TAKAHIRO、EXILEの楽曲を「輝かせ続ける使命がある」 ソロ活動への思い語る
●「ソロとしてもEXILEの楽曲を歌いつないでいきたい」
ダンス&ボーカルグループ・EXILEのボーカリストTAKAHIROが2020年にスタートさせた、EXILEの楽曲を新たなアレンジでカバーしていく「EXILE RESPECT」シリーズ。今年11月22日に、EXILEの23枚目のシングルとして2007年2月14日にリリースされたバラード曲「道」のカバーをリリースする。「もともと僕はEXILEのファン」だというTAKAHIROが同シリーズへの浅からぬ思いを語った。
――あらためて「EXILE RESPECT」シリーズを始めた想いを聞かせてください。
僕のソロ企画でもある、ファンクラブイベント「TAKAHIRO 道の駅」で全国を回りながら、EXILEのセルフカバーをしたり、バンドアレンジをして歌っていました。その中で、ファンの皆さんの反応を見たときに、やっぱりEXILEの曲は歌うとすごく喜んでくださる。長く活動しているグループだけあって、おこがましい言い方ですが、応援してくださる皆さんの人生に寄り添うような、楽曲とともに、いろんな思い出を作っている感じがします。その思い出も人それぞれで、同じ曲でもいろんな思い出がある。
それはファンの皆さんのみならず自分たちもそうですが、EXILEが形を変えながら変化・進化をしていく過程で、いつまで経ってもその楽曲を輝かせる使命が自分にあるということを何となく感じています。そこでグループ活動としてではなく、ソロ活動としてもEXILEの楽曲を改めて歌いつないでいきたいという思いのもとに、この「EXILE RESPECT」シリーズを始めました。
――「輝かせる使命がある」というお言葉がありましたが、ご自身は本シリーズをどのように受け止めていますか?
使命感を感じてやり始めたことでありながら、自分のライフワークというか、趣味にもなっています。もともと、僕はEXILEのファン。セルフカバーさせていただきながら、新たなアレンジで生まれ変わるたびに、楽曲の魅力を改めて感じさせられて、すごく楽しんで取り組んでいます。ファンの皆さんのためと言いながらすごく自分のためにもなっていると思います。
――EXILEの楽曲をソロとしてカバーして感じた新たな魅力や気づきはありますか?
信頼できる方にアレンジを頼んで、アレンジが変わることで「この楽曲がこういう表情を見せるのか」と気づいたり、アレンジが変わることでジャンルまで変わってしまうような魅力があります。はたまた、新しければいいというわけでもなく、いかにオリジナルっぽさを残すかが大切なところだと思います。
――バランスが大切なのですね。
セルフカバーする上ですごくバランスを見ながらやらないといけないというのは、ある意味責任感もあります。それを感じつつもファンの皆さんが喜んでくださったとき、それが答えになる。ただセルフカバーするというよりも、僕ならではの色を見せられたらいいなという部分もあります。僕の中では、ライブで皆さんの前で歌うことをイメージしながら楽曲を作っている感じです。
○■EXILE入学の意味があった「道」 ソロでリリースを決めた思いとは?
――11月22日にシリーズ最新作として「道」をリリースされます。今回「道」を選んだ理由とは?
このシリーズは自分の趣味にもなっている感覚で、ただただ自分が好きな楽曲を順番にセルフカバーしています。「道」は、出会いと別れ、シーズンで言えば春。
入学や卒業などターニングポイントの時期にリリースした楽曲で、その時期を歌った楽曲でもあります。でもスタートを切ること、何かのゴールがあること、出会いと別れは、春に限らず、1年中いろんな時期にやってくる。子育てが一段落するという卒業もある。そう考えると、時期をこだわらずにリリースするのもいいのではないかなと思いました。
――なるほど。
今回、久しぶりにEXILEとしてドームツアーを回り、その中でも「道」を歌ってきました。そして今回は(黒木)啓司くんも卒業ということで、「道」をドームで歌いながらすごく……そのときどきで同じ楽曲なのに持つ意味合いや意図、メッセージ性が変わってくる。自分の中でも、歌いながら思い浮かべる景色や人などが変わることで、意味合いが変わる。
この楽曲に感動してくださっている方もたくさん見受けられて、ファンの皆さんの心により浸透しやすい今こそリリースすべきタイミングなのかなと考え、リリースすることになりました。
――「道」がリリースされたのは、EXILEに加入して半年経たない頃。ご自身にとってはどんな楽曲でしょうか。
初めてツアーを回って、ファイナルで感極まって歌えなくなりました。右も左もわからないまま、初めてEXILEとしてツアーが始まり、そしてなんとか駆け抜けられたことで、ようやくEXILEの苗字を頂けたような気がしました。当時、EXILEに加入できたとはいえ、ファンの皆さんの温かさに救われていただけで、本当に認めてもらえたのかどうか、手応えは全く感じていませんでした。でもツアーを終えてようやく、少しだけ認めていただけた気がした瞬間でもありました。もしかしたら、僕にとってあの頃の「道」は“入学”の意味を持っていたかもしれません。
――今は、ご自身にとって「道」はどんな意味合いがありますか?
“入学”と、きたから“卒業”か、というとそうでもないんですけど(笑)、学期の移り変わりみたいな……、啓司くんが僕らのグループから羽ばたき、LDHとしては後輩グループも増えました。本当に出会いと別れを繰り返している最中で、コロナ禍があったり、将来振り返ってみると、ある意味忘れられない年になったのかなという気はしています。今は、皆さんにお届けするというよりも、「道」を通じて皆さんと一緒にこのターニングポイントとなるこの時期を一緒に過ごせたらという思いで歌っています。
――今回リリースされる「道」のポイントも教えてください。
今回の「道」は、オリジナル音源とは一つ違うところがあって、それはATSUSHIさんも気づいてくださって。「RESPECT」シリーズなので、ATSUSHIさんのアレンジをフルなぞりするなど工夫して、ファンの皆さんの期待にすべて応えようという「道」になっているところがポイントかと思います。
●ソロ活動は“修業”「EXILEとして胸を張って立てるように」
――ソロデビューしてから9年過ぎました。ソロの活動はご自身にとってどのようなものになっていますか?
ソロ活動は、 EXILEとして胸を張ってそこに立てるように、修業のような気分。
EXILEでできないようなアプローチをしています。自分なりの色を探すつもりで始めましたが、無理に“EXILEのTAKAHIRO”の色を紡ぎ出すという重荷は最近は感じていなくて、自由にやっていきたいと思っています。過去を振り返ってみると、そのときどきでやるべきことが多すぎて、長時間集中してソロ活動に専念したことがあまりなかった。これからはもう少し時間を使って、ソロ活動もできるかぎりやっていきたいなと。ようやくではありますが、TAKAHIROのソロを見たいと思ってくださる皆さんに少しずつ恩返しをしていけるのかなという気がしています。ただ一方で、紛れもなく今の自分があるのはEXILEのおかげ。EXILEの楽曲を、EXILEのボーカリストとして、EXILEというグループでもソロでも輝かせ続ける。歌い続ける覚悟も必要だと思います。
――“修業”や“自分の色”というワードも出ましたが、ソロ活動で成長を実感したことは?
どうなんでしょうね。今のところ僕の色、というと……MC(笑)。こんなにMCが長いアーティストはLDHの中でもいないと思います(笑)。前回のファンクラブイベントでも、長くても2時間半で終わりたいと思っていましたが、結局3時間半近くになりました。僕もそこまで長くするつもりはなかったんですけど……気をつけていきたいです(笑)
――ソロ活動で思い描く今後のイメージは?
ミュージシャンの皆さんと「音楽」を届けることとで勝負したいという思いで臨んできました。そういう意味で、演出に頼らない。ファンの皆さんとの心の通じ方は、僕ならではになってきている気はします。これからも、LDHではあまり見なかった形にはなっていくのかなと思っています。
――MCの話が挙がりましたが、EXILEの活動にもプラスになっていると感じていることは?
急に下ネタを言ったところで驚かれなくなりました(笑)。ドームツアーでそんなに下ネタを言うアーティストはあまりいないと思います。僕だけは言えるのかなと。ファンの方々も「言わないのか?」と僕の発言に期待している気がします(笑)
――10月末で黒木さんが引退されました。
彼はひとつの区切り、けじめ、覚悟のもとにこういう道を選びましたが、コロナ禍しかり、何が起きてもおかしくない世の中になっています。どのような状況になっても、仲間は仲間であり、友達は引き続き友達。いまだに連絡はちょこちょこ取り合っていますし、まだ実感が湧いていないですね。リハーサル室にいきなりいてもびっくりしない(笑)。もう少ししたら実感するのかなと思います。
■EXILE TAKAHIRO
EXILEのボーカル。EXILEは21周年を迎え、2022年2月からEXILEとして13年ぶりとなるアリーナツアー「EXILE LIVE TOUR 2021 “RED PHOENIX”」、同年7月からドームツアー「EXILE LIVE TOUR 2022 “POWER OF WISH”」を開催。同年12月には、ドーム公演「EXILE LIVE TOUR 2022 “POWER OF WISH”~Christmas Special~」を開催予定。グループとしての活動以外に、ソロとしてファンクラブツアー「TAKAHIRO 道の駅』で47都道府県を回り、EXILEの楽曲を新たなアレンジでセルフカバーしていく「EXILE RESPECT」シリーズをリリースしており、最新シングル「道」が配信中。また、2014年に個展「始 -絵具バカ日誌-」を開くほど書道と絵画にも秀逸。JR九州在来線車両をTAKAHIROがデザインする「Choo Choo 西九州 TRAIN」プロジェクトにて、TAKAHIROデザインの電車が2022年10月より運行開始するなど、多彩な活動を行っている。