くらし情報『三木孝浩監督、恋愛映画の表現応用で男子の友情描く『坂道のアポロン』』

三木孝浩監督、恋愛映画の表現応用で男子の友情描く『坂道のアポロン』

2018年3月7日 11:30
 

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三木孝浩監督、恋愛映画の表現応用で男子の友情描く『坂道のアポロン』

●友情を超えた、眩しい絆の物語
第57回小学館漫画賞一般向け部門を受賞し、「このマンガがすごい! 2009オンナ編」第1位に輝いた小玉ユキの漫画『坂道のアポロン』が実写映画化され、3月10日より公開される。長崎・佐世保を舞台に、孤独な青年・薫(知念侑李)が札付きの不良と恐れられるクラスメイト・千太郎(中川大志)と、心優しいクラスメイト・律子(小松菜奈)と出会い、ジャズを介して心を通じあわせていく。

メガホンをとった三木孝浩監督は、恋愛映画の名手としても知られているが、今回は薫と千太郎の友情が物語を動かしていく。知念、中川、小松という若手トップクラスの俳優陣や同作の見どころについて、三木監督に話を聞いた。

○未成熟な人間がもがく姿を描きたい

――恋愛映画のイメージが強い三木監督ですが、今回は薫と千太郎、2人の友情がメインなのかなと思いました。

恋愛映画のイメージ、強いですか?(笑) 僕は、大きなくくりで「青春映画」が多いということなんだと思います。だから恋愛も青春映画だし、友情も青春映画なんですよね。「未成熟な人間が、自分のあるべき姿に向かってもがく」ところに美しさを感じるし、キャラクター達がすごく愛おしくなるので、描くのが好きなテーマです。

もがく対象が恋愛のときもあれば、部活のときもあり、音楽や友情だったりもする。でも目指すものがそれぞれ違うだけで、根底には未成熟な人間の成長があります。

――今回の『坂道のアポロン』では、これまで恋愛映画で使われていた手法を、2人の友情を描くときにもとられていたというお話でしたが。

普通のラブストーリーに使う手法を、薫と千太郎の関係を描くときに応用したところはありますね。たとえば薫が千太郎を見る時の音楽や映像表現は、女の子が魅力的な男の子を見た瞬間の演出にしています。「強烈な魅力を放つ千太郎に、どんどん反発しながらも惹かれていく薫」という図を、一種のラブストーリーに見えてもいいかな、くらいの感覚で撮っていました。

というのも、この作品は単なる友情の話ではなく、それぞれが奥底に孤独を抱えながら、「独りじゃない」と思わせてくれる相手に出会う物語だからなんです。薫と千太郎が音楽を通じて「自分がここにいていい」という証明を見つけて、互いに存在理由を見出していく。その友情を超えた結びつきは、律子の目線で見るとすごくうらやましく感じるし、映画を観た方が「その中に入りたい」と思ってくれたら、世界観が描けているということなのだと思いました。

――夜の教会に2人で並んでいるところや、2人で坂道を駆け下りていくところなど、あまりにもまぶしすぎて……。

手を取ってダッシュするって、映画『卒業』のような駆け落ちパターンですからね(笑)。しかも笑顔で駆け下りていく。でも、薫と千太郎だったら「そうだよな」と納得してしまう感じがありますし、観客の方にも愛おしく見えたらいいなと思いました。

●期待以上の演奏シーンに、監督もキュンキュン
○律子のキュートさは小松菜奈ならでは

――一方で、律子と薫もキュンとするシーンが多くて、糸電話のシーンやキスシーンも素敵でしたよね。

糸電話も、昭和の時代設定だからこそ描けるアナログ感でしたね。電話も携帯ではなく家の電話ですし、なかなかコミュニケーションを取れない難しさがある。でも顔を見合わせることがやっぱり一番のコミュニケーションというところが、この時代を描く面白さだったりもしますし、今までにない空気感を出せたのですごく楽しかったです。

――出演者の方も少しレトロポップ感のある顔立ちなのかなと思いました。

特に菜奈ちゃんは、60年代のファッションがすごく似合うんですよ。元々、モデルもやっているので何でも似合うんですけど、あのキュートさは、なかなか出せない。やっぱり、菜奈ちゃんだなと思いました。

――三木監督は、映画を観てキュンとしたりするタイプなんですか?

めちゃめちゃします(笑)。もう、キュンキュンしてますね。

――撮影中もキュンキュンされているんですか?

かなりしています(笑)。でも今回何が一番キュンと来たかって、完成披露のときの舞台挨拶かな。その場でピアノを演奏した知念くんと、ドラムを演奏した大志くん、2人の目線が合った瞬間は、もうキュンキュンしました。

映画の演奏シーンも、千太郎と薫が「よしいくぞ!」と目を合わせたり、相手の演奏を見て「すごいな」と笑顔になっていたりする瞬間、2人は笑顔なのに、観ているこっちは泣けてくるんです。彼らが音楽を演奏している姿を見て、孤独を抱える2人が本当に幸せそうな表情をしているところが、やっぱりグッときました。演奏シーンでは互いの目線を撮るときに、2つのカメラでそれぞれ顔に寄っていたんですが、モニターを並べて見ていたら、「これだけ演奏を練習してきたけど、もう、表情だけでシーンが成立するんじゃないか?」という気持ちになりました。

これまでの準備や練習があって、感情も高めて来たからこそ、この表情が出来るんだなと思いました。表情だけで2人のすべてが伝わる、それくらいの演技をしてくれたんです。
○アニメ版に刺激された

――映画を拝見しても、よくあの演奏を……とびっくりしました。やはり演奏シーンはすごく大事に撮られていたんですか?

原作も素晴らしいですし、僕も元々アニメ版を観ていたので、文化祭のシーンのすごさは身に染みていました。プレイヤーの動きをトレースして、もはや音楽が流れていなくても音の伝わるようなアニメーションになっていて、すごいと思っていたのに、それを自分が撮らなきゃいけない。

これを実写でやるとなると、役者に相当負担がかかると思いました。実際に若い年代の俳優さん達がやらなければいけないと考えると、最初は「それは無理じゃないかな」と、思ったくらいです。でも目標としては、遜色ないものを作りたかったですし、特にこだわって作った部分でした。

――演奏シーンをプロの方の吹き替えにしようと考えたりはしなかったんですか?

最初は、手元はプロのプレイヤーに任せるという選択肢もあるのかな、と思いました。でもこちらの想像以上に、2人が演奏曲を完璧にトレースできていたので、もう本当に、感動しましたね。嘘をつかなくてすむというのは、監督として本当に幸せな事です。本人が演奏しているというリアリティがあるからこそ、感動できるというのは大きいです。

三木孝浩
1974年生まれ、徳島県出身。これまでに、いきものがかり、FUNKY MONKEY BABYS、YUI、ORANGE RANGE等、数多くのPVやライブ映像、TVCM,ショートムービーなどを手掛け、MTV VIDEO MUSIC AWARDS JAPAN 2005 最優秀ビデオ賞、カンヌ国際広告祭2009メディア部門金賞などを受賞。2010年に『ソラニン』で長編映画監督デビュー。以降、『僕等がいた』(前篇・後篇/12)、『陽だまりの彼女』(13)、『ホットロード』(14)、『アオハライド』(14)、『くちびるに歌を』(15)、『青空エール』(16)、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(16)、『先生!、、、好きになってもいいですか?』(17)などがある。

(C)2018 映画「坂道のアポロン」製作委員会 (C)2008 小玉ユキ/小学館

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