理研など、「未成熟型ドリコールオリゴ糖」だけを分解する仕組みを発見
その結果、正常なグルコース環境では、予想通り成熟型ドリコールオリゴ糖が合成されるのに対し、低グルコース環境では成熟型ドリコールオリゴ糖の合成量が著しく減少することが確認されたのである。
次に、低グルコース環境で成熟型ドリコールオリゴ糖の合成量が減少するメカニズムを明らかにするため、過去の知見からピロフォスファターゼとの関係性が注目された。そこで、ピロフォスファターゼの分解によってできるリン酸化糖鎖の検出と定量を実施。その結果、低グルコース環境の時だけ、未成熟型ドリコールオリゴ糖の分解反応が起こり、リン酸化糖鎖が顕著に蓄積することが判明したのである。
続いて、低グルコース環境だけでピロフォスファターゼによる未成熟型ドリコールオリゴ糖の分解反応が起こるのか、そのメカニズムが検証された。ドリコールオリゴ糖の合成には糖ヌクレオチドによる単糖の供給が必須だ。これまでの研究から、グルコースの量によって糖ヌクレオチドの合成が制御されることが確かめられている。そこで、低グルコース環境における糖ヌクレオチドを定量した結果、糖ヌクレオチドの1つであるGDP-マンノースの量が劇的に減少していることが確認されたというわけだ。