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間寛平、GM就任から半年「みんなかわいく見える」 総選挙で若手の意識変化にも手応え

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間寛平、GM就任から半年「みんなかわいく見える」 総選挙で若手の意識変化にも手応え

●競争することで「若い子の目の色が変わってきた」
今年2月、吉本新喜劇のゼネラルマネージャー(GM)に就任した間寛平。そこから約半年経過したが、どんな活動を行い吉本新喜劇にどんな変化が生じてきているのだろうか――率直な胸の内を聞いた。

○■総選挙で確信「面白い奴はきっと売れる」

吉本新喜劇GM就任会見で寛平は「必ず大スターを作ります」と宣言。数々の改革案を提示した。そのなかでも大きな話題となったのが「吉本新喜劇座員総選挙」を行い、上位30名が「吉本新喜劇まつり2022」に出演するという試みだ。

「総選挙はすごく盛り上がっていただいていますね。すでに30万票ぐらい投票がありますよね(7月末時点)。僕の順位がちょっと(中間発表で7位)……なのは残念ですが(笑)。
でも新しい劇場を作ってもらって、若い子らもネタをやる場も増えてきたのはいいことだと思います」

寛平GMの誕生から半年。これまでおっとりとしていた若手にとっても、総選挙という場ではっきりと順位が出ることで、意識も変わってきたという。

「もともと出番がなかった若い子たちのなかには、面白いネタをたくさん作れる子はいる。でもやっぱり今の子らは競争意識がない。僕らのときは『絶対座長になってやる! 売れてやる!』みたいな思いが強い奴らばかりだったんだけれどね。だからまず僕がすべきだったのは『頑張らんとあかん』と気持ちに火をつけること。実際若い子の目の色が変わってきたなと感じています。まだまだ僕に直接相談することは難しいかもしれませんが、マネージャーには若手からたくさん相談が寄せられているそうです。
確実に変わってきていますよ」

大がかりな総選挙を行ったことで見えてきたこともたくさんあった。最も強く感じたのが「面白い」ということの尊さ。

「現在の順位を見ていて感じたのは、アキ、辻本(茂雄)、すっちー、内場(勝則)と上位にいるのはみんな面白い奴ら。面白い奴はきっと売れるっていうのは確信しました」

○■「ほかの芸人には負けん!」という気持ちから変化

寛平自身、GMという大役を担いながらも、芸人として舞台に立つ。いわゆるプレイングマネージャー的な立場だが、芸人としての心持ちに変化はあるのだろうか――。

「大きく変わりました。これまでは舞台に立つときは『絶対ほかの芸人には負けん!』と強気で臨んでいたのですが、いまは劇場で笑いが起こっていたらめちゃくちゃうれしいんですよ。やっぱり新喜劇全体を見るようになってから、以前は『こいつ腹立つなー』なんて思っていた奴も、みんなかわいく見える。
早く売れてほしいとか、仕事が多くなったらいいなってね」

自身の順位(中間発表で7位)についても「まったく気にならない」と笑い飛ばした寛平だったが、そこには複雑な心境も見え隠れする。

「正直な胸の内を明かせば、ちょっとは気になりますよね。(寛平の息子でありミュージシャンの)慎太郎がライブやったりすると『ファンに(投票を)入れとってくれって言っといてくれ』なんて言ったりね(笑)。なんかちょっとガツガツしてきたかな。でもやっぱりアキや辻本とか上位のメンバーは面白いから。負けたくないのは川畑(泰史)とかかな(笑)」

吉本新喜劇のGMという大役。寛平自身は、まさに青天の霹靂だったという。

「本当に社長はようこんなこと考えましたよね。
なんで僕をこんな立場にしたんだろうなって。僕は本当になにも考えない人間。『いくつになっても甘えん坊』ってわけわからんことやっているのが好きな人間ですからね。自分でも似合わんことやっているなと思っています」

●新喜劇は“大阪の宝”「若い人に受け継いでいってほしい」

○■「とにかく売れてほしい」賞レースへの参加も呼びかけ

慣れない仕事で毎日がしんどいことばかりだという寛平。それでも自分に期待をしてくれるという吉本興業の思いは意気に感じている。

「僕なんて本当に会社に迷惑かけまくっていましたからね。横山やすしさんという芸人さんご存じだと思いますが、あの人も破天荒な人でしたが、僕も争うぐらいひどかった(笑)。それぐらい無茶苦茶やっていたのに、吉本興業には大事にしてもらった。
ここで恩返ししなければという気持ちでいっぱいなんです」

寛平いわく「面白い子はいっぱいいる」という。だからこそ「とにかく売れてほしい」と切に願っている。そのためにはどんな道を通っても構わないという。

「若い子には、『キングオブコント』でも『R-1グランプリ』でも、どんどん出てみたらいいと話しています。そこで売れたら新喜劇にも良い相乗効果が生まれるだろうしね。でも『新喜劇のために頼むぞ!』とは言っていますが、もし『キングオブコント』で決勝に行ったり優勝して、新喜劇じゃない道に進みたいと言ったら、それはそれでいいと思っているんです。やっぱり悔いが残らない人生にしてもらいたいですからね」

“新喜劇愛”を通り越して“人間愛”にまで発展している寛平。それでもやっぱり吉本新喜劇の未来には大きな期待を持っている。


「僕は新喜劇って大阪の宝だと思っているんです。60年以上ずっとやってきて、テレビを含めれば何億人という人が観てきたと思うんです。こんなすごい劇団があるんだから、やっぱり若い人に受け継いでいってほしいという思いはあります。僕も吉本入って53年になりますが、当時の先輩は皆さん亡くなってしまった。もういま新喜劇で残っている先輩は、やなぎ浩二や池乃めだか、末成映薫ぐらいかな。僕もゆくゆくは死ぬだろうし、歴史は続いていってほしいですよね」
○■“第二の明石家さんま”は無理だけど「面白い人間を」

また「大スターを作りたい」と話していた真意について問うと、ある大物芸人の名前を挙げる。

「社長から『頼んだ』と言われたとき、僕は第二の明石家さんまを作ろうと思ったんです。舞台上でも、舞台を降りてもキャーキャー言われる存在をね。
でもすぐに無理だとわかりました。あんな男は絶対に出てこない。やっぱり特別ですよね。さんまちゃんを目指そうとした瞬間、ほとんどの人間はつぶれてしまう。それだけ特別な存在ですね」

明石家さんまのようなスターは無理でも、この半年間のGM経験で実感したのは「面白かったら売れていく」ということ。だからこそ「面白い人間を作らなければいけない」と使命感に燃えていた。

■間寛平
1949年7月20日生まれ、高知県宿毛市出身。1970年に吉本新喜劇に入団し研究生となる。1974に吉本新喜劇の座長に昇格。「アヘアヘ」「ア~メ~マ~」「かい~の」などヒットギャグを続々と放ち、関西で絶大な人気を獲得する。1989年に退団し、東京進出。2008年12月~2011年1月、ヨットとマラソンによる地球一周「アースマラソン」を完走。2013年より「淀川寛平マラソン」を開催。2022年2月に吉本新喜劇GMに就任。

■吉本新喜劇座員総選挙
10月10日に大阪・なんばグランド花月で開催される「吉本新喜劇まつり」に出場する座員を決める総選挙。一般7500円、小学生以下3500円、オンライン2000円。一般投票で選ばれた上位30人がまつりに参加できる。投票は8月23日23時59分まで。

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