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『逃げ恥』大ヒットで『半沢直樹』以降の勧善懲悪ブームが終了! - 秋ドラマ21作を総括! ベスト作品&俳優は?

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『逃げ恥』大ヒットで『半沢直樹』以降の勧善懲悪ブームが終了! - 秋ドラマ21作を総括! ベスト作品&俳優は?

●ドラマ界、次のトレンドは?
この2カ月間くらい、どこへ行っても「秋のドラマは面白いね」と声をかけられた。いかにもドラマが好きそうな30~40代の女性だけでなく、10代や60代の男性からも言われるくらいだから、本当に多くの人々が見ていたのだろう。

夏ドラマは、「全話2ケタ視聴率の作品が0本」という壊滅的な状況だったが、秋ドラマは『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系、以下『ドクターX』に略)が平均20%超え、『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系、以下『逃げ恥』に略)の最終回が20.8%を記録。

さらに、『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』(日本テレビ系、以下『校閲ガール』に略)、『砂の塔~知りすぎた隣人』(TBS系、以下『砂の塔』に略)、『IQ246~華麗なる事件簿~』(TBS系、以下『IQ246』に略)も平均視聴率が2ケタを超えたほか、内容の評判も上々。テレビウォッチャーの満足度やクチコミサイトなどの評価も軒並み高かった。

ここでは、「『逃げ恥』ブームに見る次のトレンド」「"連ドラらしさ"への回帰」「脚本家の新世代が台頭」という3つのポイントから検証し、21作を振り返っていく。今回も「視聴率や俳優の人気は無視」のドラマ解説者・木村隆志がガチ解説する。

■ポイント1:『逃げ恥』ブームに見る次のトレンド

『逃げ恥』ブームの理由は多くのコラムで書かれてきたので、ここでは今後のドラマ界に向けた影響について考えていきたい。


『逃げ恥』の結末は、みくり(新垣結衣)と平匡(星野源)だけでなく、アラフィフ独身の百合ちゃん(石田ゆり子)、シングルマザーのやっさん(真野恵里菜)、マイノリティの沼田(古田新太)ら、ほとんどのキャラクターが笑顔を見せて終わった。

『逃げ恥』は、よく「悪者がいないドラマ」と言われていたが、とりたてて善人もいない。善悪ではなく、一人一人の生き方を尊重・応援するような世界観を作り、結果的に主題歌『恋』の歌詞にある「夫婦を超えていけ」を表現していた。今回の大ヒットは、『半沢直樹』(TBS系)以降続いていた勧善懲悪ブームが終わり、次のステージに入ったことを示唆しているのかもしれない。

また、恋愛ドラマであるにも関わらず、さまざまな年代・性別・立場のキャラクターを並べて、あらゆる人々が入りやすい状態を作ったのは特筆すべきところ。加えて、情報番組とのコラボ、タイアップCM、恋ダンス、クックパッド連動などの仕掛けは、プロデューサーによる見事な"全方位プロジェクト"だった。あらゆるところから「お客さんを呼んで来よう」という妥協なきスタンスは、今後のドラマ界に影響を及ぼすだろう。

もう1点ふれておきたいのは、"婚前同居""契約結婚"というコンセプト。
どちらもドラマでも何度か描かれてきたもので目新しさはなく、極めてシンプルな部類に入る。より多くの人々を感動させるためには、「貴族の末裔」「旧約聖書『カインとアベル』」「タワーカースト」などの奇抜なコンセプトは必要ない、ということが明らかになった。

■ポイント2:"連ドラ"らしさへの回帰

『逃げ恥』は、「ハイテンポ」「小ネタ詰め込み」一辺倒になりがちなドラマ界の流れを止めてくれた。両家顔合わせ、ハグ、新婚旅行、キスなどの小さな出来事が一話ずつ進むスローな展開こそ、連ドラ本来の楽しさ。目先の視聴率を獲るためにテンポを速め、次々に大きな事件を起こすことに熱心だった制作サイドには、目から鱗だったのではないか。

また、『砂の塔』が見せた「長編ミステリー&サスペンスの復活」も大きな意味がある。21世紀に入ってから長編ミステリー&サスペンスは低視聴率を理由に減る一方。「一話完結でスカッと解決」の作品ばかりになって久しいが、終盤右肩下がりの『IQ246』と、右肩上がりの『砂の塔』の差が、「もっと長編を見たい」という視聴者の声なのかもしれない。


また、『カインとアベル』(フジテレビ系)、『逃げ恥』、『ドクターX』、『コピーフェイス~消された私~』(NHK)など、クリスマスウィークまでしっかり放送した作品が多かったのも久々。「幸せな気分で年越しできる」という秋ドラマに望まれる心地よい余韻を与えてくれた。

■ポイント3:脚本家の新世代が台頭

ドラマ業界では、「連ドラの脚本家は平均年齢55歳くらい」と言われるほど高齢化している。ベテランの頑張りはうれしい反面、取って代わる存在がいないのは大きな問題。しかし、制作サイドは、「若手を育てたいが、ベテランに書いてもらったほうが時間内で安定した作品を供給できる」というジレンマを抱えていたが、秋ドラマで光が見えはじめた。

今秋は『逃げ恥』の野木亜紀子、『砂の塔』の池田奈津子、『IQ246』の泉澤陽子など2010年以降に連ドラデビューした女性脚本家たちがベテランに負けぬ仕事を披露し、芸人のバカリズムも、連ドラ2作目にして初の長編にトライ。『黒い十人の女』は本人いわく「長いコント」とのことだが、"芸人ならではの脚本"という可能性にあふれていた。今後もコントのプロたちによる"芸人脚本家"が増えるかもしれない。

2017年は新旧脚本家のよい競争が見られるのではないか。秋ドラマはそんな来年への期待感を持たせてくれた。

全作の全話を見た結果、秋ドラマの最優秀作品に挙げたいのは、やはり『逃げ恥』。脚本・演出・俳優・仕掛けなど非の打ちどころがない仕上がりで、何かを言うとしたら難癖でしかない。

『黒い十人の女』も負けない仕上がり。深夜放送ではもったいないほどバカリズムの脚本は質が高く、それに応えるべく女優たちが生き生きとした演技を見せた。

男優では、連ドラ史上まれにみるバカとアクションを53歳にしてやり切った『THE LAST COP/ラストコップ』(日本テレビ系、以下『ラストコップ』)の唐沢寿明と、徹底した映像美の中で異質な佇まいを見せた『スニッファー 嗅覚捜査官』(NHK、以下『スニッファー』)の阿部寛。女優では、ヒロインとして出色の華を見せた『逃げ恥』の新垣結衣と、破天荒なキャラ設定を自分のものにした『校閲ガール』の石原さとみを挙げたい。


また、『逃げ恥』の星野源と石田ゆり子、『校閲ガール』の江口のりこと和田正人、『砂の塔』の松嶋菜々子、『黒い十人の女』の成海璃子と水野美紀ら助演俳優も大活躍。ダブル主演、トリプル主演に近いポジションで作品のレベルを引き上げていた。

【最優秀作品】『逃げ恥』次点-『黒い十人の女』『校閲ガール』
【最優秀脚本】『逃げ恥』次点-『黒い十人の女』
【最優秀演出】『逃げ恥』次点-『校閲ガール』『ラストコップ』
【最優秀主演男優】唐沢寿明(『ラストコップ』)次点-阿部寛(『スニッファー』)
【最優秀主演女優】新垣結衣(『逃げ恥』)次点-石原さとみ(『校閲ガール』)
【最優秀助演男優】星野源(『逃げ恥』)次点-和田正人(『校閲ガール』)
【最優秀助演女優】松嶋菜々子(砂の塔)次点-成海璃子(『黒い十人の女』)
【優秀若手俳優】佐野勇斗(『砂の塔』)久保田紗友(『運命に、似た恋』)

●21作をガチ採点! 『逃げ恥』は?
21作のひと言コメントと採点(3点満点)

○『カインとアベル』月曜21時~フジテレビ系

出演者:山田涼介、桐谷健太、倉科カナほか
寸評:今年は恋愛路線を貫いてきた月9が最後に選んだのはビジネス。「一人の女性をめぐる兄弟の物語」ではないことに肩透かしで、シリアスな作風にしてはディテールがアバウトで、リアリティに欠けた。演技に取り組む山田の真摯な姿勢は感じられただけに、主演より一段ずつ階段を上らせたい。
採点:【脚本☆演出☆☆キャスト☆視聴率☆総合☆】

○『メディカルチーム レディ・ダ・ヴィンチの診断』火曜21時~フジテレビ系

出演者:吉田羊、相武紗季、伊藤蘭ほか
寸評:医療ドラマの可能性を開拓すべく、「原因不明の難病」「手術をしない医師」というテーマを選択。エンタメ要素で『ドクターX』に勝てないのは織り込み済みだろうが、一話完結にこだわったためシリアスさもあと一歩。最大の誤算は『逃げ恥』大ヒットで、火曜21時への枠移動が裏目に出たこと。

採点:【脚本☆☆演出☆☆キャスト☆☆視聴率☆総合☆☆】

○『逃げるは恥だが役に立つ』火曜22時~TBS系

出演者:新垣結衣、星野源、石田ゆり子ほか
寸評:キャスティング、脚本・演出に加え、恋ダンスや番組コラボなどあらゆる面で「見てもらう工夫を凝らす」姿勢に敬服。老若男女の視聴者を集め、作品のパワーと波及効果を生み出していた。ラブコメ本来のスローな展開を視聴者に浸透させたという意味で、ドラマ界に与える影響は大きい。
採点:【脚本☆☆☆演出☆☆☆キャスト☆☆☆視聴率☆☆☆総合☆☆☆】

○『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』水曜21時~日本テレビ系

出演者:石原さとみ、菅田将暉、岸谷五朗ほか
寸評:"お仕事ドラマ"としては雑な印象もあるが、ヒロインとファッションを楽しむための仕掛けがぎっしり。斬新な演出でプロモーションビデオのような軽さを生み出していた。1人1人の助演も効いていたが、ヒロインが苦悩するシーンをもう少し掘り下げたほうが、感動を得られたのでは。
採点:【脚本☆☆演出☆☆☆キャスト☆☆☆視聴率☆☆総合☆☆☆】

○『コック警部の晩餐会』水曜0時10分~TBS系

出演者:柄本佑、小島瑠璃子、えなりかずきほか
寸評:「1話30分のライトな刑事コメディ」というコンセプトに柄本がフィットせず、持ち味が出ていたとは言えなかった。そのためか、女優デビューの小島、笑いのメインに据えられたえなりも窮屈そうな印象に。
深夜らしいB級感がほしい内容だが、マジメに作られていたのはスタッフの人柄か。
採点:【脚本☆☆演出☆キャスト☆視聴率☆総合☆】

○『ドクターX~外科医・大門未知子~』木曜21時~テレビ朝日系

出演者:米倉涼子、岸部一徳、西田敏行ほか
寸評:予想通りの横綱相撲。泉ピン子の投入以外は何も変わらず、PPAPなどの時事ネタを織り込みながら、これまで通りの内容で押し切った。「大門の手術が成功するのが分かっているため、周囲の敵が小物に見える」きらいはあるが、平均視聴率20%を獲れる唯一のシリーズだけに変える必要はない。
採点:【脚本☆☆演出☆☆キャスト☆☆☆視聴率☆☆☆総合☆☆】

○『Chef~三ツ星の給食~』木曜22時~フジテレビ系

出演者:天海祐希、小泉孝太郎、遠藤憲一ほか
寸評:オーナーの食中毒偽装やテレビ取材などプロットに無理があり、序盤で視聴者の心をつかめず……。中盤から天海の魅力が発揮されはじめたが、給食問題に切り込まず、子どもたちとのエピソードもほとんどなかったのが残念。"三ツ星シェフ=天海"というカリスマ性に頼りすぎた感がある。
採点:【脚本☆演出☆☆キャスト☆☆視聴率☆総合☆】

○『黒い十人の女』木曜23時59分~日本テレビ系

出演者:船越英一郎、成海璃子、水野美紀ほか
寸評:10人の女性を書き分けるバカリズムの脚本が冴え渡った。ケンカがエスカレートして徐々に濃度の高いものをぶっかけ合うなど、コント師としての顔もしっかり。「みなさん大好物の不倫」というセリフ通り、ダメな人間を悪気なく笑い飛ばそうとしていた。今年の深夜ドラマナンバーワン。
採点:【脚本☆☆☆演出☆☆☆キャスト☆☆☆視聴率☆☆総合☆☆☆】

○『石川五右衛門』金曜20時~ テレビ東京系

出演者:市川海老蔵、國村隼、比嘉愛未ほか
寸評:佇まいからセリフ回しまで、市川海老蔵そのもの。"海老蔵歌舞伎"の世界観をドラマに直輸入したような時代劇に驚いた人は多かったのではないか。「茶々が授かった子の父は五右衛門で、五右衛門の父も秀吉だった」という筋書きは面白いが、この枠にしては登場人物が多く盛り込みすぎの感も。
採点:【脚本☆演出☆☆キャスト☆☆視聴率☆総合☆☆】

○『砂の塔~知りすぎた隣人』金曜22時~TBS系

出演者:菅野美穂、岩田剛典、松嶋菜々子ほか
寸評:「ママ友いじめ」をエスカレートさせた序盤こそモタついたが、松嶋の怖さが発揮されてから一気に加速。壮絶な過去とハーメルン事件の両輪で、本格ミステリー&サスペンスの様相に。ただ、「犯人が最終回で初登場」という禁じ手を使ったのは疑問で、タワーマンションが舞台の理由も薄い。
採点:【脚本☆☆演出☆☆キャスト☆☆視聴率☆☆総合☆☆】

○『運命に、似た恋』金曜22時~ NHK系

出演者:原田知世、斎藤工、奥田瑛二ほか
寸評:脚本に北川悦吏子を据えただけあり、予想通りの大人向けファンタジーに。幼少時代のエピソード、難病、恋を邪魔する悪女などは既視感こそ強いが、徐々に女の顔になっていくヒロインに自分を重ねた女性は多かっただろう。ただ、それは裏を返せば「古い」と感じる人が多いということでもある。
採点:【脚本☆☆演出☆☆キャスト☆☆視聴率☆総合☆☆】

○『コピーフェイス~消された私~』金曜22時~ NHK系

出演者:栗山千明、佐藤隆太、玉置玲央ほか
寸評:「飛行機事故で間違えられて別人の顔に整形手術される」という外国ドラマのような設定に口をはさむのは野暮というもの。荒唐無稽な話をシリアス一辺倒でやり切るのがNHKの強みであり、それが2役を演じた栗山の技量を引き出していた。全6話でまとめて間延びしなかったのも好印象。
採点:【脚本☆演出☆☆キャスト☆☆視聴率☆総合☆☆】

○『家政婦のミタゾノ』金曜23時15分~テレビ朝日系

出演者:松岡昌宏、清水富美加、余貴美子ほか
寸評:松岡の女装は仕掛けの1つに過ぎず、毎話予想を裏切る筋書きと、家事テクニックなどの遊び心が好評だった。最終回のオチは視聴者にとって予想の範ちゅうであり、大どんでん返しとはいかず。『半沢直樹』『下町ロケット』などを手がけた脚本家・八津弘幸には次作もオリジナルを期待したい。
採点:【脚本☆☆演出☆☆キャスト☆☆視聴率☆☆総合☆☆】

○『勇者ヨシヒコと導かれし七人』金曜24時12分~テレビ東京系

出演者:山田孝之、木南晴夏、宅麻伸ほか
寸評:福田雄一ワールドは健在であり、シュールかつムチャなネタの連発で安定した笑いを提供。ただ、起用される俳優に偏りがあるため、「そろそろ見慣れてしまった」という声も多い。パロディの思い切りこそあるが、このスタッフとキャストなら、「もっとできるかも」と思ってしまうのは酷か。採点:【脚本☆☆演出☆☆キャスト☆☆視聴率☆総合☆☆】

○『THE LAST COP/ラストコップ』土曜21時~日本テレビ系

出演者:唐沢寿明、窪田正孝、和久井映見ほか
寸評:「刑事かバカか」のコピーを裏切る「バカ一択」を徹底。ここまで賛否両論が分かれる作品も珍しいが、それは「1コンセプトでやり切っている」から。ムチャ振りの連続をハイテンションでこなした唐沢と窪田と、最終回の生放送で最大級のグダグダ感を演出したスタッフに敬意を表したい。
採点:【脚本☆☆演出☆☆☆キャスト☆☆☆視聴率☆総合☆☆】

○『スニッファー 嗅覚捜査官』土曜22時~NHK

出演者:阿部寛、香川照之、井川遥ほか
寸評:阿部と香川のコンビと、映像の美しさは完璧。物語もよくまとまっている。それでも額面通りの評価を受けられないのは、必要以上な敷居の高さではないか。カッコよく作り込みすぎた映像が人間くささを奪い、「気取っている」という印象に。エピソードはあるだけに、続編を作るかはNHK次第。
採点:【脚本☆☆演出☆☆キャスト☆☆☆視聴率☆総合☆☆】

○『とげ 小市民 倉永晴之の逆襲』土曜23時40分~フジテレビ系

出演者:田辺誠一、西田尚美、鹿賀丈史ほか
寸評:タイトルに反して逆襲はほとんど見られず、主人公はひたすら理不尽な仕打ちを受け続けるストレスフルな展開が続いた。テーマが見えにくくい分、爽快感のポイントも見つからず、視聴者が困惑……。東海テレビ制作だけに、昼ドラゆかりの俳優を次々に出演させて楽しませてくれた。
採点:【脚本☆演出☆キャスト☆☆視聴率☆総合☆】

○『潜入捜査アイドル・刑事ダンス』土曜0時20分~テレビ東京系

出演者:中村蒼、大東駿介、野間口徹ほか
寸評:テレビ番組や芸能界のあるあるを詰め込んで小バカにするスタンスはテレ東らしいが、もはや見慣れた感もある。最終回の「俺たちは自分たちのことは自分たちで決めたい」「(視聴者に)お前らにガタガタ言われる筋合いはねえ」はSMAP、引いては芸能人全体へのエールに見えた。
採点:【脚本☆演出☆☆キャスト☆☆期待度☆☆】

○『IQ246 ~華麗なる事件簿~』日曜21時~TBS系

出演者:織田裕二、ディーン・フジオカ、中谷美紀ほか
寸評:意欲作だが「貴族の末裔」「IQ246」という設定と事件がリンクせず、通常の推理ドラマという枠に収まった。織田の役作りと、木村監督らしい小ネタやドタバタに否定的な声が多かったのは気の毒というほかない。犯人が最初からわかっている倒叙型だけに、大物ゲストが必要だった。
採点:【脚本☆☆演出☆☆キャスト☆☆視聴率☆☆総合☆☆】

○『キャリア ~掟破りの警察署長~』日曜21時~フジテレビ系

出演者:玉木宏、高嶋政宏、瀧本美織ほか
寸評:「平成版、遠山の金さん」という設定に徹した刑事ドラマは、テレビ東京の20時台を思わせるシンプルさ。ただ、日曜21時という時間帯を考えると、中高年向けのコンセプトなのはもったいない。「警察手帳を見せ、相手が腰を抜かす」シーンにカタルシスを感じる層はごく一部。
採点:【脚本☆演出☆キャスト☆☆視聴率☆総合☆】

○『レンタル救世主』日曜22時30分~日本テレビ系

出演者:沢村一樹、藤井流星、志田未来ほか
寸評:器用な俳優を集めて、ルチャ・アクション、つぶやきラップ、泣き顔ブス、イケメンの女装など、てんこ盛りの演出で勝負。すべてが足し算にならなかったのは、軸となる主人公の魅力を描けなかったからか。沢村が周囲の変わり者に振り回される、ただのお人好しだったのは残念。
採点:【脚本☆演出☆キャスト☆☆視聴率☆総合☆】

■木村隆志
コラムニスト、テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月間20本超のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などに出演。取材歴2000人を超えるタレント専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。

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