富士通研究所、オンデマンド交通の利益を向上させる運行技術を開発
富士通研究所 ソーシャルイノベーション研究所 イノベーションディレクター 阿南泰三氏によれば、現在の地域交通サービスにおいては、タクシーは価格的に日常利用に向かない、路線バスは路線/ダイヤ変更が難しい、コミュニティバスやオンデマンド交通は、需要減少時に空席や空車が増加し、収益性が厳しいという課題があるという。
そこで同社では、自家用車に過度に頼らない社会を実現するため、安くて便利で事業者利益も向上可能な地域交通サービスの実現を目指し、MITと車両の運行を動的に制御して需給バランスを取ることにより、多様な移動ニーズに応えながら事業者の利益を向上させるオンデマンド交通運行技術について共同研究を進めてきた。
今回開発した技術は、需要変動に応じて車両の余剰や不足を発生させないように、同一の車両を「固定路線モード」、「タクシーモード」、「乗合モード」という異なる3つの運行モードに動的に割り当てて運行し、利用者は複数の運行モードから希望する乗車便を選択できるオンデマンド交通運行技術を開発した。
「固定路線モード」は、バスのように路線を固定して運行する形態で、近くの停留所まで歩く必要があるが、料金を低く抑えられるモード。「タクシーモード」は既存のタクシーと同様に運行するモードで、「乗合モード」は、路線を固定せず、複数の乗客と相乗りする方式で、相乗りにはなるが、目的地まで歩くことなく行けるモードだ。
今回開発した技術は、利用者がスマートフォンなどからリクエストすると、これら3つのモードそれぞれの乗車可能時間と料金を提示し、利用者に好みのモードを選択させるというもの。技術のポイントは、利用者に3つの選択肢中からどれかを必ず選んでもらえるように、候補を提示することだ。
富士通研究所では、MITの行動分析の技術協力を得ながら、料金、待ち時間、乗車時間、運行モードなどからそのモードを選択した場合の利用者の満足度を数値化。各候補が選ばれる確率を計算し、最適な組み合わせ表示するシステムを構築した。また、事業者が利益を出せるように運行指示を与える。
同社は実証実験をまだ行っていないが、東京近郊の多摩を想定したシミュレーションでは、タクシーのみ運用の場合にくらべ、事業者の利益を最大1.82倍まで拡大できることを確認したという。ただ、この技術は大都市近郊など、ある程度利用者が多い地域を想定しており、過疎地域には不向きだという。
同社では、シミュレーションによる評価と技術改良を進めるとともに、実証実験による検証を進め、2016年度の実用化を目指している。
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