高橋一生、人気俳優がまさかの"残念系男子"と自己分析 -「ブスかバカ」のセリフも心痛まず!?
●噴水への落下シーン「我ながらうまくできました(笑)」
昨年のドラマ『民王』(テレビ朝日)で、クールにツッコミを決める有能な秘書役が当たり、一躍、人気俳優への仲間入りを果たした高橋一生。今年は1月から連続ドラマに出ずっぱりで、さらなる飛躍の年となった。
そんな高橋が、この1年を締めくくる作品として出演するのが、きょう20日(21:00~22:48)に放送されるスペシャルドラマ『わたしに運命の恋なんてありえないって思ってた』(関西テレビ・フジテレビ系)。初めて演じるという"王道のラブストーリー"で、女心が致命的に理解できない残念系男子・黒川壮一郎という役柄に挑むが、意外にも自身と「似てるんじゃないか」と印象を語る。
大人気の俳優が、"残念系男子"にカテゴライズされるという、にわかに信じがたいこの自己分析の背景は何か。本人を直撃した――。
――今回演じられる黒川が、ご自身と似ているとコメントされていましたが、どんなところがそう感じたのですか?
女性に年齢のことをお伺いすることって、失礼に当たることもあると思います。僕、そういうことをあまり気にしなくて、悪気なく「いくつなんですか?」って聞いちゃったりするんです(笑)。
あとになって「そういえば失礼だったな…」と思うことも多々あったりして。黒川は"脳みそ技術屋"の性格だと思って演じたんですが、あることに自分の興味が向いてしまうと、周りのことが見えなくなってしまう部分が、自分と似てるのかなと思いました。
――劇中では、スマホの恋愛ゲームを楽しむ女子を指して「ブスかバカだ」と毒を吐くセリフもありましたが、性格が似てるとおっしゃっても、さすがに心を痛めながら放ったセリフだったのでは?
あのシーンは、自分の会社を守るため、事業を失敗できないことを社員に伝える場面。ハッキリ伝えるために、わりと辛辣(しんらつ)な言葉を使うというのは、わりと僕にもあるので、いじわるで言っているつもりは全くありませんでした。黒川は、分かりやすく伝えるために厳しい言葉を選んでしまうので、そういうところも含めて、往々にして不器用に見えるように演じさせていただいたつもりです。
――このシーンは、黒川と主演の多部未華子さん演じる白野莉子の出会いのシーンでもありますが、撮影に8時間もかかったそうですね。僕は、作品をある程度ガッチリと作り込んでいく中で、予想だにしないことが起きるのを待てる現場というのが、ある種幸せだと思っていて、このシーンの現場は、そういうことを待ってくださったという部分もあったので、8時間たっても、気づいたらそれくらいかかってたなという感じでした。
――高橋さんのイメージとして、コメディ要素のある作品だと、冷静な"ツッコミ"役という印象があったのですが、今作ではある種"ボケ"役ですよね。
僕のイメージがわりとツッコミで定着し始めていたので、それを変えてくださったと思います。でも、プロデューサーや脚本の大島里美さんは「当て書きです」と言ってくださって、不思議な思いもありますが、見る人によって、僕のやらせていただける役の可能性がまだ広いんだなと思うと、それはすごくありがたく感じます。ボケもできるしツッコミもできるというのが、やっぱり役者として理想形ではあると思うので。
――"ボケ"的なシーンの1つに、噴水に落ちてしまう場面もありました。一発OKだったと伺いましたが、見事な落ちっぷりだったと思います(笑)
いろんな動きを想定してやらせていただいて、わりと自分は体をコントロールするのが不得意ではないので、我ながらうまいこと落ちることができました(笑)
――ロケでしたから、水に落ちて寒さも大変だったのではないでしょうか?
その日はすごく暖かかったんですけれど、噴水の場所は思い切り日陰にあって、やっぱり寒かったです(笑)
●女性の鼻が赤くなるのが「なんかセクシー」
――劇中では「王子様系」「オレ様系」「甘えん坊系」といった、さまざまな性格を演じられる場面もありましたが、それぞれ演じ分けてみて、いかがでしたか?
「王子様系」は、とても曖昧な位置づけにいるなと思いましたが、「甘えん坊系」は黒川の性格から距離があるので、わりと振り切れて演じられました。「オレ様系」も振り幅が大きくて分かりやすかったのですが、黒川は元が「オレ様系」に見えがちだったりするので、そこの差異をどこまで付けられるかというのは、ある程度意識しました。
――それぞれのキャラが登場するのはワンシーンではありますが、役づくりなどはされたんですか?
僕は脚本が全てだと思っていて、自分が役を作っているという認識はあまりないんです。その本に対してまっすぐに取り組んでいくということをやっていれば、見てくださっている方たちが、その役に落とし込んでくれると思うんです。
あんまり役者が役を作り込んでしまうと、キャラクターがガチガチになってしまうと思っていて、僕は今「何もしない運動」という期間に入ってるんです。
――「何もしない運動」ですか??
はい。何かをするのに姑息に見えてしまわないように、あえて何もしないという運動を起こしてる最中なんです(笑)。何もしないって言うことはすごく大事なことで、「芝居」という言葉も「ただ芝の上に居る」と捉えていて、今回はいろんなキャラクターを演じさせていただけた中でこの運動が実践できたのは、いい機会だったかなと思います。
――今作はクリスマスの恋愛ドラマということで、胸キュンシーンも随所にありますが、高橋さんがキュンとした女性陣のしぐさなどはありますか?
本番のシーンではなくて、しぐさでもないんですが、撮影の最中に、多部未華子さんや大政絢さんが、寒さで鼻が赤くなるっていうのが、萌えました(笑)。「うわ~、鼻真っ赤じゃん! 何寒そうにしてんの!?」みたいな(笑)。僕はならないんですが、鼻が赤くなるって、なんかセクシーかなと。
――物語では、恋愛指南を受ける黒川ですが、高橋さんが実践できそうな技はありましたか?
ドラマなので誇張している部分はあるんですが、僕がやるとしたら……まず壁ドンは理解できないです。
僕が女性でやられたら「怖い怖い! やめてやめて!」って言っちゃいますから(笑)。でも、心を許している人であれば、頭をなでられるというのは、ちょっとヤバいかもしれないです。もう36歳になると、あまりなでてくれる人もいないんで、グッときちゃうかもしれないです。
――志尊淳さんが先日取材を受けてくれた際、高橋さんとドライブに行ったり、鍋会に誘われたりして「ラブラブなんです」と言っていたのですが、後輩の俳優さんには、皆さんそうやってかわいがっているんですか?
相手の人柄によります。すごく「こうしてあげたい、ああしてあげたい」と思う人もいれば、結構突き放すことが面白かったりする人もいるし(笑)。この歳になると、一緒にお仕事をさせていただく後輩の人が増えてきて、「一生さん、一生さん」って頼られると僕、長男なので、弟にできなかったことをしてあげたくなったりもして。ご飯を作ってあげたりとか。
――撮影中に誕生日を迎えられて、志尊さんからはバナナの抱きまくらをもらったそうですね。
はい、愛用してます。だいたいうちの犬がひっかいてるんで、ある一部分がすでに毛玉化してますけれど(笑)
――いろいろお話を伺わせていただき、ありがとうございました。最後に、ドラマの見どころを伺わせてください。
ストレートなことって、突き抜けると遠回りをしてない分、メッセージ性としては伝わりやすいと思うんです。今回僕は、結構恥ずかしいしぐさやセリフがあるんですが、その恥ずかしいことをあえてストレートにやることによる"直進性"というのは、お芝居の基本だと思っていて、それによって見てくださっている方に届くものだと信じているんです。
これって、実生活でも大切なときがあって、例えば「君が好きだ」って告白することもそうかなと。周囲からいろいろ言われる世の中かと思いますが、それこそ恋愛ゲームのように「こうしなきゃダメ」みたいなルートを辿るだけなのは悲しいことだと思うので、このドラマを見て、自分は自分でいいじゃんと肯定することの大切さが伝わって、その先にキュンキュンして楽しんでいただけたらと思います。
●高橋一生(たかはし・いっせい)1980年12月9日生まれ、東京都出身。
最近の主な出演作にドラマ『民王』(テレビ朝日)、『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ)、『僕のヤバイ妻』(関西テレビ)、『グ・ラ・メ!~総理の料理番』(テレビ朝日)、『プリンセスメゾン』(BSプレミアム)、映画『シン・ゴジラ』など。2017年は、NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』、TBS『カルテット』、映画『3月のライオン』などが控える。
衣装:ニット(comm. arch. / Joe Mc)、パンツ(Vincent et Mireille / ST&DARD MADE.)、シューズ(42ND ROYAL HIGHLAND / sierradux+ 代官山)