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西銘駿、『仮面ライダーゴースト』とファンの涙に救われて

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西銘駿、『仮面ライダーゴースト』とファンの涙に救われて

●悲願の「男劇団 青山表参道X」
2014年、第27回JUNONスーパーボーイコンテストで1万3520人の中からグランプリを受賞し、芸能界デビューを果たした西銘駿(20)。翌年には、『仮面ライダーゴースト』の主役に抜てきされ、以降もドラマ・映画・舞台など第一線の俳優としてキャリアを積んでいる。

「芸能人になる」の一心で、中学卒業後に上京することを決断。オーディションに応募するまでの1年間を準備期間にあてるなど、西銘の経歴からは揺るぎのない志が見えてくる。その思いは『仮面ライダーゴースト』を経て、どのように変容していったのか。今年5月、「男劇団 青山表参道X」旗揚げ公演を目前に控えた西銘に、デビューからこれまでを振り返ってもらった。

○オスカープロモーションに託した思い

――オスカープロモーション所属の俳優30人で結成された「男劇団 青山表参道X」。30人という大所帯ですね。


驚きはしましたが……僕はオスカーに入る時、女性のイメージが強いオスカーの中で取り上げられると男性イメージもアピールできる、そういう思いでやってきたので、集団としてようやく形になってうれしいです。

――あえて女性のイメージが強い事務所をなぜ選んだのでしょうか?

その中で売れれば必ず重宝されるのではないかと予感していたのと、すごく待遇も良いからこそ、頑張れば頑張った分だけ結果もついてくるんじゃないかという期待もありました。そして、僕だけじゃなくて、魅力的な男性がたくさん所属しているというのもアピールできます。さすがに30人は多いなぁと思いましたけど(笑)。

――学校の1クラスぐらい(笑)。

そうなんです。だから、最初は「うわっ! 多いな!」が正直な感想かもしれません(笑)。

――30人の中で面識があった人はどのくらいいたんですか?

稽古やレッスンで20人ぐらいは知っていましたが、ほとんど面識もないままいきなり集められてお披露目イベントが行われました。
それから各メンバーとお仕事する機会も増えてたので、結成されてからの方が距離は近くなりました。

――栗山航さんがリーダー、塩野瑛久さんが副リーダーを務めていますが、西銘さんは組織内でどのようなポジションなんですか?

盛り上げ担当です。どのグループでもムードメーカーと言われることが多いのですが、みんなが笑っている空間が好きで、いつもみんなを笑わせたいと思っています。

――そういえば、ポジティブであることを公言されていますよね。

悩む時は悩むんですけど、寝たら忘れてしまうタイプです(笑)。

○旗揚げ公演『SHIRO TORA』秘話

――そして、14日からいよいよ旗揚げ公演『SHIRO TORA~beyond the time~』が上演されます。稽古もにぎやかでしょうね(取材は5月)。

出演者28人が稽古をするって、通常の舞台ではなかなかないことですよね。
僕が演じるのは白虎隊のメンバーの一人で、現実世界では演劇部の3人だけが見える幽霊です。殺陣や所作も様になるように、しっかりと練習したいと思います。

――どのような役作りをしているんですか?

白虎隊は悲しい運命をたどった方々です。ただ、今回の台本を読んで、そこをあまり取り入れないほうがいいんじゃないかと思って。悲運な背景があるからこそ、感動を誘われるのかもしれません。冒頭のシーンで僕ら白虎隊が亡くなるシーンがあって、そこから時代が現代へと移る。廃部寸前の演劇部が文化祭で「白虎賞」に表彰されるようにバックアップします。

最初は何もかも分からない。
なぜ人が戦ってないのか、なぜ平和なのか。現代の学生たちとの交流を深める中で、一番最初に現代になじんでいく役どころです。最終的にはゲームとかYouTubeが大好きになります(笑)。ただ、そんな夢中になっている姿も切なさにつながってくるんだと思います。同じ年齢でも、生まれる時代が違えば全く状況が異なります。そこを直接訴えかけるのではなくて、現代のものに触れる喜びを通して伝えることができればなと思います。

○高校から上京した理由

――西銘さんは中学卒業後に上京。どんな青春時代を過ごされたのでしょうか。


中学のときは家族が近くにいて、卒業後は芸能をするために上京したので、高校時代は僕にとってすべてが新鮮な日々でした。

――ご自身の決断だったそうですね。

そうですね。

――なぜ、まず東京に行くことを決断されたんですか?

何よりもいち早く動きたくて。1年間は東京になじんで、方言が抜けることを心掛けて、高校2年生のときに応募しました。

●仮面ライダーで学んだこと、学べなかったこと

――上京する前から、「芸能デビュー」が目標として明確にあったと。

そうですね。中学の同級生に、沖縄ですごく有名なCMに出ている子がいて、周りで評判だったんです。
それまで、芸能はすごく遠い存在、手の届かないお仕事だと思っていたんですが、身近にそういう子がいたので考えが変わって、自分もその世界に飛び込んでみたいと思うようになりました。

――家族も説得して。

お父さんの妹のおばさんが東京にいたので少しは安心だったと思うんですけど、高校から親元を離れるのは家族にとってもすごく寂しかったと思います。でも、自分で「やる」と決めたことだったので、おばさんに連絡したり、高校の手続きを進めたりして、そういう熱意が伝わって「頑張るんだったらいいよ」と認めてくれました。

――憧れを抱きながら上京し、夢破れて故郷に戻る人もいると思います。オーディションを通過するまで、なぜ耐えられたんですか?

耐えたというか、自分にとっては新鮮なものが多くて、「やめたい」とか「さびしい」とか思うよりも東京という未知の世界への戸惑いの方が大きくて。電車の乗り方も分からなかったですし、とにかくがむしゃらで、最初の1年はそういった環境に慣れる期間でした。

○「初心者であること」が心の支えだった

――そして、第27回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストで1万3520人の中からグランプリを見事に受賞します。


あんなにカッコいい人たちが集まる場所は初めてでした。2次審査でも、どこを見てもカッコいい人だらけ。東京ってやっぱりすごいと思いました。こんなの受かるはずがない。おばさんにすぐに相談したら、「ウケを狙うしかない」と言われて(笑)。自己紹介でとにかく細かい情報を入れることにして、審査員の方もクスクス笑ってくれました。

――デビューして間もなく『仮面ライダーゴースト』の主役に抜てき。そこで演技についても徹底的に鍛え上げられたそうですが、時にはつらいこともあったと思います。それでも切り抜けられたのは、さきほどもおっしゃっていたポジティブな一面があったから?

ライダーの現場は厳しいことを結構言われるので落ち込むことも多くて、いくらポジティブでもつらい日もありました。ただ、後半は自分への落ち込みです。「ここまでやってきたのに、なぜこれができないんだろう」という悔しさ。むしろ最初は、自分が初心者であることが心の支えになっていて、10話、20話と撮影を重ねていくとそうも言ってられなくなる。だから、自分に対して腹立たしくなることが後半はありました。

――解決方法はとにかく考えること?

そうですね。教わるのは10話ぐらいまでで、あとは自分で考えて行動するしかない。できない自分に悩みながら、何とか乗り切ることができました。

――それ以降、舞台・ドラマ・映画など数々の作品を経て、そのような悔しさや悩みは変化するものですか?

ライダーの現場は若い人が多いので、間違ってもやり直すチャンスをくれます。でも他の現場では、番手が低いと何をやってもOKになってしまう。そういう状況で100%の実力を発揮できない時にイラッとしたり、あとは大御所の方々が多い時は圧倒されて自分の力を出せない時に「メンタル弱いなぁ……」と感じます。

――演技は正解がない上に、そういう環境や自身のメンタルにも左右されるんですね。

そうですね。自信があれば何でもできる。自信がなければすぐにダメになる。それはライダーの時には学べなかったことでした。他の現場を経験して、大御所の方はしっかりと安定したお芝居をやられていて、やっぱり自信を持つことはとても大切なことだと感じました。お芝居に答えはないですが、それに近づくことはできる。そういう方々は、ご自身の中で「答えに近いもの」を持っていらっしゃるんだと思います。それが刺激にもなりますが、やっぱり圧倒されちゃいますね(笑)。
○“俳優・西銘駿”にとってのファンとは

――最後の質問になるのですが、西銘さんの取材記事を読むと「ファン」という言葉がたくさん出てくるような気がします。過去に「ファンがいないと芸能の仕事は成り立たない」とおっしゃっていたこともあると思いますが、ファンの存在を意識するきっかけが何かあったのでしょうか?

イベントでファンの方々と触れ合うと常に感じます。トークショーで優しい眼差しで見守ってくれたり、僕の名前を書いたグッズを持って来てくださったり、そういう光景を目の当たりにすると「自分がやってきたことはゼロじゃなかった」と思えるというか。舞台はお客さんの反応を感じられるのですが、ライダーは大変な撮影を乗り越えてからイベントなどでのファンの方々の反応を見てようやく「無駄じゃなかった」と感じることができました。やっぱり、ファンの方々は僕にとって大切な存在です。

――特に印象に残っているファンの言葉はありますか?

「1話ごとに成長していく姿を見て親目線になって、最終話で涙が止まりませんでした」と言われた時は、本当にやってきてよかったと思いました。自分なりにやりつつできないことも多くて、本当に素人だったので。1話と最終話を見比べると、自分でも別人のように変わったと思います。それをファンの方も感じ取ってくださっていると知って、すごくうれしくて感動しました。僕の気持ち、分かってくれてるんだなって。

■プロフィール西銘駿(にしめ・しゅん)1998年2月20日生まれ。沖縄出身。身長173センチ。2014年、第27回JUNONスーパーボーイコンテストでグランプリを受賞。2015年に『仮面ライダーゴースト』の主役に抜擢され、以降は舞台・ドラマ・映画で活躍。2017年、オスカープロモーションの俳優で結成された「男劇団 青山表参道X」のメンバーとなった。2018年は『未解決の女 警視庁文書捜査官』(テレビ朝日系)に出演したほか、11月3日には出演映画『走れ!T校バスケット部』が公開される。主演舞台『ダンガンロンパ3』が7月20日から上演。

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