ものづくりってカッコいい仕事なんです - 社員20人で年商54億その秘訣は?
井口一世は、埼玉県の所沢を拠点とする板金加工を手掛ける企業。社員は20名あまりと小規模ながら年商54億円を稼ぎ出し、業界でも一目を置かれる企業として成長を続けている。2013年2月に開催されたJapan Venture Awards 2013では、最高位の経済産業大臣賞を受賞。そんな同社の躍進の理由を社名にもなっている代表取締役である井口一世氏に話を聞いた。
○金型レスと切削レスという新しい加工法で大幅なコストダウンを実現
同社は板金業とはいえ、金型を作成したり金属を削り出したりして製品を作っているわけではない。「金型レス加工」と「切削レス加工」というまったく新しいスタイルの加工法を利用し、金型を使わずに高品質な金属部品を製造している。材料となる金属に穴を開けたり曲げたりすることで製品へと"変身"させるのだ。
この新しい加工技術の活用により大幅なコストダウンが可能となる。
井口氏は「切削加工と比べて費用は半分程度」と述べる。切削加工では、削り出すときに大量の端材が出ることがあるが、同社の加工方法なら廃棄部分を極力減らすことができ、同時に材料費を最小限に抑えられるという。
金型を使った加工と比較してもコストの違いが顕著で「新しいコピー機の試作機を作るとき、金型だと初期費用だけで30億円程度かかる」