シングルマザーとして生きること(1)「母子家庭=貧困」という世間の目
テレビや雑誌などで女性の貧困、とりわけシングルマザーの実態が取り上げられる時、シングルマザーとして生きる一人として、思うことは多い。もちろん、私自身も一例に過ぎないが、だいたいにしてメディアで取り上げられるものは、表層的な一部分にすぎない。
それはそれで仕方のないことだと思う。自分自身も違う境遇にある人々のことを部分的なことしか理解していないであろうし、同じシングルマザーでさえも、すべての人の実情を知るわけでもなく、語ることもできないのだから。むしろ危惧しているのは、表層的な捉え方をされることにより、余計にその深い部分が見えなくなってしまうのではないかということ。周囲が騒ぎ立てることにより、本質が見えなくなって思考停止状態になり、むしろ議論が退化してしまうのではないかと。
○「シングルマザー」といっても様々
シングルマザーと言っても、状況は本当に十人十色だ。あくまで私自身が知る範囲、これまで関わってきた範囲だけではあるが、単純に離婚、死別、未婚(非婚)の3つに大きく分けられるし、その理由はおそらく皆さんが想像している以上に複雑で様々だ。
そして生活実態に関しても、例えば十分な慰謝料、養育費、保険金、遺産で生活への不安のない人、母子家庭となる前から母一人でも十分に自活していくだけの生活力を備えていた人、夫の暴力から逃げるように裸一貫で飛び出してきた人など様々。