堀未央奈、女優業の楽しさ実感　「自分にも他人にも嘘はつかない」ポリシーも語る

●女優業のやりがいと乃木坂46卒業後の変化
昨年3月にアイドルグループ・乃木坂46を卒業し、女優として活動している堀未央奈。立て続けにドラマに出演し、『サレタガワのブルー』(MBS)での不倫妻役は大きな話題を呼んだ。女優転身から1年が過ぎ、今どのような心境で仕事と向き合っているのだろうか。堀にインタビューし、女優業への思いを聞くとともに、アイドル時代から変わらず大切にしていること、また、現在放送中の読売テレビ・日本テレビ系ドラマ『探偵が早すぎる～春のトリック返し祭り～』(毎週木曜23:59～)についても話を聞いた。

「卒業してこの1年、いろんな役をやらせていただいて、お芝居の楽しさをとても感じています」

女優業のやりがいは作品を重ねるごとに増しているようで、「作品によって見てくださる方の年齢層も感想も全く違いますし、役を通していろんな人生が体験できて楽しい仕事だなと思います」と充実した表情で語る。

もともとアイドルになりたくて入った芸能界。女優をやりたいと思ったきっかけは映画初主演＆初主演を果たした『ホットギミック ガールミーツボーイ』(2019)だった。

「1カ月ずっと撮影で、セリフもすごく変わって大変でしたが、大変だったという感想が一番に出てこないくらい楽しくて、すごく充実していました。それは山戸(結希)監督との出会いが大きかったなと思っていて、自分自身ちゃんと心が動かなければ、演じていても伝わりづらいということを学びました。お芝居ってセリフを覚えて読むのではなく、役になりきるのでもなく、自分を投影させ、その役と重ねてちゃんとその人として生きていくことなんだなと感じ、お芝居の世界をもっと見てみたいと思いました」

この1年で女優業に対するイメージの変化はあったか尋ねると、「それはあんまり変わってないかもしれません」と言うも、「ギリギリまで台本を見るようになりました。当初は、台本を現場に持ってこないほうが余裕があってかっこいいと思っていましたが、そういう憧れやプライドは持たず、『あの人ギリギリまで台本見ている』と思われてもいいから、しっかりとやり切りたいと思っています」と意識の変化を明かした。

また、「バラエティや取材などで、自分の発言により集中しないといけないし、責任を1人で抱えないといけないので、すごく気を使います」と、個人で活動するようになって責任をより感じるように。一方で、「以前は、自分はこう思っていても、乃木坂46としてはこう発言したほうがいいかなと考えることがありましたが、乃木坂46の私として答えなくてよくなったので、1回考えるというのはなくなりました」と、本来の自分をそのまま出せるようになったという。

●『探偵が早すぎる』で学んだ“人生で大事なこと”

『探偵が早すぎる』では、美津山宗介(萩原利久)の婚約者・綾藤奈々役を演じ、一華(広瀬アリス)、宗介、大谷(塩野瑛久)、奈々の四角関係に注目が集まっている。

「奈々は育ちの良いお嬢様なので、話し方や表情を意識しました」と、育ちの良さが出るように演技。また、「第一印象であまりいいイメージを持たれず、いろんな人に冷たくされる役なんです」と言い、そんな奈々を演じたことで「この人苦手だな、難しそうだなというイメージを抱いたとしても、第一印象で決めつけず、先を見ることが大事だとすごく感じました」と話した。

さらに、「周りに流されず、フラットな状態で相手と向き合って、ポジティブに相手のことを考えていきたいなと。私がもし奈々の周りにいたらしてあげたいと思ったことで、奈々を演じていて気づくことができました」と続け、「生きていく上でとても大事なことだと思うので、これから意識していきたい」と語った。

奈々と自身の共通点は「洋服が好きなところ」とのこと。「奈々ちゃんはよくブランドの服を着ていて、コーディネートもワンピースとバッグが一緒の柄だったり、ファッションも見どころだと思います」とアピールした。

滝藤賢一、広瀬アリス、水野美紀ら演じるぶっ飛んだキャラクターたちの掛け合いが魅力の本作だが、キャスト陣も個性豊か。堀は「皆さんすごい面白くて、面白いものを生み出している現場は、裏側も面白いんだなと思いました」と笑顔で振り返る。

また、「広瀬アリスさんは真剣な部分を持ちつつ、ユニークな部分も持っていて、今回の役にそれが反映されていて素敵だなと思いました」と広瀬から刺激を受けたようで、「面白さや大胆さが求められる役って楽しそうだなと思いながら見ていました」と話した。

女優として今後挑戦してみたいことを尋ねると、「アクション映画が好きなのでアクション映画に出たい」と希望。もし出演の機会があればしっかりトレーニングしたいと意欲を見せた。

また、「ミュージックビデオに出演したことがないので興味があります。基本的にセリフがなく、曲の世界観に合わせたお芝居。歌詞が台本になると思いますが挑戦してみたいです」とMVにも興味。もちろん、乃木坂46時代にMVに出演しているが、「自分たちの曲にアイドルとしての自分が出ていて、演じるという感じではないので。曲の雰囲気やアーティストさんのイメージに寄せた演技は経験がないのでやってみたいです」と話した。

●嘘をつかず、振り返ったときに胸を張れる人生に

アイドル時代から変わらず、活動する上で大切にしているポリシーも聞いてみた。

堀は「嘘をつかないこと」と答え、「自分にも相手にも嘘をつかないように。おばあちゃんになって自分の人生を振り返ったときに、嘘が混ざってるとどれが本当の自分の思いや行動だったのかわからなくなってしまう。それはすごくむなしいなと思ったので、自分に素直に、誰に対しても嘘がないように行動することはずっと意識しています」と説明。

芸能界に入ったときにしっかり心に刻んだそうで、「中学の頃まではまだ自分が確立していないですし、社会も見えていないので、周りに流されることもありましたが、人に流されて適当なことをしていると自分に返ってくることがわかり、その経験を踏まえて、芸能界に入った瞬間に、ここからはちゃんと自分の意志を持って生きていこうと決めました」と語った。

「自分の人生を濃く、ちゃんとしたものにしたいと思っている人は嘘つけないと思います。失敗も、自分の思いに従ってダメだったら納得できますし、良かったことも自分の意志でやった結果だとすごいうれしいですし」。振り返ったときに胸を張れる、嘘のない人生を歩んでいる。

16歳で乃木坂46として活動を開始した堀も、25歳になった。「以前は自分の仕事のことしか考えてなかったですが、今は家族のことや自分の将来、体調のことなど、より周りのことも含めて考えるようになりました。税金これくらいかかるなというリアルなことまで。これまでは母や事務所の方がやってくれていましたが、自分でちゃんとしなきゃという意識が25歳になってすごく出てきました」と、社会人としても自覚も増しているようだ。

今後については「20代後半は、とにかく30代につなげるためのステップとしていろんなことを経験したいので、いろんな場所に行きたいし、自分の中から出てきたアイデアをちゃんと具現化したい」と述べ、「企画・プロデュースすることがすごく好きなので、そういう好きなことも仕事につながるように考えていきたい」とプロデュースにも意欲。どんなプロデュースに興味があるのか尋ねると、「美容関連のものや洋服、また、別の人の作品……カレンダーやMVや衣装、ライブの演出や空間プロデュースにも興味があります」と答え、「20代って一番動ける時期なのかなと。体力的にも金銭的にも自由でいていい時期だと思うので、いろんな場所に行って、いろんな経験をしたいです」と語った堀。穏やかな口調ながらも情熱があふれていた。

■堀未央奈
1996年10月15日生まれ、岐阜県出身。2013年に2期生として乃木坂46に加入。7thシングル「バレッタ」で初選抜にしてセンターを務めた。2017年より女性ファッション誌『ar』のレギュラーモデルを務め、同年初のソロ写真集『君らしさ』を発売。2019年に『ホットギミック ガールミーツボーイ」にて映画初主演を務める。2021年3月をもって約8年間活動した乃木坂46を卒業。女優として様々な作品に出演する一方で、タレントとしてもマルチに活動している。現在放送中の読売テレビ・日本テレビ系ドラマ『探偵が早すぎる～春のトリック返し祭り～』、TBS系ドラマ『理想ノカレシ』に出演。