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ジャニーズアイドル・A.B.C-Zはなぜバラエティで道なき道を行くのか? 『ABChanZoo』プロデューサーの熱い思い

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ジャニーズアイドル・A.B.C-Zはなぜバラエティで道なき道を行くのか? 『ABChanZoo』プロデューサーの熱い思い

●近藤真彦、光GENJI、SMAP…ジャニーズの系譜の中にある番組
ジャニーズ事務所所属のアイドル・A.B.C-Zの冠番組が面白いと話題だ。テレビ東京系バラエティ番組『ABChanZoo(えびちゃんズー)』(毎週土曜25:15~)はアイドルが体当たりで様々なことに挑んでいくという、一見正統派な作りに見えながら、挑む内容が「4時間ピンクレディーのUFOを踊り続ける」など、芸人でも挑戦しないだろうことをやり遂げるのだ。

12月3日深夜放送分からは、「『もっと全国の人たちに知ってもらいたい!』A.B.C-Zがイイコトをして「ありがとう」だけで900キロ先のゴールにたどり着けることが出来るのか!?」と題し、4週連続で瀬戸内海の「ありが島」を目指すという企画が始まる。

テレビ東京には「路線バスの旅」「トラック乗り継ぎの旅」など様々な旅企画があるが、「無銭」「乗り物手段なし」で、人から「ありがとう」と言われる度にスタッフから渡される500円で東京から瀬戸内海をめざすという、同局でも屈指の過酷なロケ。このような企画はどうやって生まれてくるのか、同番組の松澤潤プロデューサーに話を伺うと、裏には熱い思いがあった。

○金がないテレビ東京で知恵を絞れ

――松澤さんはこれまでもけっこうジャニーズさんの番組を担当されてきたんですね。

『愛ラブSMAP!』『愛LOVEジュニア』、デビュー前の滝沢秀明さんや嵐の皆さんが出られていた番組もありますし、ここ数年だと『ありえへん∞世界』『男子ごはん』もそうですね。ただ入社当初は、『ギルガメッシュないと』のADをやっていました。


ジャニーズさんとテレビ東京が向き合って次世代のアイドルを育成する番組の系譜がありまして、僕が担当していた番組もそうですし、もっと遡れば近藤真彦さんや光GENJIさんも出演されていた『ヤンヤン歌うスタジオ』などもありました。その延長線上に今、『ABChanZoo』があると捉えています。ジャニー喜多川社長からも、「予算がないテレビ東京だからこそ知恵を絞って、この子達を輝かせてくれ」と言われていますし、まだ他局の番組に出ていない、これからの人たちと向き合う気持ちで番組を作っています。

――『ABChanZoo』は、なかなかすごい企画をされているなということで、ぜひお話を、と思ったのですが、どういった経緯で企画が出てくるんですか?
もちろん会議を行って、放送作家やディレクターがやりたい企画を出すという、とても普通のやり方です(笑)。危険なこと、下品なことなどは却下しますが、「予測不能な企画」「他でやっていない企画」の2点が判断基準になっています。

注目いただいたUFOの企画も、最初にある作家が「4時間何かをやったら面白いんじゃないか」と言い出したら、他の誰かが「ピンクレディーのUFOをやってもらったら?」と続いて形になりました。「そういうのが第一声で出てくるものか?」とは思うんですけど(笑)。「無理じゃないか」という意見もありましたが、「彼らはいつも3時間コンサートをやっているんだから、できるんじゃないの?」という意見が大多数でした。


――十分すごい会議だと思います。

放送してみると、正直賛否分かれる企画もあるのですが、大体そういう感じで決まりますね。ただ2013年の番組開始当初からこうだったわけではなく、2015年の11月からスタッフが替わったのを機に大幅リニューアルしました。

――それは何か、理由があったんですか?

昔はA.B.C-Zが極真空手に挑戦するような"過酷な体験もの"や、サービスエリアを食べ歩く"グルメ情報もの"をやっていたんですよね。でも、それだと彼らの良さが出し切れていなかった。彼らの「どんな状況でも精一杯頑張る」という、バカみたいなポジティブさこそ、TVに向いている、見ている人を元気にすると思っていたんですが、どうしてもその良さを出し切れていませんでした。なんとなく、「誰がやってもいい番組になっているのかな?」と思っていました。

たとえば5人メンバーがいるなかで、3人はグルメのロケ、2人は電車でどこかへ……みたいなこともあって、そのやり方は効率が良いし、早くロケが終われば彼らもきっと他の仕事を入れられる。
でもやっぱり5人で行こう、5人の良いところも悪いところも出る番組にしたいという思いが募りました。5人だと、ふだんの役割分担に近いものが出ると思うんですよね。

●『ゴッドタン』を見ているバラエティ好きな人に見てほしい
○バラエティが好きな人にも見てもらいたい

――一緒に番組をやるにつれ、そういった思いが出てきたのでしょうか。昨年11月からの変更点はどのようなところですか?

一人一人の個性はもちろんですがA.B.C-Zとはどんなグループなのかを追い込んで突き詰めていこうと。それでクイズサバイバルという企画を始めました。クイズに不正解だとメンバーは即帰宅で、彼らにそっくりな代役の人が出てくるという形式で。クイズ番組でゲストがいなかったら、絶対にA.B.C-Zの5人がしゃべらなきゃいけないじゃないですか。そういうところに追い込んで、彼らの素の面白さが出れば、と思ったんです。
普通は"バカだ"と思われたくないから、わからない問題には答えないけど、彼らはとにかく一生懸命答えるんですよね。

――今年の4月からは、枠が深夜に移動となっていますが、何か理由はあるんでしょうか?

2015年11月のリニューアルではまだ日曜の昼に放送していましたが、もっとバラエティを好きな人にも見てもらいたいという思いで、今の深夜枠に移りました。うちの深夜の代表的なバラエティ、『ゴッドタン』の前に持っていきたいという思いがあったんです。

ある意味厳しい目にさらされることでもありますが、ファンだけでなく、バラエティが好きな人に「こっちの番組もおかしいな」と思ってもらえた方が良いのではないか。それには、もっとテレビ東京らしさ、テレビ東京のアイドルバラエティを追求しないと、何年やっていても意味がないんじゃないか、という考えがありました。

――『ゴッドタン』の前に、というのはかなり熱い展開ですよね。

テレビ東京の深夜は、それこそ『ギルガメッシュないと』をやっていた時に、視聴率を10%くらいとっていたんですよ。僕も昔、視聴率が8%を切って怒られた覚えがあります。
テレビ東京の土曜日深夜という歴史の中に今A.B.C-Zもいるので、ファンの方はもちろんですけど、バラエティが好きな視聴者に引っかかるようなところがあればと思って、制作しています。

もちろん、やりたいからと言って枠を移動できるわけではないですし、日曜の昼も良い時間帯だったのですが。金曜や土曜はちょっと違う、夜更かしもできるし週末の高揚感もあると、社内で相談しました。

○テレ東×ジャニーズの「個性を生かす」やり方

――『ABChanZoo』にもそういった、オリジナリティを出したいという気持ちは強いですか?

そうですね、A.B.C-Zには、道なき道を進んで欲しいなと思います。これまであったものや今誰かがやっている事ではなくA.B.C-Zにしか出来ない事をやっていきたい。僕らの番組は、彼らのキャリアの中の、あくまでもひとつでしかありませんが。――たとえば番組の今後の方向性や、ゴールなどはあるのでしょうか?

どうなっていくかは、考えていないですね。視聴率が良かった企画をもっとやろうというのも、あまり考えていないです。
今ほかでやってないことで、彼らの個性が生きるものを、手を替え品を替えやっていきたいなと思っています。その条件を満たしていれば、企画はなんでも良いんじゃないかと。もしゴールがあるとすれば彼らが大ブレイクして、テレ東深夜を卒業していく、という事だと思います。

――最初おっしゃっていたように、"情報もの"で番組を作ることもできると思うんですが、A.B.C-Zを生かすという方向に行くのには、何か理由がありますか?

ガチガチに番組に当てはめて、個性を考えず情報を盛り込んでいけば視聴率は今よりいいかもしれません。彼らのイメージを良くするためだけに番組をやっているわけではないので、企画ありきというのは、他の番組と変わらないです。

でも、せっかく番組に出てるから、良いところも悪いところも含めて彼らの個性が出る番組であってほしい。もしかしたら、ファンの人が求めている見たいものとは違うかもしれないけど、それも彼らの個性ですから。

――それはテレビ東京だからですか? それともアイドルの番組だからですか?

両方ですね。
タレントが伸びていけば番組も伸びていくと思いますし。僕は最初にA.B.C-Zと会ったときに、テレ東的なアイドルだなと思ったんです。下積みも長くて、決してスター街道を歩いてきたわけではない。でも彼らが、ウチらしい何かではまったら、すごいんじゃないか。他のグループの方法論とは違う化け方になる、と信じて、早3年なんですけど(笑)。

記憶に残ること、話題にしていただいて「なんだこれ」と思うことをして、芸人さんとは違うギャップを見せて。見た人によってドキドキしたり、クレイジーに見えたりしたらいいかなと思って、番組をやっています。あんまりツルツルに模範的なものにしていくと、面白さが出ないから、ギリギリのところで(笑)。

――今度放送する「ありが島」を目指す企画も、テレ東さんの他の企画よりもかなり過酷なのかなと思いました。

一般の人に触れ合う企画はなかなかないですし、彼らの良さって人に向き合ったときに出るんじゃないかとも思ったんです。さらに、過酷な中で一生懸命やってどこまでやりきれるか、その2つが出る企画です。今までは割とクローズドな空間で、テレビ東京の社内でやったりもしていましたが、今回はがっつり全国縦断3日間のロケです。

もし結果、たどり着けなかったとしても、そこから彼らが、今まで見せたことのない何かが出てきたらそれでいいかと。火事場の馬鹿ヂカラなタイプだと思うので予測不可能なモノになるんじゃないですか。到着できるかどうかは、重要じゃないかなと思ってます。

番組情報『ABChanZoo』
ジャニーズの体育会系グループA.B.C-Z(エービーシーズィー)がテレ東土曜深夜バラエティ帯に殴り込み! 「視聴者からの挑戦状…ガチンコ対決!」「おバカは誰だ!?クイズサバイバル」「先輩がやっていないジャニーズ初

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