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Twitterフォロワー数19万人の俳優・佐藤二朗は、いかにして現代のSNSとつき合っているのか?

マイナビニュース
Twitterフォロワー数19万人の俳優・佐藤二朗は、いかにして現代のSNSとつき合っているのか?

●ニュースに取り上げられるのはありがたい
映画・ドラマに欠かせない個性派俳優・佐藤二朗。出演作品はとにかく多数だが、現在はTBS系ドラマ『神の舌を持つ男』(毎週金曜22:00~)に出演、10月からはテレビ東京系ドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズの最新作『勇者ヨシヒコと導かれし七人』の放送を控えている。

そんな佐藤だが、実は「Twitterが面白い」と評判を呼び、フォロワー数は現在19万人。ついには面白いツイートを集めた『佐藤二朗なう』(AMGブックス/税込1058円)という著書が発売された。俳優とインターネット、そしてSNSについて、佐藤二朗流の関わり方を探る。

○文を書くことに興味があった

――実際に発売された本を手にとっていかがでしょうか。

いやね、本当にこれ、ダメ人間役者の酔っ払って書いたものが本になるって(笑)。

――そんなことは……! そもそもどうしてTwitterを始められたんでしょうか?

最初は、100%宣伝目的でした。
もともとは僕個人がやっている演劇ユニット「ちからわざ」のアカウントで、舞台の時だけ稼働していたんですけど、舞台そのものが数年ごとなので、公演が終わったら放置状態になっていました。2014年ごろ、映画『幼獣マメシバ』プロデューサーに宣伝のためにTiwtterを勧められて、放置していたアカウントを引き継いで、個人Twitterにしました。

――そこから、今のように色々と書くようになられたんですね。

振り返れば細々と舞台の戯曲やドラマの脚本も書いていて、やっぱり文を書くということに、興味があったんですね。最初は宣伝目的で始めたんだけど、公の目に触れるものなのでサービス精神が働くし、毎回毎回、それなりに真剣に書くじゃないですか。「今日のランチはこれだよん」みたいなかわいいツイートを僕がやっても誰も喜ばないし(笑)。で、写真ではなく文重視で書いていたら、いろいろニュースにも取り上げられるようになり、フォロワーも増えていきました。

僕も家族ネタは書いてますけど、やはり「俳優は、プライベートを秘する方がカッコイイ」という思いは今でもあるんです。
でも、それより"書くこと"への興味の方が勝っちゃいましたね。

○おもてなしの気持ちで

――マイナビニュースでもTwitterやブログの内容を記事にさせていただくとかなり読者の反応がよかったりするのですが、ぶっちゃけそういう記事は、取り上げられる側からしたらどのようなお気持ちですか……?

「ぶっちゃけ」とおっしゃったってことは、「他人のふんどしで勝負をしてけしからん」的にこちらが思うことを危惧していますよね(笑)。でも、僕は「おもてなし」するつもりで書いているので、取り上げていただき素直に嬉しいです。ただ記事によって「よく見てくれてるな~」というものもあれば、「ちょっと違うな~」というものもありますよね。

――逆に、記事を書く方も見られてるぞ、ということですね。

当然当然。でも、いずれにしても記事にしてくれる人って「僕のこと好きなんだな」とは思いますね。また僕は割と長い間、名前と顔が一致しない俳優で、街でも「よく出る脇役の人」と声をかけられることが多かったんです。
それはそれで嬉しかったんですが、最近は「佐藤さん」と声をかけられるようになり、記事にも「俳優の佐藤二朗さん(47)」と書かれて、「わかってくれるんだ」と感慨深いものはあります。

そういえば先日は、雑誌に記事が。高円寺のカフェでセリフを覚えてたんですが「佐藤二朗が昼下がりに、奇声を発していた」と書かれているんですけど、もちろんそんな声出さないし僕は!(笑) セリフを覚えてるのは事実ですけど、それはちょっと驚きましたね。

●「公に発信する」ことは常に意識
○毛嫌いはしていられない現代

――佐藤さんのツイートは、一文一文完成された、短文エッセイのような印象がありますよね。やっててよかったと思うのはどのような点でしょうか。

昔の俳優さんは銀幕でしか見れなかったり、プライベートも破天荒だったりしますが、それは昔だからよかったんですよね。これだけネット社会になっている時代に俳優として生きているので、ネットを利用してみるのもありかなとは思いました。僕はガラケーですし、アナログ人間なんですけど、毛嫌いするより「この時代に生きてるから、関わってみようかな」と。


日記的な意味合いもありますが、常に公に出ることを意識して書いてはいます。Twitterって、ものすごい面白い文を書くと、一般の人でもすごくフォロワーがついたりしますよね。俳優は芝居の良し悪しは数値に現れません。Twitterのように、純粋に面白い文があればフォロワーが伸びていくというのは素晴らしいことじゃないかなと思います。

――周りの俳優さん、共演される方から「見ましたよ」と言われることもよくあるんですか?

今『神の舌を持つ男』で一緒の向井理くんは、この本のことをかなり気にかけてくれています(笑)。他には、六平直政さんのことを書いたら、六平さんが出演する舞台『ビニールの城』の稽古場で話題になっていたらしくて、六平さんから「お前のツイッターすごいね、みんな見てるんだね!」と言われました。

――かなり話題になっているんですね。今回は、脚本家・演出家の福田雄一さんが文章を寄せてくれていますが、こちらについてはいかがでしょうか。


僕が頼んだんですが「こんなテイストで書くだろうな」と思った通りのテイストです。「こんな本買わんで良しみたいに書き始めて、最終的には少し褒める」みたいな感じなんだろうなと思ったら、その通りでした。そのあと「大丈夫だったかなあれで……」とメールが来るのも想定内です(笑)。もう全部僕の手のひらです。

○1つだけ酔っ払っていないツイートも

――お酒を飲んで書かれたツイートも人気ですが、お酒はお家で嗜まれているというのも驚きでした。

やっぱり一番うちがリラックスしていますし、本当にベロベロになってしまったら書けないですからね。実は1回だけ、全くの素面で、ベロベロに酔っ払ってるふりをしてみたツイートがあるんです。

――そうなんですか!!

「みんな聞いて!"スクショ"ってスクリーンショットの略じゃないよ!学校(スクール)で小便漏らすことだよ!」というツイートなんですが……友達から「さすがにあれだけ酔っ払ってツイートしちゃまずいでしょ」と言われたから、「あれは実は素面なんだよ」と(笑)。
夢を壊して申し訳ないですが(笑)。でもそれ以外は本当に酔っ払ってます!

――酔っ払って、ますますおもてなしの気持ちが大きくなったりとか。

するのかもしれません。でもやっぱり文の精度は落ちますよね。

○誹謗中傷は絶対に書かない

――何か普段から書くときに気をつけていることなどはありますか?

ネガティブなことは書かないようにしているんです。自分が悔しいから頑張る、とかは書きますけど、他人の誹謗中傷をしないのはもちろんのこと、社会批評などもやりません。そういう言葉を発信する方がいてもいいと思うんですけど、僕にとってTwitterはそういうこと以外の表現で勝負したい場なんです。

――内輪の繋がりではなく、世に発信するという意識があるのは、ネットの感度が高いような気がします。


そうなんですかねぇ。でもアナログ人間なので、インターネットに合っていたというより、役者だからという点が大きいかもしれないですね。「佐藤二朗」という名のもとにやっているので。

――ちなみに本の中で気に入ってるページや、気に入っているツイートなどはありますか?

全部、思い入れがあるといえばあるし、ないといえばないです! まあ大体が本になると思って書いてないですからねぇ。

――今の『全部思い入れがあり全部思い入れがない』というフレーズ、すごく刺さりました。

僕も刺さると思って言いましたからね(笑)

『佐藤二朗なう』

俳優・佐藤二朗のTwitter投稿から厳選した117のツイートに、本人のツッコミをつけて掲載した究極の自作自演本。アミューズメントメディア総合学院 AMG出版、税抜き980円。

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