2017年4月22日 11:00
映画『3月のライオン』は原作をどう立体化したのか? それぞれの視点 (6) 「前編」派? 「後編」派? それぞれ独立した作品に - 大友啓史監督
漫画家・羽海野チカによる大ヒット漫画『3月のライオン』。将棋界を舞台に、プロ棋士である1人の高校生・桐山零が、壮絶な過去を持ちながらも周囲の人間との関係を深め、成長していく。個性豊かなプロ棋士達、零と交流を深める下町の川本家の姉妹たち、零の育ての親である棋士・幸田家の家族など、それぞれのキャラクターの背景や思惑がより合わさった人間ドラマが2部作として映画化され、すでに前編が3月より上映中、後編も4月22日より公開となる。
前・後編2部作となったが、それぞれは独立した作品として成立している。主演・神木隆之介は、「前編は熱い、後編は暖かい」と表現した。それぞれの描き方について、監督はどのように捉えていたのだろうか。
○強くなるためには、それだけやっていてもダメ
――前編、後編に分かれていますが、監督はどのようにとらえて撮られていましたか?
前編は、どうしたって零という主役をしっかり理解していただかなければいけなくて。零の生活の中心は将棋になるから、自然と将棋を中心にした物語になりました。
将棋を中心にして、孤独だった少年の周りに人の輪ができ始めているところまでを描く。どちらかというと、棋士・桐山零の闘い編ですね。