奥田瑛二、「監督の“OK”は何点?」の答え “命がけ”で歩んできた俳優人生
それが日本では少ない。この人をいま主役に撮ったらすごいのに! と思っていたら、コーヒーのCMでご一緒する機会がありまして。休憩時間にお話する顔を見ていたら「よし、それなら自分が1本撮ろう」と。11月の明け方4時くらいに千葉の山奥で撮影が終わって、そこから車で帰る3時間で『長い散歩』のストーリーが出来上がったんです。
――ベースに浮かんでいた作品を緒形さんに託したのではなく、そもそも緒形さんありきで生まれた作品なんですね。
「なぜ緒形拳をもっと使わないんだ!」と。「出ずっぱりで主役で使えよ」と。それで誰も撮ったことのない緒形拳を撮ろうと思ったんです。
同じ俳優であり後輩である自分が、きちっと尊敬の念をもって立ち向かえば緒形さんもOKしてくれるんじゃないかとオファーしました。
○主演映画『洗骨』から新作『かくしごと』へ。
――2019年公開の主演映画『洗骨』は、奥田さんが口説かれた側ですね。あのときは奥田さんは。
5年前だから69歳かな。それまで、求められる役と自分がやりたいような役にはギャップがあった。
――そうなんですか?(苦笑)
説明セリフをベラベラしゃべったり。「もうそういうのはやめて、これからは人生を描けるような役を演じるぞ」