2017年5月16日 10:00
三池崇史のキャスティング論「人間であれば、みんな役者」 - 山田孝之・綾野剛に見る"運命"の真意
●起用俳優の出演作を観ない理由
映画『無限の住人』(公開中)の主演に木村拓哉を起用した三池崇史監督は、2月に行われた完成報告会見で、木村の起用についてこう言い放った。「キャスティングは運命」であると。三池監督にとっての木村は「直感」で、「それがありき」の話だったという。
運命的なものを結びつけていくのが自分の仕事。そう語る監督にすごくロマンを感じたものの、ふと疑問が湧いた。集客にも影響する配役は、何よりも慎重に進められるはずの人事。協議を重ねて決まっていくものではないのか。
「僕が思ったとか、誰かが決めたということではなくて、沙村(広明)先生が19年間描かれたことと"木村拓哉"という生き方をしてきた人間が引き合って、そこにわれわれが巻き込まれた」と三池監督。
果たしてこれらの真意とは。これまで手掛けた作品の俳優を振り返りながら、「三池崇史のキャスティング論」を語り尽くしてもらった。
○噂話と世間話を信じる
――会見での「キャスティングは運命である」という言葉が印象的でした。以前から思っていたことだったんですか?
そうですね。そもそも評判というのは「情報」でしかないんですが、現場で世間話している中でも自然と耳に届くこともあります。