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宮沢氷魚、声優初挑戦で声への意識高まる「極めたい」 俳優デビュー5年での変化も語る

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宮沢氷魚、声優初挑戦で声への意識高まる「極めたい」 俳優デビュー5年での変化も語る

●自分の声のキャパシティーをもっと広げてきたい
俳優の宮沢氷魚が、アニメーション映画『僕が愛したすべての君へ』『君を愛したひとりの僕へ』(10月7日公開)で声優に初挑戦した。2015年に『MEN’S NON-NO』専属モデルとしてデビューし、2017年より俳優としても活動。先日最終回を迎えたNHK連続テレビ小説『ちむどんどん』ではヒロインの夫を演じるなど、着実に存在感を高めているが、声優挑戦は自身にとってどんな経験になったのか。また、俳優デビューから5年での成長・変化や、今後についても話を聞いた。

乙野四方字氏の小説を原作とする2つの作品は、“並行世界”を行き来することができる世界で、1人の少年がそれぞれの世界で別々の少女と恋に落ちるラブストーリー。『僕愛』『君愛』2作品の主人公・暦を宮沢氷魚が担当し、『僕愛』で暦と恋仲になるヒロイン・和音を橋本愛、『君愛』で暦と恋仲になるヒロイン・栞を蒔田彩珠が演じた。

――声優初挑戦となりましたが、オファーを受けたときの心境から教えてください。

うれしさと不安と両方ありました。
最初は正直、自分の声でお芝居できる自信がなかったので、どうしようと思ったのですが、台本を読んでとても面白いなと。これやりたいと思い、僕に声をかけてくださった皆様に感謝しています。

――ご自身もパラレルワールドについて考えることがあり、パラレルワールドがテーマの物語に惹かれたそうですね。

毎日考えているわけではないですけど、ふとした瞬間にこの世界線だけがすべてではないんだろうなと考えることがあります。この物語ではパラレルシフトが可能で、しかもオプショナルシフトという、自分が行きたいところに行けるというのはとても面白いなと。僕が生きているうちに移動できるようになる可能性もあるのではないかなと思いました。

――パラレルシフトが可能になったらどうしたいですか?

すごく近いところにシフトして、自分の周りの環境がどう変わっているのか、自分の日々の小さい選択の積み重ねがその瞬間の自分を作り上げていると実感できたら満足です。物語の中でも、遠いところに行くとトラブルが起こってしまうということだったので、それは起こしたくないです。


――いつか声優をやってみたいという思いはあったのでしょうか?
よく朝のテレビ番組で俳優さんがアニメに挑戦した公開収録の様子を見て、これは難しそうだなと。皆さん「難しい」とコメントされているので、やりたいやりたくないということ以上にできないだろうと思っていました。しかも、自分に声がかかるとは思ってなかったので。今となっては本当にやってよかったなと思います。

――本作のイベントで「普段お芝居をするボリュームよりも上を目指して出さないと自分の声が画に負けてしまう」と声優の難しさを話されていましたが、面白さは感じましたか?

面白さもたくさんありました。やっているときはいっぱいいっぱいで、この日できるものを出し切って帰ることしか考えられなかったですが、自分が声を乗せることによって作品がどんどん成長していく過程を見ると、自分が大きく関わっている作品になったなと感じることができましたし、改めて声の重要さを感じました。

――声の重要さについてはどう感じましたか?

普段の芝居だと、声や表情、動きなど、体の表現すべてで演じることができますが、今回は声だけだったので、声ですべてを表現する難しさをすごく感じました。今まで演じた作品でも声や言葉を大事にしていましたが、どこかほかの表現に甘えていた部分もあって、声だけで勝負となったときにまだ納得できない瞬間がいくつもあって、自分の声のキャパシティーをもっと広げていこうと、それに気づかせてくれた作品になりました。


――声のキャパシティーを広げていくことは、普段の演技にもプラスになりますよね。

そうですね。悲しいシーンは泣いたり、うれしいシーンは笑顔になったりして、だいたい気持ちが伝わりますが、声だけでどういう感情なのか、どういう物語なのか伝わるくらい極めていきたいです。

●経験を重ねて芽生えた俳優としての覚悟舞台が転機に
――以前から声や言葉を大事にしていたとのことですが、俳優業を始めたときからそうだったのでしょうか。

舞台をやってからですね。舞台はロングランだと何十公演も毎日声を出すし、1日2回公演もあるので、声の出し方を一つでも間違えるともたないんです。テクニックでいうと発生方法……奥の人に届くかどうかは、どういう風に声を出すかが重要になってくるのですが、声優は声優で独特の声の出し方があって、求められるものも普段と違うので喉がしんどくなり、筋肉痛にもなりました。無駄な力が入っていたんだろうなと。
演じるという大きな枠でいうと同じですが、普段の表現とは違う声優を経験できてよかったです。

――『僕愛』と『君愛』では、1つの選択によって主人公の人生が変わります。宮沢さんは、芸能界に入ったことが一番の分岐点だと話していましたが、俳優になりたいと思ったきっかけを改めて教えてください。

母がドラマ好きで家族で小さいときから見ていて、ドラマや映画が流れているのが当たり前の家だったので、自然とドラマの世界に魅力を感じました。僕が見ていた『山田太郎ものがたり』や『花ざかりの君たちへ』、『花より男子』など、キラキラした世界に入りたいと思い、入るにはどうしたらいいんだろうと考えるようになりました。

――2017年にTBS系ドラマ『コウノドリ』で俳優デビューから5年経ちましたが、俳優業への思いに変化はありますか?

楽しさでいうと、始めた頃のほうが楽しかったです。夢見ていた世界に入れているという喜びがあったから楽しい! という感じでしたが、いろんな作品を経験させていただき、楽しいだけではやれないんだと、自分の身を削ってでも役に近づく過程が必要だと気づき、誰かを演じることに覚悟ができました。やりがいはどんどん生まれていて、関わった作品が誰か1人でも感動を与えたり人生を変えることができていると思うと頑張ろうとすごく思います。


――俳優人生における分岐点も教えてください。

自分の中で分岐点になっているのが舞台で、初めて舞台をやったときも、渡辺謙さんと一緒に『ピサロ』をやったときも、ごまかしがきかないというか、自分がその瞬間やったものが皆さんに届くわけで、一つの瞬間に全部の集中力を持っていって演じるということに気づかせてくれました。どの舞台も難しくて大変に感じることも多いですが、達成感や喜びがあるから続けられています。

――舞台経験は映像作品にも生きていると感じますか?

すごく生きています。お金をもらっている以上はそれに見合ったクオリティのものを提供するのは当たり前ですが、舞台はチケットが高いですし、地方から来てくださる方もいて、お金と時間をいただいているというところで、それにちゃんとお応えしないといけないという覚悟ができました。舞台以外の仕事も誰かの時間をいただいているので、無駄にはできないなと。今回の声優の仕事も、この作品をよりよくするために自分には何が求められているのか常に考えながら挑みました。――宮沢さんは優しい声がとても魅力的ですが、自分の声についてどう思っていますか?

よく自分の声を褒めていただきますが、自分の思っている声と作品とかで聞く声って違いますし、「自分ってこんな声なんだ。
ふ~ん」という感じです(笑)

――そうだったんですね(笑)

俳優さんはそういう方が多いと思いますよ。もちろん自分を向上させるために出演したものは全部見て研究していますが、自分の芝居や声に満足することはないですし、それは必要なことだと思っています。満足するのではなく、もっとこういう声を出したいとか、もっと上を目指せると思うがゆえに「ふ~ん」って思うのかなと思います。

●全速力で走りつつ、自分にしかできない作品を探したい
――今後はどうなっていきたいと考えているのでしょうか。

今年28歳になって、もうすぐ30歳。今はまだ体力も有り余っていて、やりたい仕事もたくさんあるので、しばらくは全速力で走っていき、いろんな作品やいろんな出会いに恵まれたらいいなと思いますが、どこかで体力が落ちていく。意外と30代で来ると思うので、そのときにどうしたいかというのを最近考えています。いただいた仕事を全部やるのもかっこいいですが、自分にしかできない作品や自分がやることによってすごく生きる作品を探っていき、そういう作品にたっぷりと時間と体力をかけて挑んでみたいという気持ちもあります。
それまでは若さと勢いで突っ走っていきたいと思います。

――自分にしかできない作品というのは、どういうものを思い浮かべていますか?

まだ見つかっていませんが、いろんなパターンを考えていて、英語を話せるので英語を使って日本や日本人の魅力を世界に伝えていくことも考えていますし、僕はクォーターなので、独特な見た目でもあるので、アンニュイな役やそういう雰囲気が求められる作品にも出演したいなと思っています。

――英語を使って日本の魅力を伝えるというのは、海外の作品に出演して発信できればということでしょうか?

そうですね。

――最後に……「氷魚(ひお)」さんというお名前について質問させてください。どんな環境の変化でも生きていける鮎の稚魚・氷魚(ひうお)に由来し、「どんなプレッシャーや環境の変化にも対応できて突き進んでいけるように」と願いを込めて命名されたそうですが、実際にそれがご自身のモットーにもなっているのでしょうか。そうですね。この仕事は常に環境が変わり、毎日違うところに行って違う仕事をするわけですけど、対応力が必要だなと感じています。また、みんなと楽しくいいものを作っていきたいという思いや、いろんな出会いに感謝ができるからこそ続けられていると思うので、そういったことを教育してくれた両親にはすごく感謝しています。

――現場ごとに対応しながらいろんなお仕事をされているわけですよね。

ドラマだと3カ月ずっと一緒にいて、この前まで朝ドラをやらせていただいていましたが、朝ドラだとほぼ1年間、週6日会っていたのが、クランクアップすると会わなくなって、みんなそれぞれ違う現場で新しいファミリーができる。そこに対応しつつ、それを楽しめるかどうかだと思いますが、これからも楽しんでいけたらと思います。

■宮沢氷魚(みやざわ・ひお)
1994年4月24日生まれ、アメリカ合衆国カリフォルニア州出身。2017年にドラマ『コウノドリ」で俳優デビュー。ドラマ『偽装不倫』(19)、連続テレビ小説『エール』(20)などに出演。初主演映画『his』(20)にて数々の新人賞を受賞、また、映画『騙し絵の牙』(21)では、第45回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。先日最終回を迎えた連続テレビ小説『ちむどんどん』に出演。映画『グッバイ・クルエル・ワールド』が公開中。映画『THE LEGEND & BUTTERFLY』と映画『エゴイスト』が2023年公開予定。

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