理研など、「未成熟型ドリコールオリゴ糖」だけを分解する仕組みを発見
糖鎖が生体分子に結合することを「糖鎖修飾」と呼び、糖鎖と生体分子の修飾の組み合わせは多数存在する。中でもドリコールオリゴ糖は、糖鎖の種類の中でも最も一般的な「アスパラギン(N)結合型糖鎖修飾」の前駆体として用いられている物質だ。正確には、ドリコールオリゴ糖はN型糖鎖修飾の際、糖鎖の供与体基質となるのである。画像1にある通りに3つの構造ユニットから構成され、(1)糖鎖が(2)ピロリン酸を介して(3)ドリコールと呼ばれる「ポリプレノール」上に構築されている形だ。
また糖鎖修飾は、細胞小器官の1つである「小胞体」の内腔で行われる。糖鎖は、小胞体内腔の膜上にあるドリコール脂質上に単糖が複数積み重なって構築され、非成熟型から成熟型ドリコールオリゴ糖が合成されるのだ(画像1)。この際、単糖は、「GDP-マンノース」、「UDP-グルコース」、「UDP-N-アセチルグルコサミン」などの「糖ヌクレオチド」によってドリコール脂質へ運ばれる。複数の段階を経て合成された成熟型ドリコールオリゴ糖は、小胞体膜に存在する「オリゴ糖転移酵素」によってひとまとめに特定のタンパク質に結合する仕組みだ。
画像1が、小胞体におけるドリコールオリゴ糖の生合成経路を表した模式図だ。