELEPODの設置店舗について聞かれると、楠岡氏は「設備投資やロケーションの関係で、サービス開始当初に設置できるのはスペースクリエイト自遊空間 BIGBOX 高田馬場店だけとなる。今後はご理解いただいた店舗に随時、置いていきたい」と回答。また、どのくらいの規模感でVR THEATERを拡大していくかについて聞かれると「北海道から沖縄まで店舗を拡大していきたい」と回答。ただスタッフにはVR GEARの使い方など、事前にレクチャーが必要になる。
このため、サービス開始当初は店舗数が限られているとのことだった。
アニメコンテンツ以外の展開について、三代氏は「アーティストのライヴをコンテンツにすればファンに響く」と解説。楠岡氏は「ストリーミングでスポーツを中継するのも良い。2020年に向けて試行錯誤を繰り返していきたい」と回答した。ゲームへの展開について、三代氏は「ゲーム会社さんともよく話をさせていただいている。ゲームコンテンツを展開できるアプリの仕組みも考えていきたい」と回答した。
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このあと会場では、報道陣に向けて事前体験会が行われた。そこで筆者も360°動画コンテンツを体験してみた。
スタッフから簡単なレクチャーを受けたあと、VR GEARとヘッドホンを装着。コンテンツが開始されるのを楽しみに待った。本来であれば、このあと「想像以上にリアリティがあった」「現実の世界を忘れるほど没頭した」といった感想を書くべきなのだが、それは他紙でも書かれることだろう。そこで本稿ではVR THEATERが全国展開する際に課題となりそうなことを考えていみたい
VR GEARは密着性が高く、しかも不特定多数の利用者が使用する。このため衛生面が気になる人もいるだろう。体験会では目の周りにフェイスマスク(薄い布)を装着。これがすぐにずれるのでストレスになった。またVR GEARの内側に気が付かないうちに水蒸気がつき、映像がぼやけてしまったことがあった。
湿気の多いこれからの季節、VR THEATERを提供する店舗では店内の湿気にも細心の注意を払う必要がありそうだ。また、筆者は運悪く不具合のある端末に当たってしまった。そのため何度も再生をやり直すことになり、視聴を中止するたびにスタッフのお世話になった。聞けば動画コンテンツは早送り、巻き戻しができない仕様とのこと。結果、アニメの冒頭を何回も繰り返して視聴することになった。このあたり、映画館とは違うということを実感した。
このほか気になった点はあるだろうか。VR GEAにより視覚が、ヘッドホンにより聴覚が完全に塞がれる。
このためコンテンツへの没入感が高く、とても結構なのだが、一方で貴重品を気にする人もいるだろう。説明によれば、VR THEATERの提供店舗では貴重品は手元に置いてもらい、またスタッフが常時監視するとのことだった。
360度、どの方向を見ても映像が見れるというのは確かに新鮮で楽しい。若干気になる点はあるが、VRが普及することでどんどん解決していく問題でもあるだろう。日本全国で、素敵な体験ができるようになる日を、楽しみに待ちたい。