新田真剣佑&北村匠海、相性良すぎな2人が互いに尊敬する部分は?
●映画『OVER DRIVE』ではライバル役に
世界最高峰の自動車競技・ラリー。男たちの熱い戦いをダイナミックに描いた映画『OVER DRIVE』が6月1日より公開される。メカニックの兄・篤洋(東出昌大)と、天才ドライバーの弟・直純(新田真剣佑)の確執と絆、そしてド迫力のレースシーンが観ている方も熱くさせること間違いなしの作品だ。
今回、作中でライバルとして対峙する直純役の新田と、敵チームのドライバー・新海役の北村匠海は、実はプライベートでは友人関係だという。完成披露試写会でも”2人の世界”を繰り広げ、互いに役者としてリスペクトしあう2人に、話を聞いた。
○家に帰って匠海がいてくれたら…
――まず、完成した映画を観た時の感想はいかがでしたか?
新田:まるで、すごい映画になったと思いました。観終わったあとに匠海も、(森川)葵も、兄貴(東出昌大)もLINEで連絡をくれましたし、迫力のある素晴らしい映画ができました。
北村:観終わったあとに、「真剣佑の全てが詰まった映画だった」という内容の連絡をしました。
今回僕は、東出さんと真剣佑の作り出す世界の一員になれればと思いました。同じ世代の真剣佑がここまでやってくれると思うと、結構しびれましたね。そして主演の東出さんのお芝居の熱量もすごくて、とても勉強になりました。羽住(英一郎)監督しかこの映画は撮れないと思ったし、関われたことがすごく嬉しかったです。
――久しぶりの共演で、役者としてのお互いの印象を教えてください。
新田:僕はもともと匠海の芝居が大好きなんです。芝居の面でも尊敬していて、一緒にいたいと思います。友達は少ないのですが、同世代で匠海が一番好きですし、今回はあまり一緒のシーンはないですけど、見ていて「怖いなあ」と思う役者だと思いました。
北村:2人とも、友達が少ないんですよ(笑)。以前共演した『仰げば尊し』というドラマで、目の前で見た真剣佑の芝居に惚れてから、お互いに芝居で繋がっていた感覚があります。『OVER DRIVE』に行き着くまでに、それぞれジャンルの違う映画に出て大きくなって、また一緒に作品をやれたことは嬉しかったですね。
一緒にやるシーンは多くはなかったけど、逆に印象的でしたし、真剣佑の芝居を目の前で見て「こいつは、でけえなあ」と思いました。すごく堂々と、地に足のついている芝居をしていたので、人間としての大きさを見せてもらいました。ライバル役としても、意識させてくれたと思いました。
新田:匠海は、数秒しかない顔のアップのシーンでも物語るから。自分にはまだできないと思う芝居もやってくれるので、羨ましいです。
でも、そう思わせてくれる役者に出会いたいので、匠海の芝居を間近で見れるのは幸せです。
――自分たちが「仲良いな」と思う時のエピソードがあればぜひ。
新田:いつもです。
北村:(笑)。電話をいつもマメにくれます。しかもテレビ電話で、互いの相談のような時間が多いですね。この職業って、自分と違う人格になる大変さがあるので、「頑張ってるよ!」と言い合う、慰め合いみたいな時間が(笑)。
――新田さんはどういうときに北村さんに電話したくなるんですか?
新田:心細い時(笑)。
家に帰って「ただいま」と言う人がいない時に、匠海がいてくれたらな、と思います。……なんだこの気持ち悪い時間は。
北村:いつか僕が、真剣佑のマネージャーになるわ(笑)。
●2人のカラオケに、先着1名ご招待?
○通じ合うものがある
――役者としては尊敬し合っているということでしたが、人間性としては、どういうところが合うのだと思いますか?
新田:稀に見る似たタイプなんです。相性が良いのか、思考が一緒なのか、通じ合うものがあると思います。
北村:蠍座のB型、という共通点もある。なかなかいないよ。
新田:特殊なんだよね。
北村:いろいろ話をしていても、やっぱり通ずるものがあると思います。『仰げば尊し』の時からそんな感じでした。ドラマが放送される度に、その回について話していました。
新田:そうやって知っていくにつれて、「あ、似てるのかも知れないな」と。何か通じ合うと思いました。
○根本的に誰にも似ていない2人
――北村さんはDISH//のボーカルとして活躍されていますし、新田さんは舞台でも歌声を披露されていて、2人とも歌がすごくお上手ですよね。
北村:そう真剣佑、歌が上手いんですよ。
――2人でカラオケに行ったりすることもあるんですか?
新田:行きます。
もうずーっと歌ってるね。
北村:ストイックに、ずっと歌を歌ってます。自分たちの好きな曲を歌ってるだけなんですけど、意外とレベル高めだよね(笑)。新田:本当に、歌ってるだけ。
北村:カラオケの本来のあり方としては正解だと思いますね。真剣佑は洋楽が多くて、僕は邦楽系。ハナレグミとか……。
新田:DISH//系でしょ?
北村:DISH//は、たまに真剣佑が歌ってます(笑)。
――贅沢なカラオケですね。
北村:じゃあ、先着1名招待しますよ(笑)。
新田:抽選で(笑)。
――それは応募が大変なことに(笑)。プライベートでも仲の良いお二人ですが、今回の『OVER DRIVE』で相手を見て、役と似ていると思ったのはどのようなところでしょうか?
北村:現場で見る真剣佑の姿は、直純でしたね。似てると言うよりも、真剣佑がずっと直純でいた感じ。もともと似ているからなのか、作り込んでいるからなのかというのはわからないですけど、いつも現場で見る真剣佑は、いい意味で真剣佑じゃないと思いますし、車の道を目指したら本当にこんなドライバーになるんじゃないかと思いました。
周りに当たる感じではないですけど、熱さが似ています。直純のラリーにかける思いと、真剣佑の芝居にかける思いが重なっていました。真剣佑って、お芝居中に全然まばたきをしないんですよ。その目の強さも、やっぱりラリーの選手の強さに重なる気がしました。
新田:基本的に、この2人はどの人間にも似てないと思っています。特殊だね、2人とも。
――新海は冷静な面もありましたが、新田さんから見て北村さんに似てるな、と思うことはありましたか?
新田:印象としては、ああいうドライバーになるのかもしれないとは思いました。でも匠海が本当にドライバーになったら、もっと熱くなるのかなとも思います。
北村:彼自身も幼い頃からきっとレースのことしか見てないだろうし、視野はあんまり広くないだろうなとは思いました。
新田:匠海の演じた新海に深みを感じて。「すごい人生を歩んできたんだろうな」というお芝居をしていたので、嬉しかったです。
――作品の中では、ライバル役としてお互いのことをどう考えていましたか?
新田:僕は、安心感しかなかったです。
北村:ライバル役、バチバチする役だからこそ、相手への安心感や友情関係みたいなものがなければ、あそこまで感情をぶつけ合うことは出来なかったと思います。新海にとって、直純は唯一立ちはだかってきった人間だと思いますし、どこかリスペクトもあるんだと思いながら演じていました。マイナスな感情はあまりなく、ドライバーとして意識しあっていたのかな、と。
新田:僕自身、役者・北村匠海を尊敬しているので、多分直純にも反映されていたのではないか、とは思います。言葉にはできないですけど、観た方にも感じていただけていたらいいですね。
●仕事に全てを捧げてしまった
○俳優の仕事を続ける上で、2人の違いは
――今回役を演じる上で、気をつけたこと、勉強したことはありましたか?
北村:ラリーの勉強をしました。あとは、実際に助手席に乗せてもらって、コーナーに切り込む時のGなどを体験させていただきました。ドライバーさんはすごいです。何もかも車に賭けているようでしたし、平面のジェットコースターに乗ってる感覚で、演じる上ではすごく勉強になりました。見てるのとは、全然違いますね。車の中ではすごく忙しく動かれている。
新田:僕も助手席で、忙しいドライバーさんの動きを見ていました。中でどんなことが起きているのかって、想像つかないじゃないですか。マシンも腕も全部使っていて、すごい迫力でした。
――今度は仕事全般で、いつも気をつけていることはありますか?
北村:出会いは大切にしています。毎回出会う人も違う中で、良い作品を一丸となって作り上げるというのは、特殊な職業でもあるのかもしれません。なかなか、話すのが下手くそなんですけど、一人の力では何もかもが成り立たないので、コミュケーションは大事にしています。今回は真剣佑と2人で色々話していたので、とても助けられました。
新田:僕は仕事がすべてなので、仕事のために生きてます。生活が仕事で、芝居に人生を捧げてしまったので、それで生きていくしかないという気持ちを常に持っています。人に夢を与えたくてこの仕事を始めたので、誰かに勇気を与えられた、感動を与えられた、夢を与えられたというのを聞けたら嬉しいです。一人でも多くの人に、そう感じてもらえれば嬉しいなと思いながら、役者の、新田真剣佑をやっています。
北村:僕は役者だけの道ではないので、真剣佑が一つの道を突き進んでいるのを見ると、すごいなと思います。役者も表現活動としてやっていますが、この先もマルチな表現方法をフルに活用して仕事をしていきたいので、逆にいつか、真剣佑のような人を輝かせる側にもつきたいですね。
■新田真剣佑
1996年生まれ、米ロサンゼルス出身。2014年より日本を拠点に活動をスタート。『ちはやふる –上の句–/–下の句–』(16)で第40回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞する。主な作品に『にがくてあまい』(16)、『少女』(16)、『チア☆ダン ~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』(17)、『ピーチガール』(17)、『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』(17)、『不能犯』(18)、『ちはやふる –結び–』(18)、『パシフィック・リム:アップライジング』(18)など。「劇場版コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命‐」が7月27日公開予定。ヘアメイク:粕谷ゆーすけ(ADDICT CASE)、スタイリスト:櫻井賢之
■北村匠海
1997年生まれ、東京都出身。2008年、『DIVE!!』で映画初出演。2013年にはダンスロックバンド・DISH//のメンバー(Vo.&G)としてメジャーデビュー。音楽・映像それぞれのフィールドで活躍する。初主演作『君の膵臓をたべたい』(17)では、第41回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。主な作品に『セーラー服と機関銃 –卒業–』(16)、『あやしい彼女』(16)、『ディストラクション・ベイビーズ』(16)、『恋と嘘』(17)、『勝手にふるえてろ』(17)など。TVドラマ作品に、『ゆとりですがなにか』(16)、『仰げば尊し』(16)、『隣の家族は青く見える』(18)など。ヘアメイク:佐鳥麻子、スタイリスト:鴇田晋哉