キヤノンの30倍ズームコンデジ「PowerShot SX700 HS」で、ヨーロッパの鉄道を撮る! (1) 狙った車両とシャッターチャンスを逃がさない!
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「コンデジは鉄道写真に向いて」でWebを検索すると、表示される結果の多くは「コンデジは鉄道写真に向いているでしょうか?」という質問か、あるいは「コンデジは鉄道写真に向いていない」という意見に集約される。「ズーム倍率に限界がある」「レンズのf値が小さくてシャッター速度が稼げない」「シャッターボタンを押下してから実際に撮影されるまでにタイムラグがある」などがその理由だ。
ならば、あえてそれに挑戦してみようじゃないかというのが、今回の記事の趣旨である。
焦点距離25~750mm(35mmフィルム換算時)の光学30倍ズームを持つPowerShot SX700 HSに「ズーム倍率に限界がある」という弱点がまったく当てはまらないことはいうまでもない。さっそく、撮影結果をご覧いただこう。
ちなみに今回の撮影は、ほぼカメラまかせのフルオートと絞り優先モードで撮影した。それでいて、広角、望遠を問わない豊かな表現力は、一眼レフで撮った作品と見紛うほど。
●光量が不足しがちな室内や夕刻でISO感度を上げて鉄道を撮影してみる
「レンズのf値云々」については、後述する「シャッター速度が稼げない」ことが要点だろう。だが、これについても、PowerShot SX700 HSはISO3200までの高感度撮影でシャッター速度を補えるうえ、前回の飛行機撮影でも優れた効果を発揮した強力な5軸手ブレ補正も相まって、光量が不十分な環境下でも想像以上に美しい写真を手にすることができた。
●「撮りたい」と思ってからカメラを取り出しても合焦が間に合う!
「シャッタータイムラグ」については、今や本機のみならずコンデジの現行製品の多くですでに解消されている。それより、移動する鉄道車両をベストな位置(地点)で捕らえるには、ズームと合焦の速さの方が重要だ。そしてこれは、PowerShot SX700 HSの白眉でもある。光学30倍ズームの豊富な画角を使いこなすにはズーム操作を多く繰り返すことになるが、本機のズームの素早さと静かさ、滑らかさは狙った車両に吸い付くように迫り、画角が決まったと同時に合焦する。
おかげで、レールの彼方に見え始めた列車を「撮りたい」と思ってからカメラを取り出しても間に合ったことが多かった。ほかにも、ズームで追いかけての後追い(通過した列車を後ろから撮ること)がしやすいなど、この速さと正確さは、鉄道撮影の大きな武器だ。
ズーム性能のアドバンテージは、動画においてもきわめて大きい。前述の強力な手ブレ補正(動画撮影時は)とも相まって、手持ちでも非常に撮りやすく、画質も十分満足できるクオリティ。
何をもって「鉄道写真に向いている」とするかについては、さまざまな意見があると思う。だが、少なくともPowerShot SX700 HSが「鉄道写真を撮れる性能」を十分に有していることは確かだ。気軽に持ち歩けるサイズはもちろん、望遠での雰囲気ある描写や交換レンズを持ち歩く必要のない手軽さなども含めた、総合的なパフォーマンスでは一眼カメラを大きく超えるだろう。今回のように旅先での撮影においてはなおさらだ。