井上雄彦、ギネス級の巨大和紙にガウディを描く!-「特別展 ガウディ×井上雄彦」の展示内容を初公開 (1) 井上雄彦が約40作品を描きおろし!ガウディ関連資料は約100件展示
「特別展 ガウディ×井上雄彦 ─シンクロする創造の源泉─」は、2013~2014年にかけて日本とスペインで開催される「日本スペイン交流400周年」文化事業の特別企画として実施される。これまで、展覧会の開催発表やタイトルの決定など、ごく一部の情報は公開されてきたが、今回はじめて展示構成や作品点数といった具体的な内容が発表された。
同展では、ガウディの建築家としての業績のみならず、人間・ガウディの生きざまにも迫るべく、少年期から始まるガウディの成長を追う1章「トネット少年、バルセロナのガウディへ」(トネットはガウディ幼少期の愛称)、建築家としてのガウディの活躍を紹介する2章「建築家ガウディ、誕生」、そして名声を得たのち、代表作で現在も建築が続けられているサグラダ・ファミリアに身をささげるようになった晩年に迫る3章「ガウディの魂 - サグラダ・ファミリア」といった全3章で構成されている。
また、スペインのガウディ専門機関が所属する直筆スケッチや建築模型、家具といった貴重な資料100件が展示される。そして、井上氏は、ガウディにまつわる作品を約40点発表予定で、そのすべてを描き下ろすということだ。その中には、10.6m×3.3mにもおよぶ巨大な手すき和紙「平成長尺大紙」にガウディを描く大作も含まれる。この和紙は、同社が1989年にギネス登録記録を打ち立てた「IMADATE平成大紙」(7.1m×4.3m)を、25年ぶりに面積で上回る"世界最大の和紙"だという。
●スペイン滞在中の井上雄彦が語った「ガウディと自身の共通点」とは?
そのほか、プロジェクションマッピングを駆使し、井上氏の絵が動き出す演出や、三面スクリーンによる映像シアターといった、映像を駆使した展示演出も行われるとのこと。記者発表会では、同展の日本側の学術監修を行った神奈川大学の鳥居徳敏教授から、ガウディにまつわるエピソードが多数語られた。加えて、建築家で、井上氏の作品を愛好し、直々に展覧会公式ナビゲーターを依頼された光嶋裕介氏が、その経緯や意気込みについて語った。発表会の最後には、4月1日から同展の作品制作のためバルセロナに滞在している井上雄彦氏が、Skypeを通じてコメント。窓からサグラダファミリアが見える絶好のロケーションの部屋に滞在。制作はガウディ建築であるカサ・ミラ内にアトリエを構えて行っているという。好きなガウディ建築を問われると、そのカサ・ミラに加え、未完の傑作と呼ばれるコローニア・グエル教会堂地下聖堂と答えた。
さらに、ガウディと自身との共通点を質問されると、恐縮しながらも「完成を急がないところでしょうか」と冗談めかして発言し、会場の笑いを誘った。
最後に、同展に向けた作品制作への意気込みとして、「お天道さまに身をゆだねて、何かしら良い形のものができたらと思います。楽しみにしていてください」とコメントした。
なお、同展の会期は2014年7月12日~9月7日。会場は東京都・六本木の森アーツセンターギャラリー。同展は東京会場での開催以後、2015年7月まで約1年間、日本全国で巡回展を開催。巡回先は、金沢(金沢21世紀美術館/10月4日~11月5日)、長崎(長崎県美術館/12月20日~2015年3月8日)、神戸(兵庫県立美術館/2015年3月21日~5月24日)、仙台(せんだいメディアテーク/2015年6月3日~7月12日)となっている。