愛あるセレクトをしたいママのみかた

武田梨奈、お酒不得意でもワカコになる! 苦手を武器に変える克服法とは

マイナビニュース
武田梨奈、お酒不得意でもワカコになる! 苦手を武器に変える克服法とは

●自由演技で「思わずジョッキ半分飲んじゃった」
「お酒があまり得意ではなかったんです」

2018年12月、武田梨奈が主演を務める人気シリーズ『ワカコ酒 Season4』(BSテレ東・毎週月曜24:00~)の記者発表会が都内で行われた。武田は、ゴールデン街で「おねえちゃん! ワカコ酒みたいだね。知ってる?」と話しかけられたことや、酒場ライター・吉田類氏との共演秘話など、爆笑エピソードを連発。しかし、その中でハッとさせられたのが冒頭に記した告白だった。

『ワカコ酒 Season1』が放送されたのは2015年。連ドラ初主演となる武田にとってオファーを断る理由などなかったが、お酒をおいしそうに飲む主人公・ワカコの姿が生命線となるため、相当な覚悟が必要だった。昨年10月に公開された映画『ボクはボク、クジラはクジラで、泳いでいる。』では、クジラの飼育員役を演じてみせた。
オファーを受けた当時、実は泳げなかったがここでも即断即決。難役のはずだったワカコはシリーズ4作目を迎え、ツイッター上では「上品できれいな飲み方」「飲みっぷりが大好き」「美味しそうに食べたり呑んだりする表情に元気もらえる」など支持の声があふれている。

苦手なものを克服し、やがては得意分野に引き込んでいく武田。俳優・女優のターニングポイントに焦点を当てるインタビュー連載「役者の岐路」の第5回は女優・武田梨奈の克服法と吸収力の根源に迫る。

○■Season4で感じる「座長感」

――これまで2度取材させていただきました。最初は、映画『ライアの祈り』の内容に絡めて、主に瓦割りの話を。別の機会には、『ワカコ酒 Season2』のタイミングでドラマの話をとことんうかがいました。

いつも、ありがとうございます。


――そして、その『ワカコ酒』がSeason4として帰って来ました。事前に出されていたコメントからは、「初心」を意識されているような印象を受けました。

Season1の時よりもプレッシャーを感じました。たぶん、ワカコへの愛が強すぎるせいかと……(笑)。それから、今まではスタッフさんと一緒に考えながら撮影していましたが、今回は「梨奈ちゃんはワカコのことを一番分かっているから、自由にやっていいよ」と任せてくださって、衣装合わせの時でも「梨奈ちゃんはどれ着たい? 自分のワカコはどれ?」と(笑)。すごく信頼してくださっていることを感じつつ、今までで一番「座長感」を感じました。

――そもそも連ドラ初主演がこのシリーズでしたよね。

そうなんです。
Season1の時はまだ経験も浅く、監督やスタッフさんに甘えながら、みなさんに支えられて作り上げて来ましたが、今回はみなさんが逆に頼ってくださったので、「座長として頑張らなきゃ!」と、より強く思いました。

――メインとなる飲食シーンの撮影の流れは以前のままですか?

そうですね。だいたいの流れは監督をはじめ、スタッフさんが決めてくださって、「一杯目のビールは3口ぐらいでいこうか」のように段取りを決めていたんですが、今回は「自由で」のみ(笑)。夏場の撮影もあったので、思わずジョッキ半分飲んじゃったり、「ワカコだったら」を意識しながら撮影に臨みました。現場スタッフにも今までの私と違うと思って頂けていたら嬉しいですし、視聴者の皆様にも更に楽しんで頂けていたら最高です。

●ワカコきっかけで変化、生き物と料理人への感謝
――「ワカコの本能」に近づけるイメージですかね?

美味しさの表現は、「作るものではない」と思っています。実際にあるお店でやらせていただいて、その上できたてアツアツ、ビールもつぎたてをいただいているので、その場の温度や香り、空気感を楽しみながら表現することを意識しています。

Season1の時は「ぷしゅー」の言い方に一番悩んでいました。
もちろんマンガにはその描写がありますが、音の見本はないので「どうしよう……」と思いながらずっと練習していて。初めてスタッフさんとお会いした時に相談したところ、「自分が感じた“ぷしゅー”でいいと思うよ」と言っていただきました。今回もいろんな“ぷしゅー”を見て頂きたいです。
○■食へのリスペクトを胸に

――第1話は「マグロの解体ショーへ!」。神楽坂にある「ろばたの炉」では、実際に解体ショーが行われているそうですね。

そうなんです! 現場に入ったら私にマグロが見えないように気を使ってくださって(笑)。解体シーンは一度しか撮影できないので、ドキュメンタリーに近いリアクションでした。

――ものすごい迫力だったのですが、Season2の12話「幸せ一杯、カワハギのお造り」を思い出しました。
生簀から取り出されたカワハギを食べる前、ワカコの「さっきまで泳いでいたのに」「こんな姿になってごめんね。でも、ちゃんと残さず食べるからね」という言葉が印象的でした。彼女の人柄と食に対する考え方が表れているセリフだと思います。今回も、「マグロが食材に変わっていく」というセリフもあり、ワカコは変わってないんだなと思いました。

「カワハギ」は私も好きなシーンです。ワカコをやらせていただく前の私は、「食べ物と飲み物を注文して、届いたものをおいしくいただく」。そこまででした。でも、ワカコをやってからは、「生き物が体に入って私を健康にしてくれる」と思うようになり、調理してくださる料理人の方やお酒を作る方の過程まで感謝して味わうようになりました。


このドラマのすばらしいところは、ただ食べて飲むだけじゃなくて、きちんと作る過程も見せているところです。どれだけ手間暇かけて、命を大切にして作ってくれているんだという食へのリスペクト。そこが込められているドラマだと思います。

――プライベートにも影響するドラマなんですね。飲み会でも注目が集まりそう……(笑)。

そうなんです(笑)。飲みはじめた時にみんながバッと見てくるんですよ。気にしないで飲んでいると、必ずといっていいほど、「“ぷしゅー”言わないんかい!」とツッコまれます(笑)。


――ひとり飲みでも気づかれたら大変ですね(笑)。

昨日飲みに行った時も、調理場の方がわざわざ出て来て、「いつも『ワカコ酒』見てます!」と声をかけてくださって。作る側の方でも見てくださって、すごくうれしかったです。Season4の情報が解禁になる前でも、撮影現場を目撃した方が「『ワカコ酒』だ!」と反応してくださったことがあって。それはもちろんありがたいのですが、「ワカちゃん!」って手を振ってくださる方もいて。「ワカちゃん」は、劇中の大将からの呼び名。そこまで浸透していて、うれしくなります。

●「自分が触れていないもの」に全力で応えたい

――以前の取材では、「瓦の人」と言われることが多かったと。

はい(笑)。

――最近はどうですか?

最近は、『ワカコ酒』の方が多いかもしれません。というのも、どうやら、「瓦の人」と「ワカコ」が同一人物と思われていないみたいで(笑)。「『ワカコ酒』見てます」と声を掛けられて、別の方の「瓦割りの方ですよね?」に「同じ人なの!?」と驚かれることもあって。役者としては、いちばんうれしい反応です。――何よりも驚いたのは、記者発表会でもおっしゃっていましたが、もともとお酒がそこまで得意ではなかったと。最近は『ボクはボク、クジラはクジラで、泳いでいる。』のクジラ飼育員役でも、泳げないのにオファーを受けたと聞きました。『ワカコ酒』と共通する部分がありますね。

サーフィンをやったことがなくて泳ぎが苦手であることや、お酒が得意ではないことを公表していたわけでもないんですが、「自分が触れていないもの」のお話をいただくことがすごく不思議で。それって、私に何かの可能性を感じてくださっているということですよね。しかも、オーディションを受けて決まったわけでもありません。「武田梨奈」を求めてくださる方には、全力で応えたい。「武田梨奈でやりたい」というお話には、スケジュールが空いてなくても受けるぐらいの気持ちです。

――でもお酒もそうですが、泳げない人が泳げるようになるには相当大変なのでは? しかも、飼育員ですからプロ並みの泳ぎが求められる。

そうですね。マネージャーさんには、「今すぐ泳ぎに行きます!」と伝えました。私がお芝居をやりたいと父に相談した時に、「やりたいんだったらやってもいいけど、やめるんだったら最初からやるな」と言われました。それは今でも自分のモットーになっています。家族、事務所、マネージャーさん、いろいろな方に支えられて応援してもらっているのに、簡単にはやめられない。何より自分が好きだから続けています。やめる時は、死ぬ時です(笑)。
○■お酒は終わりのないエンターテインメント

――覚悟を感じるお言葉です。ひとり飲みの時は、どのようなスタイルですか?

だいたい仕事終わったあとに行くのですが、その日の反省です(笑)。1時間みっちり、その日を振り返ります。それを終えてから、もう1軒行ったり。この前、やたらとお店を紹介してくださるおじ様がいて。どのお店にしようか悩んでいた時に、「どんなお店が希望ですか?」と話しかけられて「しっぽり一人で飲めるところを探しています」と答えると、「すごくいい店があるよ」と教えていただき、少し怖かったんですが(笑)、すごくステキなお店で。陽気で親切なおじ様でした。

――そういう出会いも醍醐味ですよね。ゴールデン街で一人飲んでいる時、「『ワカコ酒』知ってる?」と話しかけられたそうですね(笑)。

話しかけてくださった別の方が「武田梨奈さんですよね?」と気づいてくださって、隠し通せなくなったので「そうです。私がワカコです」と自己紹介しました(笑)。「えっ!?あのワカコ?」とびっくりされていました。その方は原作ファンらしく、「“ぷしゅー”はもうちょっとかわいく言った方がいいよ」とアドバイスまでいただきました(笑)。視聴者の生の声を聞ける貴重な機会でした。

――原作やドラマのファンだからこその、愛のあるダメ出しですね(笑)。さて、『ワカコ酒』は2015年からスタートし、Season4まで来ました。次も期待してしまいますね。

撮影が最終回に近づくにつれて、なんとなく思わせぶりな終わり方のような気もして(笑)。「また、次もあるんじゃないか……」と勝手に妄想しています。打ち上げで監督とスタッフさんと飲んでいる時に、自然と次にやりたいことの妄想トークで毎回盛り上がるんです。『ワカコ酒』は、終わりが全然見えません(笑)。でも、お酒自体が終わりのないエンターテインメントです。いろんな国、いろんな種類のお酒があるので、いくらでも物語は作れると思います。お酒の力って、すごいですね。

■プロフィール
武田梨奈(たけだ・りな)
1991年6月15日生まれ。神奈川県出身。10歳から琉球少林流空手道に入門し、月心会黒帯。2009年の『ハイキック・ガール!』で映画初主演、2015年スタートのドラマ『ワカコ酒』シリーズで連ドラ初主演を務める。2018年は、『ボクはボク、クジラはクジラで、泳いでいる。』、『殺る女』、『世界でいちばん長い写真』、『三十路女はロマンチックな夢を見るか?』などの出演映画が公開された。

提供元の記事

提供:

マイナビニュース

この記事のキーワード