2017年10月8日 11:00
北野武監督、周囲に委ねて「俺のやり方でやる」 - 18作の歴史が刻まれたアウトレイジ表現法 【短期連載 暴走の黒幕】
●音楽・鈴木慶一に頼んだ「失礼なこと」
「全員悪人」の『アウトレイジ』(10)、「一番悪い奴は誰だ?」の『アウトレイジ ビヨンド』(12)。そして、北野武監督にとって18作目にしてシリーズ完結作となる映画『アウトレイジ 最終章』のキャッチコピーは「全員暴走」。日本の二大勢力だった関東・山王組と関西・花菱会の抗争後、韓国の済州島に渡った元大友組の組長・大友(ビートたけし)。日韓を牛耳るフィクサー・張会長(金田時男)のもとで平穏な日々を過ごしていたが、花菱会の花田(ピエール瀧)がトラブルを起こし、「全員暴走」の渦中へと巻き込まれていく。
人気シリーズの登場人物たちを暴走させていく一方、『アウトレイジ 最終章』は18作という北野組の歴史、そして暴走とは対極にある監督論が支柱となっている。短期集中連載「暴走の黒幕」では、本作に携わったスタッフたちの言葉を記録し、シリーズと北野組の魅力を探る。第1回は監督・脚本・編集の北野武(70)。アイデアノートから生まれた描写を、"引き算"と"リアル"の音と掛け合わせて"みんな"に委ね、最後は"俺"が自由に決める。
○"引き算"の選択
――音楽を担当された鈴木慶一さんは、監督との仕事を通じて「引き算」