黒島結菜、2度目の"タイムリープ"は優しさに感動 - 映画『サクラダリセット』
●現役大学生として、写真を勉強中
河野裕原作のヒット小説「サクラダリセット」。4月から放送されているTVアニメ版に加え、映画『サクラダリセット 後篇』が5月13日より公開となる。能力者の存在する街・咲良田を舞台に、それぞれの能力をめぐって物語が展開する。
"能力バトル"というとアクション作品が思い浮かぶが、同作は"能力の組み合わせ"こそが妙となっており、キャラクター同士の結びつきにもつながる。たとえばヒロイン・春埼美空(黒島結菜)は世界を最大3日分巻き戻す「リセット」の能力を持っているが、戻った分の記憶も失ってしまうため、常に「記憶保持」の能力を持つ高校生・浅井ケイ(野村周平)とともに行動する。ロジックバトルの面も持ちながら、ボーイ・ミーツ・ガールの物語でもある同作で、ヒロインを演じる黒島に話を聞いた。
○フィルムカメラがきっかけで写真にはまった
――完成された作品を観て、感想はいかがでしたか?
優しくてあたたかいテイストの作品になっていたので、嬉しかったですね。優しい映画が好きなので。
――時間を戻すのは『時をかける少女』に続いて2回目ですね。
多いですよね(笑)。今回は最大3日間、セーブが必要といった条件があり、戻し方や理由が違うので、また面白かったです。
――ちなみに自分だったら「この能力がほしい」というのはありますか?
この中だったら記憶保持かな。あとは写真を勉強しているので、写真の中に入る能力はいいなと思いました。
――なるほど! 現在大学生として、写真を勉強されていますが、写真を勉強しようと思ったきっかけはあるんですか?
もともと、携帯電話で写真を撮るのが好きだったんですが、高校3年生の時にフィルムカメラをもらって、フィルムで撮るようになってからはまってしまいました。同じタイミングくらいで学校をどうしようかなと迷っていたのですが、写真を勉強できる大学をみつけて。トントントンと勉強することになったのですが、楽しいです、写真。
――写真を勉強されていることが、お芝居に生かされたりすることもあるのでしょうか。
見え方などを意識しすぎるとあまり良くないと思ったので、お芝居のときは考えないようにしています。ただ、現場でのスタッフさんの動きや、使っている機材や、照明の感じなどは、よく見るようになりました。スタッフさんにも「それは何ですか?」と聞いてみることも多いです。現場でのコミュニケーションの1つとして、「写真を勉強している」ということが話題になるので、大学に入ってから、よく話せるようになりました。
――すごい環境ですよね。大学のお友達はうらやましがるんじゃないですか?
学校には、もちろんプロを目指している子もいます。私はそもそもプロの環境でお仕事させてもらっているから、みんな気になるみたいで、聞かれて答えるためによく見ておこう、と思うこともあります。
●役と真逆の野村周平、かわいすぎる平祐奈
○セリフがほとんどない役に
――今回の現場では同年代が多かったのかなと思いましたが。
同年代ではありますが、女の子はみんな年下だったので、新鮮でした。私ももう「1番上の方の年齢なんだ」と思って。今までずっと1番下だったので、ちょっと怖かったです。ただ自分が引っ張ろうとは意識せず、野村(周平)さんにお任せしていました。
――現場はどのような雰囲気でしたか?
野村さんが明るくて、ムードメーカーでした。ケイと真逆のキャラクターだったので、最初どうしたらいいのかわからなかったんですけど、だんだん慣れてきて(笑)。それもギャップがあって面白いなと思いました。
平祐奈さんは、大ファンになりました。現場にいるだけで癒されます。年下でかわいらしさもあるけど大人で、不思議な子だなと思いました。めっちゃくちゃかわいくて、「何でこんなにかわいいんだろう?」と思いました。
――黒島さんが演じられていた春埼は、かなりおとなしい役柄でしたよね。
セリフが全然なかったです(笑)。セリフに頼ることができなかったので、表情の変化でどう伝えるのか、監督とも相談しながら演じていました。セリフ量が多い野村さんからは「なんで俺ばっか話しているんだ、ずるい」と言われて、「すいません」と謝りました(笑)。
○転機となった作品に
――様々な作品に出られていますが、これまでに何か転機になった作品はありますか?
お芝居ってこうやるんだ、と思えたのは、映画『ストロボ・エッジ』でした。廣木(隆一)監督にいろいろと指導していただいたことが大きかったです。あの頃はついていくのに必死で、とりあえず「わかりました」と返事をして、やってみるという感じだったのですが、「お芝居って、こういう気持ちでやるものなんだ」ということを教えていただきました。それは技術や見せ方だけではなく、気持ちを持っていくということで。こうやってゆっくり時間をかけて考えるんだ、ということが初めてわかったし、「お芝居って難しいな。ただ楽しいだけじゃないんだな」と思いました。10代のうちにわかったのは良かったです。またいつか、廣木監督とご一緒したいと思います。
――ちなみに現在、ドラえもんと「マイナビ2018」のCMにも出ていただいていて。
ずっとドラえもんが大好きだったので、「ドラえもんと共演できるんだ!」と、とても嬉しかったです。撮影は、「あそこにドラえもんがいる感じで」とイメージして行ったんですが(笑)。写真撮影の時には、スタジオにドラえもんの置物がいて、「すごい!」と思いました。
――黒島さんは大学生ながらお仕事もされているという状況ですが、何か同年代の人にアドバイスをいただければと思います。
まだ見つけられない方もいるかもしれないですが、やりたいことがあるだけで、違うと思います。自分のやりたいことをちゃんと見つけて、それが好きになれたら一番いいんじゃないかなと思います。
私も20歳になって、色々な人から「おめでとう」と言ってもらって、大人としての責任と自覚というか、「自分でちゃんとやっていかなきゃいけない」ということをすごく感じて緊張しました。
その緊張感も、大事なのかなと思いました。
――20歳で大人の責任を自覚できるのはすごいと思います。黒島さん、かなり考え方が大人っぽいですよね。
でも、悟りすぎてしまうと役の気持ちが理解できなくて「なんでこういう行動を起こすんだろう?」と思ってしまうのかなと。高校生の役が多いのですが、考えがどんどん変化していて、高校生の時の気持ちがだんだんわからなくなっている自分がいたんです。「やばいな、まだ制服着る予定なんだけどな」と思います(笑)。
――今回の作品で「わかる」と思ったのはどういう行動でしたか?
春埼の「泣いている人を見たときに、リセットの能力を使う」という考え方は、大人びているし、優しさがあって感動しました。自分のためじゃなくて、人のために使ってあげるというのが、かっこいい。他人のことを考えて、いろんな人を見ているところがすごいなと思いましたし、そういう人になりたいです。