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ジャニーズ×松竹、若手でオリジナル作を 『ラスト・ホールド!』使命感

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ジャニーズ×松竹、若手でオリジナル作を 『ラスト・ホールド!』使命感

●プロデューサーから「ぜひ」というプッシュ
身体能力が高いことで知られる、アイドルグループ・A.B.C-Zの塚田僚一が、初主演を務める映画『ラスト・ホールド!』(5月12日公開)。2020年の東京オリンピックの正式競技種目となった「スポーツクライミング」の一種目、ボルダリングを題材に、大学生の青春を描いた。

原作ものが主流となっている映画界で、若手プロデューサー×若手監督×若手ジャニーズという組み合わせのオリジナル作品は一体どのようにして生まれたのか。真壁幸紀監督と岡村紘野プロデューサーに話を聞いた。

○腕を見込んでのオファー

――今回真壁監督の長編2作目ということですが、これは岡村プロデューサーが監督にお願いしたい、ということだったのですか?

岡村:僕がぜひ、真壁監督がいいとお願いしました。

真壁:(笑)。山田洋次監督が主催している”シネマ会”というのが あるんです。「映画人が交流する場を作った方がいいんじゃないか」と開催されていて、僕は師匠の本広克行監督に連れられて参加しているのですが、まあ、重鎮しかいない(笑)。
日本映画界があつまっている会の、末端で4~5年前に出会いました。長編デビューもする前だった頃にお会いして、「一緒に面白いことできたらいいですね」と名刺交換をして。

岡村:その後も互いに企画をやり取りしていて、なかなかうまくいかなかったのですが、この企画が成立した時に、真っ先に真壁監督にお願いしたいと思いました。若い人に向けての作品にしたいなと思ったので、ご相談をさせていただいて、ROBOTさんにも快諾していただけました。

――「やっと実現した」という思いはあったのでしょうか。

真壁:一緒にやりたかったですし、オリジナルの作品を作るというのが魅力的でした。なかなか、オリジナル作品をできる機会はありませんから。

――”真壁”監督だからボルダリングというのは意識されてたんですか? Snow Manさんもインタビュー時に「ぴったりだよね」と。


岡村:……今、初めて気付きました! 真の壁ですね。周りから言われたことありますか?

真壁:言われました(笑)。

岡村:名前は関係なく、”腕”の方でお願いしました(笑)。

●この規模で、若手オリジナル作はなかなかできない
○A.B.C-Zでエピソード0がやりたい

――全体的にスタイリッシュで、かっこいい映画だと思って観せていただいていたのですが、そこは意識はされていたのでしょうか?

真壁:最初から目指していました。ボルダリング自体が、スケボーやスノボなどの流れを汲むもので、試合ではずっと音楽がかかり、DJがお皿を回してるようなスポーツなんです。だから、映画を汗っぽくないようにしたいとはずっと言っていて、音楽には気をつけていました。

岡村:監督はずっと「スタイリッシュに」と言っていましたよね。音楽もスタイリッシュ、編集もスタイリッシュ、とにかくスタイリッシュ。


真壁:もう、「スタイリッシュってなんなんだ」と(笑)。でも実際のボルダリング選手もみんなカッコいいし、綺麗だし、その感じを残したいというのはあったんです。

――お二人で「かっこいいの作ろうぜ!」と言っていたというより、ボルダリングのかっこよさから自然とスタイリッシュな作品になっていったんですね。

岡村:そうです。最初はもっとのほほんとしたものを考えてました(笑)。

真壁:この枠って、貴重だと思うんですよ。松竹さんとジャニーズさんのコラボで、若いプロデューサーと監督がオリジナル作品を作れる、というのは、なかなか映画業界にないと思うので、なんとかつなげていかないと、と思います。50館規模でオリジナル作品ができるって、なかなかないんです。


――確かに、若手の監督、俳優さんもミニシアター系で主役を張ってオリジナルの意欲作を世に出されることが多いですよね。

真壁:映画界に対する使命感を持ちながら、ブームになるといいなと思っています。

岡村:オリジナル、なかなかないですよね。機会があれば続けていきたいです。

――ちなみにA.B.C-Zさんで何か、というのは考えたりされましたか?

真壁:『ラスト・ホールド!』のエピソード0を、A.B.C-Zさんでやりたいですよね。(OB役の)駒木根さんとかがいた時代に、岡島とA.B.C-Zの皆さんが部で頑張っていたんだろうなと(笑)
○10日間の撮影で勢いが出た

――今回真壁監督が長編2作目だからこそできた、という点はありましたか?

真壁:ずっとオリジナルをやりたかったので、そこは大きいですね。オリジナルだからこそ、キャストにあて書きできたというところもあります。撮影期間はタイトだったんですけど、クランクインする前に、3日間くらい時間たっぷりとってもらって、みんなでお芝居のリハーサルをしたのも、大きかったです。


テレビドラマとかでも、なかなかリハーサルする時間はないんですよ。それでいて撮影時間もなかったら、出演者の演技の幅も広がらない。今回はがっつり3日間とってリハーサルをさせていただいたことが良かったです。

岡村:あれはみなさん楽しんでやってました。

真壁:基礎からできましたし、僕自身も演出力を上げるきっかけになったので、いい時間をいただきました。10日間の撮影が間違いなくきついのは、わかっていたので(笑)。

岡村:でも結果的に、作品に勢いが出ましたよね。現場では無茶な注文で、こちらは「顔を撮ってください」と言うんですけど、彼らの前は壁なので(笑)。
監督や、カメラマンの方も大変だったんじゃないかな。

真壁:時間もなかったですし、通常2台で撮っているところを4台で撮っていたので、各カメラマンも『良いのを撮らないと、俺のが使われない』という緊張感もあったかもしれないですね(笑)。

岡村:監督とスタッフの方々のチームワークも良かったです。

――またお二人が組むとしたらこういう作品をやってみたい、という希望はありますか?

岡村:僕はやっぱり、高校生が出てくる作品をやりたいです。今回はがっつりスポーツだったんですけど、スポーツじゃなくてもいいし、女の子が出てきたりとか。真壁監督は女性撮るのもすごく上手なので。

真壁:僕がやりたい企画は、狭いんですよ。ヒットを考えない映画オタクなので、そこらへんは岡村さんのバランスを取っていただいて広げてもらうのがいいかな。


岡村:僕は全然オタクじゃないので(笑)。真壁監督はすごいセンスがある方ですし、どんどん今の若い方に向けた作品を、ぜひ撮ってもらいたいです。

※次回は、出演者の皆さんについての印象を真壁監督、岡村プロデューサーに聞いていきます。(5月8日掲載予定)

■真壁幸紀監督
1984年生まれ、ROBOT所属。『踊る大捜査線』『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズ等の助監督を経て、ディレクターデビュー。12年、ショートフィルム『THE SUN AND THE MOON』がLouis Vuitton Journeys Awardsでグランプリ。15年、長編映画第1作目となる『ボクは坊さん。』を公開。海外の映画祭でも高い評価を得て、16年にはフランスの女優、イレーヌ・ジャコブ主演のショートフィルム『HOME AWAY FROM HOME』を発表。最新作はTVドラマ『電影少女-VIDEO GIRL AI 2018』。本作は長編映画第2作目。

■岡村紘野
2007年、松竹に入社。これまでに関わった作品は『母べえ』『鬼平犯科帳』『関西ジャニーズJr.の目指せ♪ドリームステージ!』『関西ジャニーズJr.のお笑いスター誕生!』など。2015年より現職。

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