トニセン、マイペースを大切に「頑張るのやめよう」 新曲やSNS語る 三宅健とのやりとりも
●グソクムズとのコラボで“音楽の力”を実感
坂本昌行、長野博、井ノ原快彦からなる3人組ユニット、“トニセン”こと20th Centuryが、8月1日に新曲「風に預けて」を配信限定でリリースする。3人にインタビューし、同楽曲の魅力を聞くとともに、トニセンの今に迫った。
配信第2弾となる同楽曲は、4月から動画配信サービス「SPOOX」で配信、CSチャンネル「フジテレビTWO」で放送されているレギュラー番組『トニセンロード~とりあえず行ってみよ~』(毎週金曜23:30~)のテーマソング。“ネオ風街系”と称され注目を集めている新進気鋭のバンド・グソクムズが楽曲提供した一曲で、自分のペースで自分らしく楽しんでいこうという、今のトニセンの姿を表すようなグルーヴ感が心地よい仕上がりとなっている。
――この楽曲をもらったときの印象をお聞かせください。
井ノ原:『トニセンロード』をやればやるほど、これが一番ハマるねって。僕らがたどってきた道がそのまま映像として浮かんでくるような曲だなと思いました。
坂本:番組にこの曲が当たり前に寄り添っているような感じがあり、僕らがこの楽曲の中にポンと置かれても何も違和感ない楽曲だなと。
僕らのスタンスや歩幅が、この曲に非常にイコール的な感じがあると感じました。
長野:歌詞が番組にすごく合って、この番組のために書いてもらったのかなっていうくらいどんどんフィットしていきました。
――それぞれ心に刺さったフレーズを教えてください。
井ノ原:僕らは「無理するのはもうやめようぜ」って。頑張るんだけど、楽しいことを頑張っていきたいなって話していたので、「君だけの輝きだから 誰にも内緒でいいのさ」というフレーズは刺さりました。
坂本:6人でグループ組んでいるときもそうでしたが、目標・ゴールを決めないというスタンスでずっとやってきたので、「行き着いたそこがゴール」「いつだってここがゴール」というのは、気づいたらここがゴールだったんだなと、次に行ったらまた次のゴールがあるんだなということを考えると、好きですね。
長野:「君にしか見えないものが 一番大切なのさ」というフレーズが好きです。その人それぞれの価値観や、自分に見えているものを信じていいんだよって、背中をポンと押してくれるような感覚があって。
――グソクムズさんという才能ある若者たちとコラボレーションし、どのようなことを感じましたか?
坂本:音楽って若いとかベテランとか関係ないんだなって感じました。初対面だったのに、音楽という共通項があるだけでこんなにも会話がスムーズにいくし、ここまで曲を作れたというのは、音楽の力ってすごいなと思いました。
長野:曲は出会いですからね。昔から見てくださっていたグソクムズさんが、僕らをイメージして書いてくださって、こういう風に見てくれていたんだな、こういうのを歌ってほしいいんだなというのが伝わってきましたし、すごくいい出会いができたなと思います。
井ノ原:初めて会って音楽でつながれるから年齢関係ないなと思うけど、僕らも長いことやらせてもらっているから、そこらへんのぶつかり合いが面白いかったです。こうしたらどうだろうっていうのにすぐ対応してくれたりして、すごい柔軟な若者でいいなって。1回やってみましょうみたいな感じで、非常に僕らと相性がいいなと思いました。
●何もやらないとは違うトニセン流“頑張らない”とは?
――「自分たちのペースで気ままに進んでいこう」というのがテーマとしてある、今のお三方を表したような楽曲。
昔はガツガツしていたときもあったと思いますが、マイペース感がしっくりくるようになったのはいつ頃からですか?
井ノ原:わからないけど、僕が40歳になったとき、(坂本は)45歳だから、もうすっかりマイペースな感じで。僕は「肩の力が抜けてきました」って言いたい時期だったと思いますが、それももう言わなくなったので、今ぐらいがちょうどいい感じなんですかね。ラジオも27年目に入って、無理に自分らマイペースでやってますって言わなくても自分たちの空気でしかできないし。「頑張るのやめよう」という話はしているから、これ頑張らなきゃダメそうだなと思ったらやらないようにしているかもしれない。もう十分頑張ったから(笑)。頑張ってないわけではないんですけど、あくせくしちゃわないような感じで、そうしたら余裕も持てますし。
坂本:いろんなものを触ってきて、これは持てる、これは持っちゃいけないなというのがなんとなく自分たちでわかってきて、それが自分たちの引き出しとなって今があるような感じ。昔はいろんなことをがむしゃらにやっていましたが、自分たちができるものややりたいことが明確になってきて、それが形になっているのが今というか、なんとなくトニセンのペースになっていったのだと思います。
長野:年齢とともに自然にですけど、仕事の内容も変わってきますし、その一つ一つの課せられる部分も幅が変わってくる。それとともに、マイペースというか、もしかしたら頑張っていても頑張っているように見せないようにしているかもしれないし、それが自然に出せるようになってきたのかもしれないですね。
――「頑張らない」というのが今のトニセンさんのカラーのようですが、その中で新しいことにも挑戦されていくのでしょうか。
井ノ原:それは全然あるし、新しいことはけっこうやっていると思います。無理はしないとは言ってますが、面白いものとかお互い共有して、「今度これやってみない?」という感じで、けっこう新しいことはやらせてもらっているかなと思います。
――新しいことというと配信もそうですが、配信という形式は以前から考えていたのでしょうか。
井ノ原:あまりやってないことやろうと。僕らもレコード、カセット、CD世代だから、何か物がないと安心しないというのはわかるんですけど。
配信のダウンロードの仕方とか、特にジャニーズのファンの子たちは知らない子も多いんですよ。今まで物を持っていたから。一緒に覚えていこうじゃないかっていうのもチャレンジ。安心できる物はいつか形としては残したいと思っていますが、今手軽に短いスパンでできることは何かなって探した結果ですかね。
長野:初めてなんだって話題にもなるだろうし、今までやってないことを体感してみるというか、そういった意味でも「いいね、配信」という話になりました。打ち出し方も、ちょっと出して、また完成版って、いろんな方法ができるというのも面白いなと思いました。
坂本:配信は手元に届けやすい、すごくいいツールだと思います。形に残らないという寂しさもあるかもしれませんが、配信するタイミングが常にあると考えると僕らもスタンスが楽だし、待ってくださる皆さんも期待感で待ってくれていたらうれしいなと思います。
――今後のビジョンのようなものはあるのでしょうか。
井ノ原:ビジョンね~。
長野:昔からそういうのは考えてなかったね。
坂本:頑張らないって何もやらないということではないんです。僕らが何かをやろうとすると無理がたたるような気がしていて、そういう頑張りではなくて、今までやってきたものを自分たちなりに租借して新しいものを作り出していくという頑張り。後輩たちが新しいことに挑戦していく頑張りとは意味が違うのかなと。僕らもアクロバット相当頑張ってきたので(笑)。それを経ての今なので。
井ノ原:後輩たちの挑戦は感心しながら見つつ、年齢も、通ってきた道も違うから、先輩とか後輩とか関係なく、一アーティストとしてお互い尊敬できる間柄だったらいいなと思います。なかなかこういうグループもないので、ゆるい感じでやらせてもらえるのがありがたいなと思います。
●V6解散後も3人の関係性は変わらずSNSは「新鮮」
――昨年11月1日にV6としての活動が終了してからお三方の関係性に変化はありますか?
井ノ原:舞台やライブ、ディナーショーなどはずっと3人でやっていたので、あまり変わらないかな。
長野:ラジオも27年目でずっと毎週放送でやっていて、常に会っているので、普段のこともその中で話しますし、そんなに感覚としては変わってないですね。
坂本:変わってないです。
井ノ原:V6があるとそこに向けてのトニセンの活動というか、持って帰るものを探すみたいな活動になっていたけど、今はここでしかないので、そんなに気を張らなくても、何もないこともあるよねという感じでやっています。ただ関わってくれた人たちがみんな幸せであってほしいなと。あと、どんどん後輩たちが出てきているけれども、この年齢で楽しんで音楽をやっていて、自分1人のしっかりとした仕事も持っていてというのは、後輩たちにも恥じないようにという堅苦しいことではなくて、こういうのもあるよっていう感じで見てもらえたら。
――5月にツイッターを開設されました。お三方の掛け合いにほっこりしますが、やってみていかがですか?
井ノ原:これも焦らずですよね。
長野:遅ればせながらだけど新鮮ですよ、SNSは。いまだに「へえ!」ってありますからね。マネージャーに教えてもらったりしながら。自分のツイートが見られなくて、「スレッド押すと見れますよ」って。
井ノ原:僕それ知らない!
坂本:スレッドって?
長野:それを押すと関連したコメントが全部見られるっていう。
井ノ原:「すごいですよ、ファンの人が反応してますよ」って言われても、どこで反応しているのかわからなくて。「反応」とか書いてほしい(笑)
――直接、声が届くのはうれしいですか?
井ノ原:でも、届いているのかどうかわかってなかったから(笑)。僕らがやっていることすら知らない人たちがいっぱいいると思うから、届いた気にならないように。反応も、いいも悪いも、浮かれないようにしています
坂本:スレッドで見れば。
井ノ原:とにかく「スレッド」を言いたくてしょうがない時期だから、言わせてあげてください(笑)
●三宅健とは「絶対フォローしないからなって(笑)」
――SNSもトニセンさんらしく頑張りを見せないわけですね。
井ノ原:ツイッター、全然頑張ってないですもんね。
長野:最近スレッドを覚えたぐらいですから。だからまだまだ活用しきれてないですね。
井ノ原:フォロワーを増やそうという話を1回もしたことないですから。僕はフォロワー数を見て、ゾロ目が出たときにスクショして喜んでいる(笑)。わざわざフォローしてくれているってもちろんありがたく受け止めているけど、それ以上になっても自分たちとしてもついていけなくなってしまうから。今いてくれる人たちを楽しませるというのが一番いいのかなと。
――先日、三宅健さんがソロでの音楽活動をスタートすると発表され、ツイッターも開設されましたが、お互いフィードバックはあるのでしょうか。
井ノ原:ないですね。でも、話したりするので、「頑張ってね」とは言いますけど。ツイッターを始めたから、お互い「絶対フォローしないからな」って言っています(笑)
――ファンの方はツイッター上での絡みも期待されているのかなと。
井ノ原:そんな形だけのフォローなんてしないですよ。
長野:わざわざしなくても、ってことだよね。
井ノ原:(SNS上で)見えなくても、もうフォローし合っている。「いいね」とかもありがたいですけど、そういうことじゃないんだと。
坂本:「いいね」だけの関係じゃない!
井ノ原:そういうことを見せていこうかな、逆に(笑)。「いつになったらフォローするんですか?」「もうしているだろ」と。形じゃないだろっていうところを見せていきたいです(笑)
■20th Century(通称:トニセン)
V6のメンバーのうち年長の3人、坂本昌行(1971年7月24日生まれ、東京都出身)、長野博(1972年10月9日生まれ、神奈川県出身)、井ノ原快彦(1976年5月17日生まれ、東京都出身)で結成されたユニット。V6として1995年にデビューした後、トニセンとしては1997年にアルバム『ROAD』でCDデビュー。2021年11月1日にV6が解散した後も、トニセンは存続。2022年5月23日に配信第1弾シングル「夢の島セレナーデ」、8月1日に配信第2弾シングル「風に預けて」をリリース。4月よりSPOOXとフジテレビTWOにてレギュラー番組『トニセンロード~とりあえず行ってみよ~』がスタート。1996年4月にスタートしたラジオ番組『S.I.N NEXT GENERATION』は現在27年目。
スタイリスト:秋谷和之メイク:松本未央知野香郡子