福士蒼汰、役者人生で「今が一番楽しい」 鍛え上げた肉体&英語を活かして夢も叶える
●肉体美が引き寄せたトレーナー役「役が役者に近づいてくることも」
NHKドラマ10『大奥』での好演が記憶に新しい俳優の福士蒼汰。4月28日より主演ドラマ『弁護士ソドム』(テレビ東京 毎週金曜20:00~)が始まったが、5月6日からは動画配信サービス・U-NEXTでも主演ドラマ『NoMAD Workout -FUKUトレin NY-』が配信スタートとなる。米ニューヨークを舞台にした『Fukuトレ』は、鍛え上げた肉体と得意の英語を活かした作品に。今年は初の海外作品も控えている。5月30日に30歳を迎える福士。2011年に俳優デビューしてから12年経った今、「役者人生の中で一番楽しい」と充実の日々を過ごしている。
『Fukuトレ』は、福士蒼汰演じるトレーナー・FUKUのニューヨークライフを描くモキュメンタリーと、本格的なオンライン筋トレが融合した新感覚のトレーニング・ドラマ。撮影はニューヨークで行われた。
ドラマは、トレーニング動画配信者として生きていく決意をした29歳のFUKUが、「どうせなら、好きな場所で暮らして働こう!」と日本を飛び出し、ニューヨークへ向かうところから始まる。劇中で展開されるトレーニング、通称「FUKUトレ」は、運動は苦手な人でも始められるプログラムで、FUKUの優しさあふれる褒め上手な声かけもポイントとなっている。
トレーニング・ドラマという今までにない作品に、福士はオファーを受けたとき「まったく想像がつかなかった」と思ったものの、すぐに挑戦したいと思ったという。
「U-NEXTさん初のオリジナル企画作品だと聞いて、それもありがたいなと思いましたし、ニューヨークでドラマを撮るというところにもワクワクしました。モキュメンタリーとはどういう感じなんだろうと思いながら、トレーニングも好きだし、英語も好きだし、ぜひやりたいなと。自分が好きな内容だったのでとてもやりがいを感じました」
普段からトレーニングに励み、その肉体美にも注目が集まっている福士。筋トレを始めたきっかけは、米ロサンゼルスでのトレーナーとの出会いだった。
「3年ぐらい前にLAに行ったときに、ジムのトレーナーさんと出会って。
その方が東京でトレーナーをやっていると言っていたので、せっかくのご縁なので行くようになりました」
武術や格闘技はそれ以前から続けており、最初はジークンドーから始めたという。
「『仮面ライダーフォーゼ』のときに吉沢亮くん演じる2号ライダーがジークンドー使いで、こんな面白い武術があるのだと知りました。その後、『図書館戦争』で岡田准一さんと共演したときに岡田さんが偶然にもジークンドーをやられていると聞き、さらに興味を持って。どこでやっているのかなど教えていただいて僕も始めました」
ジークンドーを4年くらい続けた後は、また違った武術や格闘技をやっているそうで、「興味が湧いたものをいろいろやっています。そのほうが楽しいので」と話した。
○■目指している体は「脳でイメージしたまま動ける体」
そして、「普通のウエイトを使った筋トレと、コンディショニングと、格闘技などをやって、実際に動けるための筋肉と見た目をきれいにするための筋肉の両方をつけています」と日々のトレーニングについて説明。目指している体は「脳でイメージしたまま動ける体」で、理想の体を100%とすると今は「まだ2%ぐらい」だという。
「イメージ通りに動けるなんて究極。
そこまではまだまだなれないという意味で2%です。それでも理想の体に近づけるように、脳のイメージと体をつなげていくために神経を促したり、筋力をつけたり、体をほぐしたりしています」
理想の体を目指しているのは俳優業のためというのが大きく、「役者として自然に表現するためには、自分の体をコントロールできないといけない」とその必要性を感じている。
まだ完成度は2%とのことだが、肉体改造が「役に生きていると感じています」と手応え。「アクションや殺陣などで、体のコントロールが脳みそと連動というところはできてきているなと。徐々にですが理想に近づけているなとは思います」と語る。
また、肉体改造のおかげで作品や役と巡り合えているという実感も。
「役者が求められる役に近づけることもありますが、役が役者に近づいてくることもあるなと。今回の『FUKUトレ』も、僕が体を鍛えているのを監督が知ってくださっていて。
そういう意味では役も広がっていると思います」
●「いまだかつてないくらいテンション高く」トレーナー役を熱演
ドラマパートとトレーニングパートそれぞれに魅力がある『FUKUトレ』。ドラマパートではニューヨークの街並みも楽しめる。「五番街やタイムズスクエアなどみんなが行く観光名所だけでなく、ローカルなカフェや洋服屋さんなどにも行っています。そしてモキュメンタリーなので、台本がありながらドキュメンタリーライクに進んでいきます。FUKUなのか僕自身なのか、その狭間を楽しんでいただけるとうれしいです」
トレーニングパートでは、明るく元気なFUKUが視聴者に寄り添いながらトレーニングを進めていく。
「女性をターゲットにしているトレーニングで、呼吸など簡単なところから始まって、徐々に有酸素運動も入ってきます。僕がいまだかつてないくらいテンション高く、明るく元気なFUKUを演じているところもポイントです。皆さん見て驚くんじゃないかなと(笑)」
絶対見てほしいシーンは? との問いには「いっぱいあります(笑)」と少し迷いつつ、ニューヨークでリアルにトレーナーをしている人にパーソナルトレーニングを受けるシーンを挙げた。
「『ドラマとして撮影もするけど、本気でトレーニングしてほしい』と伝えたら、本当に全力でサーキット系のトレーニングを教えてくださりました。すごく楽しかったですし、ドラマの転換期になるシーンでもあるので注目してほしいです」
本作でのトレーニングは、パーソナルトレーナー界のレジェンド・横手貞一朗氏が監修。福士自身も撮影前に横手氏のメソッドを習い、新たな学びもあったという。
「女性向けというのもあって、呼吸やストレッチ要素が大きいです。新しいこともありながら、コンディショニングで習ったことと似ているところもありました。横手さんからは主に腹膜についても勉強させていただき、疲れているときに横手さんに教わったように筋膜ほぐしを実践しています」
○■念願の海外作品出演も叶い「英語を勉強してきてよかった」
英語を使うシーンもあるが、海外作品初出演となるHuluオリジナルドラマ『THE HEAD』Season2(2023年初夏配信)で全編英語のセリフに挑戦し、昨年スペイン・マドリードで行われた取材会で、通訳なしで堂々と英語で受け答えするほど英語スキルの高い福士は、『Fukuトレ』の撮影も難なくこなした。
海外への興味は、小学生のときに地球儀を見て芽生えたのだという。
「地球儀で日本を発見して、その小ささに驚いたんです。
中学生になって学校で英語科目の勉強が始まって、この言語が話せたら世界中の人と話せるのだと思ったんです。そして、高校生のときにこの仕事を始め、英語を使った仕事もしたいとずっと思っていたので、英語の勉強は毎日のようにずっと続けてきました」
英語の勉強は「ほぼ独学」とのことで、ここまで受け答えできるようになったことに「勉強してきてよかったなと思います」としみじみ。
「僕は留学の経験もありませんが、コツコツ勉強してきた成果が出てきたのかなと思っています。僕はいろんな勉強法を試したタイプで、勉強法を勉強するところから始めたくらいです。最初はただかっこよく英語を話したいというのが大きかったので、発音の勉強から入りました。僕の場合は役者なので、文章を作る力よりも、台本のセリフを正しく発音できる力のほうが優先度が高いかなと」
『THE HEAD』で海外作品初出演を果たし、『Fukuトレ』でも英語を活用。「20代までに海外作品に出演するのが夢だったんです。ありがたいことに叶えることができました」と笑顔を見せる。
海外作品に初挑戦し、さらに海外への思いが増したそうで「喜びと同時に大変さも感じましたが、もっともっとやりたいなという気持ちのほうが強いです」と明かす。
●『大奥』好演も話題“役として生きる楽しさ”に目覚めて飛躍
5月30日に30歳を迎える福士。今後の抱負を尋ねると「特別なことは考えていないんです。30代になってもやることは変わらないかなと。その中でまた海外の作品にも出られたらうれしいです」と答えた。
今年は、万里小路有功役を務めたNHKドラマ10『大奥』での好演が大きな注目を集め、主演ドラマに初の海外作品と、充実した年になりそうだ。2011年に俳優デビューしてから12年。「役者人生の中で今が一番楽しい」と語る。
なぜ心から楽しめるようになったのか。それは、役として生きる楽しさを感じられるようになってきたからだという。
「ある監督に出会ったことが大きいです。役者としてその瞬間を生きる楽しさに気づくことができ、そのあとに撮影した『大奥』も演じていて楽しかった。皆さんからの反響も励みとなって、やりがいをすごく感じることができました」
そして、以前は「役者としての正解がわからなかった」と告白。
「20代前半は役者としての知識や経験が不足していて、ずっと手探りでお芝居をしていたような気がします。デビューから10年以上が経って、ようやく自分の中で掴めたものがあると感じています」
20代後半になって演じる楽しさに目覚め、磨きのかかった演技で多くの人の心をつかんでいる福士。鍛え上げた肉体や英語も武器に、ここからさらなる活躍を見せてくれそうだ。
■福士蒼汰
1993年5月30日生まれ、東京都出身。2011年にドラマ『美咲ナンバーワン!!』で俳優デビュー。同年、『仮面ライダーフォーゼ』で主演に抜てきされ、同シリーズの劇場版5作品にも出演する。NHK連続テレビ小説『あまちゃん』(13年)で注目度が急上昇し、映画『好きっていいなよ。』(14年)など3作品での演技が評価され、2015年に第38回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。ラブストーリーやアクション作品など幅広い作品に出演し、4月28日より主演ドラマ『弁護士ソドム』(テレビ東京)がスタート。主演を務めるトレーニング・ドラマ『NoMAD Workout -FUKUトレin NY-』が5月6日よりU-NEXTで独占配信。自身初の海外作品であるHuluオリジナルドラマ『THE HEAD』Season2が6月17日より配信。