オダウエダ、「相方であり親友」な関係性 『THE W』優勝後の変化と反響も語る
●単独ライブは「人間がする行動ではない」!?
『女芸人No.1決定戦 THE W 2021』で5代目女王に輝いたお笑いコンビ・オダウエダが、結成9年目にして初となる単独ライブ「ALC.不可説不可説転」を7月2日に東京・ルミネtheよしもとで開催する。2人にインタビューし、単独ライブに挑む心境や、『THE W』優勝後の変化、またコンビの関係性にも迫った。
――初の単独ライブ開催が決定したときの心境をお聞かせください。
植田紫帆:自分たちの中では去年やるつもりだったんですけど、コロナで開催できず、いよいよ来たなという感じです。
小田結希:いつかはやらないといけないと思っていて、ネタを作るペースを考えて20年後かなと思っていたんですけど、優勝したのでやらせていただこうかなと思って今になりました。
――準備は大変ですか?
植田:先輩たちから「単独はめちゃくちゃしんどい。命が削れるぞ」と聞いていたんですけど、その通りだなと思います。人間がする行動ではないのかなと。
単独がやれるように人間という生き物はできていないみたいで、無理している感じではなかったんですけど小田が体調を崩して。
小田:自分の中ではめっちゃ楽しみって感じだったんですけど。植田から「気持ち的には大丈夫だけど、体は緊張しているのかもね」って言われて、緊張状態が続いていたのかなと思います。
――やはりネタ作りが一番大変なのでしょうか。
小田:そうですね。全部新ネタですし、楽しんでもらえるネタを作らないといけないし、作りたいし。
植田:普段だと1本作って「やっとできた~!」って感じなのに、それを6本やるとなると、もともとネタを作るのが遅いコンビで、1カ月で6本作るというのは今まで経験したことがなかったです。
――手応えはいかがですか?
小田:見せたいネタがいっぱいあります!
植田:小田監修で作ったネタとネタの合間に流すVTRがあるので、それも見てほしいです。
小田:ほかの芸人さんも出演してくれたりして、いいものに仕上がっているんじゃないかなと思います。
●『THE W』優勝で生活激変「別の業種に転職したみたい」
――『THE W』優勝から半年経ちましたが、改めて優勝後の変化を教えてください。植田:ガラッと生活が変わり、それまでアルバイトで食べていましたが、お笑いだけで食べられるようになり、うれしく思っています。ただ、テレビの仕事など新しいことがめちゃくちゃ増えて、別の業種に転職したというくらい、新入社員みたいにヒーヒー言いながら新しいことを覚えている最中です(笑)。ヒーヒー言いながらも優勝できてよかったなと思います。
――ほかに優勝後の変化でうれしかったことはありますか?
植田:オダウエダという名前を全国の方に知ってもらえたというのは大きな変化だなと感じています。歩いていて「オダウエダさんですよね!」って言ってもらう経験は優勝できたからだなって。
小田:私は1人で歩いているとただのギャルなんですけど、植田と一緒にいると「オダウエダさんですよね。
頑張ってください!」と声をかけてもらうこともあり、うれしいです。あと、ナレーションのお仕事をやらせていただいたり、お仕事の幅が増えこともうれしいです。
――ドラマにも出演されていましたよね。
植田:社会科見学みたいな感じでした。夢だったラジオの仕事もやらせてもらって。
小田:いろんなことを経験させていただいて、充実かつ試練の日々です!
――試練と感じていることを教えてください。
小田:テレビでネタをするときに、スタッフさんから「こういう言葉は使えません」とか「この言い回し変えてもらってもいいですか?」って言われることがけっこう毎ネタあって。自分たちが面白いと思うそのままの言葉で伝えたいんですけど、そこが難しい半年でした。
――テレビはコンプライアンスが厳しいですよね。
小田:でもそれも楽しんで、もっと面白い言葉を考えようって考えるように。また、誰も嫌な思いをしないようにというのはすごく意識しています。
植田:あと、ライブだと1回その場でウケたらOKですが、テレビはスタジオでウケて、もう1回オンエアで視聴者の方にも笑ってもらわないといけない。2回ウケないといけないっていうのも気づきまして、その感覚がまだ難しいので、今後つかんでいきたいです。
――視聴者の反応はSNSでチェックしているのでしょうか。
植田:見ますね。過激なものばかり目に入ってきますが、エゴサーチして「面白い」って言ってくれているのを見つけて「ありがとう!」って思いながら酒を飲んでいます(笑)
――指摘されて参考にすることも?
小田:あります。
私たちマイクに慣れてなかったので、テレビなのに舞台の声量で話していて、「オダウエダうるさい」っていうコメントを見て直そうと思いました。
植田:着物の着方が“左前”になって間違っていたときに指摘していただいて、「ありがとうございます」って思いました。SNSは使い方次第ですよね。
●批判の声にも感謝「反応してくれてありがたい」
――優勝直後は審査結果に対して一部から不満の声が上がり、「叩かれすぎておかしくなった」と吐露される場面もありましたが、時間が経って気持ちも落ち着いた感じでしょうか。
植田:昔から「オダウエダ」でエゴサーチするのが好きで、ライブのときだと「オダウエダ面白い」って書いてくださることが多かったんですけど、『THE W』が終わってから急に「なんやあいつら!」っていう声が増えてつらい時期もありましたが、これだけ見てくれているんやなって。昔は反響なんてそもそもなかったので、そう考えたら反応してくれていることはありがたいことやなって感謝するようになりました。
小田:私もめちゃめちゃショックだったんですけど、人のことを批判している人って、日々自分も批判されていたり、吐き出す場所がないのかなと思って見ています。
植田:大先輩でもいろいろ書かれているのを見ると、みんなそうなんだなって。
小田:私たちも気にせず頑張ります!
――SNSとの向き合い方も学ばれて、精神的にも強くなられた感じですね。
植田:そうですね! それでも食らっている時はありますけど(笑)
――松本人志さんがツイッターで「自分の思った結果じゃなかったからといって優勝者を悪く言うのは違うと思う」とコメントしてくださったことでも救われたと。
植田:松本さんは本当にお優しいなと感動しました。
小田:わざわざ発信してくださって本当にありがたかったです。
――『ワイドナショー』に出演された際には、松本さんが「そんなん気にするタイプであってもほしくないわ」と話されていました。オダウエダワールドを貫けっていう激励が込められていると感じましたが、どう受け止めましたか?
植田:2人とも気にしちゃうタイプですけど、ネタだけは自分たちの聖域なので、これからも自分たちがやりたいことをやっていきたいなと思います。小田:改めて単独の前に松本さんの言葉を思い出してよかったです!
●“小田のやりたいこと”を形にするネタ作り
――まだあまりオダウエダさんのネタを見たことがない人に向けて、魅力のアピールをお願いします。
小田:私たちはなりたいけどなれないものをコントでよくやっているので、日常生活でしんどいなってことがある人に見ていただきたいです。
何を見せてくれるんやろっていう気持ちで来てもらえたら。
植田:ぜひともオダウエダに入門してみてください。オダウエダの沼にハマっていただけると思います。
――ちなみにネタはどのように作っているのでしょうか。
植田:まず小田にやりたいことを聞いて、そこから広げています。もともと私だけで作っていたんですが、それだと小田のテンションが上がらず感情が入らないので。小田から「エビを使うネタがやりたい」って言われてそれをネタにしてライブでやったらウケて、こういう作り方がいいんだなって、小田の言うことが意味わからなくても聞くようになりました。
小田:植田の許容範囲が広いんですよね。優しくて心が広いからできているんやなって思います。
植田:意味わからないけど、小田の言うことがめちゃくちゃ面白いので。ほかの人とは違う、何を見てんねんっていうところを見ているので、ネタも独特な感じになっているのかなと。
小田:普段からもっと褒めて!
植田:もっと褒めるわ(笑)
小田:ありがとう!
――素敵な関係ですね(笑)
植田:面倒くさい女です(笑)
――『THE W』の決勝2本目のストーカーネタも、小田さんのリクエストから?
小田:そうなんです。あれは本当に、カニのストーカーになりそうなくらいカニが好きだったので植田に伝えました!
●相方であり親友「一番の理解者」 目標はKOC優勝
――改めて相方が植田さん、小田さんでよかったなと感じているところを教えてください。
植田:めちゃくちゃ可愛くてめちゃくちゃ天才なので、相方でよかったなと思います。あと、アニメや漫画など趣味がすごく合うので意気投合できる。親友であり、家族な感じもあります。『THE W』で優勝して、小田でよかったなと改めて思いました。
――親友的な関係性は、長年コンビを組んでいる中でそうなっていったのでしょうか。
植田:気が合うというところからコンビを組んでいるので、最初からですね。NSCに入ってすぐ組んだので、相方の期間と友達の期間が一緒なんです。
――仕事の関係になると友達関係が崩れるコンビもあると思いますが、ずっと変わらずいい関係が続いているんですね。
植田:我々は友達と相方が同時にスタートしているのがよかったのかもしれません。仕事でしんどかった思いやうれしかった思いを共有できる人ですし、一番の理解者だと思います。
――小田さんはいかがですか?
小田:植田はめちゃめちゃお笑い大好きやなって思います。私に笑いを教えてくれたのは植田なので、私にとって笑いの師匠です。ネタに関しても、私の意味わからない発言から、起承転結ちゃんとなるように考えてくれて感謝しています。あと、めっちゃ明るくて、仕事のときも芸人のときもその明るさが変わらないんです。それがすごいなと。私が沈んでいるときにご飯モリモリ食べさせてくれて、元気にしてくれます。
――今後についてはどのように思い描いていますか?
植田:まだまだ出られる賞レースがたくさんあるので、頑張っていきたいです。
――一番は『キングオブコント』でしょうか?
小田:『キングオブコント』が一番の目標なので決勝に行けるまで出続けます!
植田:決勝進出、そして優勝ですね。決勝に進出しようって思ったら優勝を目指さないといけないので。
――今年も狙っていくわけですね。
植田:そうですね。決勝常連の方たちと一緒にライブをすることも多くなったので意識高く、追いつけ追い越せで頑張っていきたいと思います!
■オダウエダ
小田結希(1995年6月26日生まれ、愛媛県出身)と植田紫帆(1991年7月1日生まれ、大阪府出身)によるお笑いコンビ。大阪NSC36期生。2014年4月に結成。『女芸人No.1決定戦 THE W』では、2021年に初めて決勝に進出し、2022年に優勝した。